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 2013年12月27日(金)

  『実録・プロレス道 第149話』

新団体ユニバーサル・プロレスは、京王プラザホテルで記者会見を行い、新間寿氏の最高顧問就任のほか社長やフロント陣、そして『UWFオープニング・シリーズ』の参加外国人選手を発表した。
ダッチ・マンテルを始め数人の参加を発表したが、例のポスターに載っていたアンドレ・ザ・ジャイアントやハルク・ホーガンといったビッグネームは誰一人名前は挙がらなかった。

「やっぱりっていうか、新間なら呼べるんだろうけど、時間がなかったのかな。メキシカンは良さそうだけどね」

参加外国人にガッカリしたついでに、日本人メンバーにもガッカリしてしまった。
早々に参加を表明していた前田明、ラッシャー木村、剛竜馬以外の選手が見当たらなかったのだ。
噂のアントニオ猪木もフリーのベテランも、誰もUWFには参加しないようなのだ。

「外人も無名だし、目玉になる日本人もいないし。こりゃかなり厳しいことになるな」

猪木を筆頭に丸ごと新日本プロレスを引き抜く壮大な計画や、日本人に頼らない大物外人を主力とした夢のある団体というのは、もはや実現不可能なただの噂になってしまったのか。

「新日本はまだシリーズ中だからね。もしかすると、シリーズが終わってから猪木は移籍するかもな。それか、何の予告もなしに旗揚げ戦に猪木が現れるかもな」

旗揚げ戦が近づくにつれ、猪木移籍や猪木黒幕の信憑性が強くなっていたのは確かだが、記者会見での発表もなく猪木本人は新日本プロレスでファイトし続けている。
しかし、本当に猪木が絡んでいるのであれば、少しでも早く発表した方が団体的には有利になるのではないのか。

「それはそうなんだけど、団体の社長でエースの猪木をそう簡単に手放すことは出来ないよ。会社なのかテレビ局なのかは分からんけど」

だが猪木は新間氏と共に、新日本プロレスを捨てて新団体に懸けるのではなかったのか。
今さら、冷飯を食わされた相手のことなどどうでもいいのではないのか。

「新間が猪木を誘ってるのは確かだと思うよ。だけど、猪木移籍がハッキリしてないのは何か特別な理由があるんだよ」

特別な理由とはなんなのか。
やはり移籍に付き物の、金銭的な問題なのだろうか。
それとも、自分が設立した団体への愛着なのか。

「マサルもかなり噂に振り回されてるな。猪木の話はあくまでも噂なんだから。噂を信じちゃいけないよ、まあそんな噂で盛り上がれるのがプロレスの良いとこなんだけどね。」

新間氏の新団体構想発表から、揺れ動いてきたプロレス界。
全日本プロレスと新日本プロレスという二強に割り込む、驚異の第三勢力になるはずだったユニバーサル・プロレス。
今となっては、旗揚げ戦の成功はおろか団体存続すら危なっかしい。

「旗揚げ戦はやるにはやるだろ。ただ問題なのはその後のことだよな」

そして、旗揚げ前のUWFに最後の事件が起こる。
新日本プロレスの若手のホープ高田伸彦が、新日本プロレス所属のまま旗揚げシリーズに参戦することになった。
更にグラン浜田と元国際プロレスのマッハ隼人の参加も決定した。

「旗揚げまでに何とか揃ったっていうより、無理矢理頭数を揃えた感じだよね。メキシカンが充実してるから、浜田や隼人は活きるけどね」

メキシコに強いルートを持つ新間だけに、ジュニア戦線はなかなかの顔が揃った。
しかし、肝心のヘビー級のメンバーが物足りない。
これから売り出す前田も、無名の外人レスラーでは張り合いがないだろう。
それに例え猪木が参加しても、あの外人レスラーたちでは難しいだろう。
しかし、そんなこと言ってはいられないところまで、来てしまっているのだ。
紆余曲折を経て船出したユニバーサル・プロレスは、豪華客船になるのか、それとも泥船になってしまうのか。


つづく

 2013年12月13日(金)

  『実録・プロレス道 第148話』

アメリカ・ニューヨークに渡った新間寿氏と前田明。
なんと前田は、マジソン・スクウェア・ガーデンのWWF月例定期戦に出場、新設されたWWF認定インターナショナル・ヘビー級王座を獲得したのだ。

「WWFのインターっていったら、藤波が持ってるベルトだよな。そうなると、藤波も引き抜いて統一戦でもやるのかな」

同じ名前の王座が、2つ存在するなどおかしな話だ。
だが、どうせ同名のタイトルを創るならば、IWGPにしても良かったのでないのか。

「さすがの新間もそこまでは図々しくないよ。WWFの冠が付いてる以上、バックにはWWFが控えてるように見えるしね。でも、前田のベルトにはWWFじゃなくて、UWFって書いてあんだよな」

今回の新間氏と前田の渡米は、新王座獲得による団体の看板タイトルを設けることと、WWFの全面的な協力を得ることだったのだ。それに加え、藤波辰巳引き抜き工作も浮かび上がってきた。

「藤波もそうだけど、猪木以下新日本から、主力を引き抜くのは本気だったみたいだよ。あのポスターは凄いよ」

旗揚げ戦は4月11日大宮スケートセンターに決まり、その宣伝用ポスターには、アントニオ猪木、藤波、長州、タイガーマスク、アンドレ、ホーガンなど、ビッグスターの顔写真がズラリと並んでいる。
その中央には新間氏が陣取り″私は既に、十数人のレスラーを確保した″と書かれていた。

「実際あの中から何人が出るかだよ。確保したと書いてあるけど、出場するとは書いてないからね」

普通に考えれば、ポスターに写真が載っていれば、誰もが出場すると思う。
しかし、あの内容ではポスターのレスラーは、誰も参戦しないことも有りうるのだ。

「前田と木村の他にも、徐々に動きだしたね。猪木はやっぱり怪しいよな」

その猪木は一連のUWFの仕掛けに対して記者会見で、藤原喜明と前田の対戦を藤原個人の闘いとして容認し、藤原もリング上でUWFへの殴り込みを宣言したのだ。

「藤原は前田の行動が許せないから、制裁するって言ってるけどさ、UWFに行く前振りじゃないのかな。あれだけ堂々と言えば、UWFに上がってもおかしくないからね。まあ猪木の指示だろうけどね」

さらに猪木参加を匂わすかのよにうに、失踪中のラッシャー木村が剛竜馬を連れて新日本プロレスのリングに乱入、″ユニバーサルのリングで勝負しろ″とアピールしたのだった。
木村の挑発に乗る形で、猪木がUWFのリングに上がることになれば、全てが新間氏の描いた絵図通りとなる。

「ここまで来ると、本当に猪木は移籍するかも知れないな。外人にしても、新間はマクマホンやフローレンスと繋がってるから、何とかなりそうだしね。あのポスターは、ハッタリじゃなくて実現するかもな」

もしも、あのポスター通りのレスラーがUWFのリングに集結するのであれば、第三勢力どころか、日本一の団体いや世界にも通用する大組織になってしまう。
仮に日本人が揃わなくても、あの外人のメンバーならば客は呼べる。

「外人が良くても、対抗できる日本人がいないと難しいよ。でも、日本人なしの外人だけなら逆に面白そうだけどね」

猪木以下新日本プロレス主力レスラーの参加はあるのか、それとも、外人主体のメンバー構成になるのか。
1日の京王プラザホテルでの記者会見で、参加レスラーも含めUWFの全容が明らかになる。


つづく

 2013年12月6日(金)

  『実録・プロレス道 第147話』

新間寿の新団体構想に、暗雲が立ち込めてきた。
エースとして参加濃厚と噂された、元タイガーマスクこと佐山聡がタイガージム設立と同時に、新団体への不参加を正式表明してしまったのだ。

「佐山の不参加は痛いよな。でもあそこまで進めてたら、もう後戻りは出来ないよな」

団体名も『ユニバーサル・プロレスリング』略称をUWFとし、新宿に事務所を構え、フロント陣も揃えた以上、引くに引けないところまで来ているのだ。
佐山には振られてしまったが、事務所開きに合わせるかのように行動し始めたレスラーも現れた。

「前田とラッシャー木村が、無断欠場したみたいだね。この二人は間違えくUWFに行くよ。あと誰が行くかが問題だよな」

若手ではあるがエース候補の前田日明と、解散しかけているはぐれ国際軍団のボス、ラッシャー木村。
木村なら分かるが、前田の移籍はどうも解せない。
このまま新日本プロレスに残っていれば、エースは約束されているようなものなのだ。
それなのに、成功するか分からない新団体に加わり、新日本プロレスを敵に廻すようなことを何故するのだろうか。

「前田の他にも、大物が移籍するかもね。前田引き抜きはその前兆っていうか、新日本に対しての宣戦布告なんだよ」

まだ発表されていないが、前田移籍は旗揚げ戦までに、新日本プロレスから選手をゴッソリ引き抜く予告なのだと師は予測する。
確かに前田は素晴らしいレスラーではあるが、まだまだ団体を背負って立つエースという感じではない。

「やっぱり猪木が匂うよな。猪木1人いれば、あとは何とかなりそうだもんな」

ジャイアント馬場と並び立つ、日本マット界のエースアントニオ猪木。
師の言うように、猪木さえいれば新団体は旗揚げから軌道に乗るだろう。
しかし、猪木は新日本プロレスの社長でありエースなのだ。
いくら新間氏との繋がりが強いとはいえ、猪木の移籍は難しいだろう。

「難しくても、それをやれるのが仕掛人と呼ばれた新間なんだよ。新日本と全日本を敵に廻して勝負するんだから、何かしらの隠し玉があるはずだよ」

確かに猪木移籍という切り札がなければ、新団体旗揚げにあれだけ自信満々にはなれない。
もしかすると、陰で新間氏を操っているのは猪木なのかも知れない。

「実を言うと、オレも初めから猪木が黒幕だと思ってたんだよ。どうしても新間を見てると、猪木の影がチラつくんだよな」

やはり猪木は、今の立場に満足していないのだろう。
例のクーデター騒動以来代表職に復帰はしたが、何の実権も与えられていないという噂は本当だったのか。
もしもその話が本当ならば、新間氏と組んでの新団体旗揚げは合点がいく。

「猪木が移るんであれば、確実に新日本は危ないよな。そうなると、猪木について来るレスラーも必ず出てくるよ」

大黒柱の猪木なしでは、新日本プロレスは成り立たない。
社長解任から即復帰できたのも、同じ理由からなのだ。
もし猪木移籍が本当ならば、崩壊が目に見えている新日本プロレスに残る選手はいないだろう。

「いくら人気があっても、藤波や長州じゃ猪木には敵わないからね。新間の思惑通り、新日本自体を引き抜くつもりなんだよ」

逆に考えれば、新団体成功には猪木の参加が絶対条件になってしまう。
本当に猪木が新団体の黒幕であり、新日本プロレスを捨てて移籍するのだろうか。
注目の旗揚げ戦を前に、新間氏と前田はアメリカに渡ったのだった。


つづく

 2013年11月29日(金)

  『実録・プロレス道 第146話』

国際プロレス崩壊後、新日本プロレスと全日本プロレスの2強対立状態の日本マット界。
そこへ第三の勢力、つまり新団体が誕生するという噂が流れだした。

「新日本を辞めた新間が、佐山と組んで団体を旗揚げするみたいなんだよ」

新間寿、言わずと知れた元新日本プロレス専務取締役営業本部長であり、過激な仕掛人として新日本プロレスブームを巻き起こしたキレ者だ。
その新間氏が、人気絶頂のまま引退したタイガーマスクこと佐山聡と、新団体を興すらしいのだ。
しかし、佐山はアントニオ猪木や新間氏などの、新日本プロレス経営陣への不信感から退団引退したと聞く。
そんな犬猿の仲である新間氏と佐山が、本当に手を組むのだろうか。

「新間と佐山はすでに和解してるらしいんだよ。ようは新日本に裏切られた二人が、復讐する形で団体を創るってことみたいだね」

老舗二団体に挑戦するといえば聞こえは良いが、本当の狙いは新日本プロレス潰しなのではないのか。

「新間も佐山も馬場には恨みは無いはずだからね。やっぱり新日本に喧嘩を売るつもりなんだろうな」

自分をクビにした新日本プロレスを、上回る団体を創ろうとする気持ちは素晴らしい。
しかし、現時点で参加が噂されているのは佐山1人なのだ。
いくら大ブームの張本人とはいえ、佐山の一枚看板だけでの成功は考え難い。

「新間はWWFやUWAとの繋がりが強いから、外人ルートは心配ないと思うよ。だけど日本人を集めるとなると、引き抜くしか方法はないんだよな」

日本人の団体所属選手を集めるには、新日本プロレスと全日本プロレスから引き抜くか、フリー選手にあたるしかないだろう。
全日本プロレスからの引き抜きは難しいとして、フリー選手と契約するならば、上田馬之助かマサ斎藤にタイガー戸口ぐらいだろう。
あと一応所属扱いになっているが、契約が怪しい選手だとグラン浜田、キラー・カーン、ミスター桜田等がいる。

「その海外組は難しいと思うよ。海外で十分やっていける訳だし、今さら日本で安くコキ使われたくないはずだよ」

新間氏に恩や義理があれば話しは別だが、成功するか分からない新団体に、今の生活を捨ててまで協力するお人好しはいないということか。

「そうそう、誰も好き好んで泥船には乗ってこないよ。まあどうせ新日本に喧嘩を売るんなら、猪木を引き抜いちゃえば面白いのにね」

新間氏解任の最大の理由であるクーデターで、猪木も一時的ではあるが役員をはずされた身なのだ。
いくら代表職に復帰したとはいえ、新しい経営陣に対して良くは思っていないはずだ。
だったら師の言うように、新間氏の新団体で思い切り暴れた方が、猪木もやりがいがあるのではないのか。

「猪木も新間っていう片腕がいなくなって、苦労してると思うよ。だから、猪木だけじゃなくて、藤波も維新軍も皆引き抜いてくれば面白いんだよ」

なんとも大胆不敵な考えなんだ、そんなことになったら、新日本プロレスはたちまち崩壊してしまうではないか。
それに、新間氏の団体の方が本物の新日本プロレスになってしまう。

「新間の本当の狙いは、それかも知れないな。だって本気で復讐するなら、それぐらいやらないと復讐じゃないよ」

新日本プロレスに対する復讐と、再度プロレス界での成功を試みる仕掛人・新間寿。
ざわめきだしだプロレス界が気になり過ぎて、アルバイトの日数を減らし、少しでも多く会場に足を運ぼうと考える、マサル少年高校二年の春であった。

つづく

 2013年11月22日(金)

  『実録・プロレス道 第145話』

ジャンボ鶴田がAWA世界ヘビー級王座を奪取した同じ日、場所も同じ蔵前国技館で、天龍源一郎も大仕事をやってのけた。
リッキー・スティムボートとの王座決定戦を制し、UNヘビー級王座を奪取したのだ。

「天龍も嬉しいだろうね、念願のシングルのベルトだからね。これで、第三の男を卒業して、ジャンボとの二枚看板になったね」

天龍は本当に嬉しいのだろうか。
UNヘビー級王座といえば、日本プロレス時代からナンバー2の巻くベルトとされている。
ということは、天龍はナンバー2という烙印を押されてしまったも同然で、インターナショナル王者の鶴田の上には行けないと決めつけられたようなものなのだ。
確かに第三の男からナンバー2に昇格したのかも知れないが、あの負けん気の強い天龍が、本当にこの立場を納得しているようには思えない。

「いや、まだジャンボとの実力差はあるよ。天龍だってインターやNWAに挑戦してるけど、結果が出てないからね。キャリアも違うしさ、天龍はそのへんをわきまえてるよ」

もし鶴田の上に行きたないのであれば、直接対決で鶴田を倒すことが手っ取り早い。
しかし、同門の日本対決をよしとしない全日本プロレスでは、NWAのようなトップレベルのベルトを巻くしかエースになる方法はない。

「ジャンボも天龍もチャンスは平等にあったんだからさ、先にインターとAWAを獲ったジャンボの方がやっぱりエースなんだよ」

キャリアだけでなく、実力でもまだまだ鶴田には敵わないことは、2本のベルトが証明している。
それに、鶴田がインターナショナル王座を奪った相手は、ブルーザー・ブロディなのだ。
自分が歯が立たなかった相手を倒しての王座戴冠なのだから、天龍も納得せざるを得なかったのだろう。

「まあ、ジャンボだってインターを持ち続けるのは難しいからね。いずれブロディやハンセンの手に渡るかも知れないからな。そうなった時が、天龍のチャンスなんだろうな」

インターナショナル王座を争う鶴田とブロディ、UN王者の天龍、そしてPWF王者のスタン・ハンセンが入り交じる闘いは、どの組み合わせでどのベルトを懸けても好勝負は間違えない。
そして、この四人の中で抜け出した者が、全日本プロレス内だけではなく本物のプロレス界のエースになることだろう。

「UNもレイスだって巻いたベルトだからね。これからの天龍しだいで、価値を高められるんだよ。ブロディやハンセン相手に防衛すればナンバー2のベルトのイメージはなくなるよ」

なるほど、天龍がUN王座を輝かせるのは、天龍本人しだいということか。
しかし、天龍自身が焦るあまり鶴田に挑戦状を叩きつけるような謀反を起こさないかが気掛かりである。

「それは馬場が許さないよ。そんなことをしたら、それこそ新日本と同じ、猪木と同じだからね。馬場は猪木と同じには見られたくないはずだからね」

奇しくも日本プロレス時代の、馬場と猪木と同じ立場になってしまった鶴田と天龍。
同期生で差をつけられた馬場と猪木とは違い、キャリア的には先輩と後輩の間柄だから天龍が一歩退いているようにも見える。
しかし、天龍には大相撲の経験もあり年齢では一つうえなのだ。
このまま馬場の思惑通り、鶴田の下で我慢できるのかが心配だ。

「それよりも、天龍はブロディとハンセンを倒して、最強タッグの借りをキッチリ返えさないと。それにまずは外人の敵をなくしてからじゃないと、今の状態でジャンボへの挑戦をブチあげても笑われるだけだよ」

千里の道も一歩から、急がば回れと言うが、天龍は急がなければライバルたちに追い付くどころか、ドンドン離されてしまう気がするのは私だけなのだろうか。


つづく

 2013年11月15日(金)

  『実録・プロレス道 第144話』

アントニオ猪木の世界統一が足踏み状態の今、ライバル団体の新エース、ジャンボ鶴田がAWA世界ヘビー級王座奪取という快挙を成し遂げた。

「AWAもNWAもピン・フォールじゃないとベルトは移動しないからね、そんなチャンピオン有利のルールでジャンボは良くやったよ」

反則やリングアウトで勝利しても、王座の移動は認められないAWAルール。
そのルールを巧みに利用し防衛を重ねてきたニック・ボックウィンクル。
汚い手を使ってでもベルトを守り続けてきた、ダーティ・チャンプのニックからピン・フォールを奪ったことも快挙だが、日本人初のAWA王者誕生はプロレス界では大ニュースなのだ。

「NWAの時もそうだけど、あと一歩のところでチャンピオンに巧く逃げられてたからな。今回のジャンボは、何か違ったよね」

世界王者を追い詰めるも、ベルト奪取にはいたらず、善戦マンと揶揄され続けた鶴田。
しかし今回の鶴田は、どうしても世界のベルトを巻いてやるという執念みたいなものが感じられた。
いったい何が鶴田を変えたのだろうか。

「インターのチャンピオンになって、全日本のエースになったって言われてるけど、まだまだ若大将気分が抜けてなかったからな。まわりが認める本当のエースになるには、世界のベルトを巻かなきゃいけないと焦ったのかもね」

全日本プロレスに入団以来、ジャイアント馬場に次ぐナンバー2のポジションが鶴田の定位置だった。
鶴田には恵まれた体格と才能があったため、デビューから下積みを経験していない、数少ないレスラーなのだ。
そんなナンバー2というポジションを安住の地としてしまった鶴田は、欲や野心を持たないサラリーマン的なレスラーに見られていた。

「周りにとやかく言われても、ジャンボ本人がヤル気を出さなきゃ意味がないからね。今のジャンボならもう心配ないよ、AWAを取られたとしても、立派な日本のエースだよ」

インターナショナル・ヘビー級とAWA世界ヘビー級の二冠王者の鶴田は、今後ますますマークがきつくなるだろう。
前王者ニックとのリターン・マッチもあるだろうし、ブルーザー・ブロディやスタン・ハンセンといった同世代のライバル達も黙っていないはずだ。
それよりもマサル少年が期待するカードは、NWA世界王者リック・フレアーとのダブル・世界タイトル・マッチだ。

「マサルは凄いことを考えるよな。アメリカでの実現は無理だから、やるなら日本だな、それも全日本のリングでなら何とかなるかも知れないな」

世界最高峰と呼ばれているNWA世界ヘビー級王座。
同じ世界王座でも、NWAに比べAWAはやや見劣りしてしまう。
鶴田がAWA王者になったのは確かに凄い、でもNWAの王者になったら更に凄いことなのだ。
それも、NWAとAWAを同時に持つ世界王座二冠ならば、前人未到の神業としか言いようがない。

「ダブル・タイトル戦は難しいけど、どっちかのベルトに挑戦するなら、案外早く実現するかもよ。でもどうせならダブル・タイトルの夢はあるよね」

そう夢なのだ、プロレスとは夢を見ることなのだ。
実現不可能な対戦カードやベルトの統一など、無理難題な馬鹿げたことほど考えたくなるのがプロレスなのだ。

「猪木がIWGP獲って、ジャンボのAWAやインターとの統一戦だって見てみたいよね。まあ、馬場が許す訳ないんだけど、ファンが夢を語るのは自由だからね」
最近学校とアルバイトに疲れていたマサル少年は、プロレス、夢、自由という師の言葉で、少しだけ元気を取り戻したようだった。

つづく

 2013年11月8日(金)

  『実録・プロレス道 第143話』

テロリストと化した藤原喜明が、やはり注目され出した。
長州力率いる維新軍に、人気も勢いも遅れをとっていた正規軍に、頼もしい用心棒が現れたというところなのだろう。

「正規軍は猪木と藤波がいるけど、あとはちょっと物足りない感じだからね。藤原を引き上げたのは正解だよ」

昨年の11月に行った軍団対抗戦で、維新軍に敗れた正規軍。
正規軍の戦力強化のために藤原を引き上げたのは分かるが、札幌のテロ行為には何か意味があるのだろうか。

「これから維新軍に向かって行く意思表示っていうかデモンストレーションだな。新日本はああいう因縁を作ってから対戦させるパターンが多いからね」

長州力の噛ませ犬発言や小林邦昭のマスク剥ぎ、最近の新日本プロレスにありがちな因縁作りと藤原の参戦は同じなのか。
確かに何もなしで対戦するよりは、因縁があったほうがプロレスは盛り上がる。
しかし、藤原みたいな地味な選手が、あのアクが強く派手な軍団抗争に付いていけるか疑問である。

「藤原は地味だし今まで無名だっただろ、だからこそあんな派手なテロを仕掛けたんだよ。あのテロのイメージだけで、試合は今まで通りでも十分なんだよ」

むしろ攻撃が一本足頭突きと関節技だけであることが、一撃必殺の仕事人的で不気味なのは認める。
しかし、そんな単調な試合が、果たしてファンに受け入れられるのだろうか。

「対抗戦で欲しいのは勝ちだからね。派手で華麗な試合よりも、確実に勝つことをファンは望んでいるんだよ。だから藤原みたいな実力者を待ってたのかも知れないよ」

プロレスの神様と呼ばれているカール・ゴッチ仕込みのテクニックに加え、札幌で見せたテロ行為のような凶暴性は、勝つことだけを優先した試合であれば本領発揮するのではないのか。
しかも長年前座で燻っていただけに、脚光を浴びるリングに登場すれば尚更藤原は張り切るに違いない。
猪木の藤原起用は、その辺りも計算されたものだろう。

「猪木、藤波、前田、藤原だろ。あとは坂口に健吾に星野か、次の対抗戦はいい勝負になりそうだね」

正規軍と維新軍との軍団抗争は、まだまだ続いていくようだ。
新日本プロレスは今年も日本人同士の軍団抗争を主軸にするのも良いが、正直飽きてきたとも言えないこともない。
それに猪木は、IWGP優勝も義務付けられているのだ。
軍団抗争による団体内の勢力あらそいと世界統一、何だか焦点がバラついていて、本来の目標がよく分からなくなっているように感じる。

「そこが新日本の面白いとこであり難しいとこなんだよね。猪木がIWGPを獲れば、それを絡めての軍団抗争も出来るしね。外人が弱いから、今のスタイルを強化するのが一番だし、それしかないんだけどね」

チャンピオン・ベルトの一本化、世界統一といっても、外人勢が弱体化してしまえば意味はない。
所詮、新日本プロレス認定のローカル王座と言われても仕方がないのだ。
それともアントニオ猪木は、打倒・全日本プロレスと世界統一に、何か秘策でも持っているのだろうか。

つづく

 2013年11月1日(金)

  『実録・プロレス道 第142話』

新日本プロレスの今シリーズの注目は、WWFジュニアヘビー級王座決定リーグ戦なのだが、新王者が決定する最終戦を直前に事件が起こった。
藤波辰巳と対戦する長州力が、入場時に花道で襲撃され試合が消滅してしまったのだ。

「人気カードを見れなかった、札幌のファンは気の毒だね。まさか藤原があんなことをするなんて、本当にビックリしたよ」

長州を血だるまにし、試合を潰した犯人は藤原喜明であった。
藤原といえば実力とキャリアはあるが、地味な存在のため中堅に甘んじている選手というイメージであり、テレビ中継にもほとんど出ることはなく、元日興行でカール・ゴッチとエキシビション・マッチを行ったぐらいの記憶しかない。

「マサルはよく会場に観に行ってるから、テレビに映らない中堅や若手の選手に詳しいけど、テレビでしかプロレスを知らないファンには、藤原は馴染みがないからね」

テレビ中継されない試合、つまり前座試合で永源遙や荒川真といったベテラン勢や、デビュー間もない若手たちと試合をこなしている藤原。
その藤原の今回の行動は、長州に試合でやられた個人的な恨みなのか、それとも猪木の命令で正規軍の鉄砲玉として動いたのか定かではない。
ただひとつ言えることは、長州たち維新軍に、厄介な敵が1人増えたことだ。

「あんな花道で襲うなんて、正規軍のメンバーじゃ考えられないからね。藤原みたいな用心棒がいると、長州たちも楽には勝てなくなるよ」

藤原の凄みのある顔や、頭突きと関節技を中心とした試合運びは、正規軍の中では異彩を放つ。
派手で見栄えの良い技に走りがちな今のレスラーたちには、藤原攻略は難しいのだろう。

「藤原はゴッチの門下生だからね。地味と言われながらも、純粋に強さだけを求めたスタイルはある意味脅威だよ」

ゴッチも強さだけを追求するあまり、アメリカマット界から干されていたと聞いたことがある。
そのゴッチに師事した藤原ならば、今のファイト・スタイルは分かる気がする。
しかし、同じゴッチ門下でも、アントニオ猪木や藤波辰巳はなぜゴッチや藤原と違う華やかなファイト・スタイルなのだろうか。

「ハッキリ言ってしまえば、プロレスに対する考え方の違いだね。ただ強ければ良いのか、それともファンを楽しませて勝つのかってことかな」

勝つことだけを意識するため、一方的な短期戦なるほどつまらないプロレスはない。
自分も相手も良いところを出した上で、決着をつけなければファンは納得しないだろう。
ゴッチや藤原が前座で、猪木やルー・テーズがメインイベンターなのは、その差なのか。

「やっぱり猪木や藤波は頭が柔軟なんだね。藤原みたいな試合は当然できるけど、プラスしてファンが喜ぶ試合もできるんだからエースになれるんだよ」

プロレスラーである以上、ファンを喜ばせてこそプロなのだ。
勝ち負けだけに拘るのは、競技に参加しているアマチュア的な考えなのかも知れない。
藤原は確かに強いだろう、しかしその強さはアマチュア的であり、プロレスの世界でいう道場的な強さなのだろう。

「いくら道場で強くても、何か華がないとプロレスでは上に行けないからね。でも、今回の襲撃事件で藤原に陽があたるかもね」

プロレスとは強さだと信じ、道場で腕を磨き続けてきた藤原。
そんな日陰でひたすら耐えてきた用心棒に、やっとスポットライトがあたる時がきた。
もしかすると藤原は、自ら伸し上がるために、長州を襲ったのではないのか。

つづく

 2013年10月25日(金)

  『実録・プロレス道 第141話』

年が明け、今年も元日から興行がスタートする新日本プロレス。
その新春シリーズの目玉は、現在空位になっているWWFジュニアヘビー級王座決定リーグ戦だ。
その中でも、ザ・コブラとダイナマイト・キッドが優勝候補と騒がれている。

「タイガーが引退してからは、ジュニアの中では抜きん出た選手はいないからね。新日本がコブラを売り出したい気持ちは分かるけど、安定感っていうか実力ではキッドが上だと思うな」

タイガーマスクの後釜として、新日本プロレスジュニアヘビー戦線に現れたザ・コブラ。
デビュー戦でNWAジュニアヘビー級王者にはなったが、周囲の期待ほどの活躍はしていないように見える。
コブラをジュニア二冠王にして、タイガーマスクブームの再現を狙っているのかもしれないが、コブラには荷が重すぎるのではないのだろうか。

「コブラがNWAに続いてWWFまで獲ったら確かに出来すぎだよ。もしコブラにスンナリ獲らせるなら、リーグ戦じゃなくて決定戦にすると思うな」

出来レースという言葉は使いたくないが、コブラにベルトを獲らせたいならば、キッドよりランクの落ちる選手との王座決定戦にすれば手っ取り早い。
しかし、それを良しとしないからこそ、リーグ戦という試練を与えたのかも知れない。

「やっぱりファンの反応を気にしてるんだね。弱い相手に勝っても誰も認めないと思うし、リーグ戦に優勝すれば問題ないからね。ましてや、キッドやスミスも参加してるんだから」

藤波辰巳で始まりタイガーマスクの活躍で、大ブームとなったジュニアヘビー戦線。
新日本プロレスはこのドル箱を、何としてでも失いたくないのだろう。
しかし、タイガーマスクによるジュニアヘビーブームは、ジュニアヘビーの人気ではなくタイガーマスクの人気だったのだ。
これからのコブラの頑張りにもよるが、今のままではあのタイガーマスクブームを越えることは難しそうだ。

「コブラ本人もタイガーの真似は出来ないし、真似する気もないと思うよ。でも、ファンはどうしてもタイガーとダブらせて見ちゃうからね」

コブラはコブラ、タイガーマスクはタイガーマスク、所詮別人なのだから同じことを求めること自体が無理な話なのだ。
しかし、コブラがジュニアヘビーの頂点を目指すならば、自分流のプロレスでファンやマスコミ、それに新日本プロレスのフロントやレスラーたちを納得させなければならない。

「コブラは本音ではヘビーで勝負したかったのかもね。でもタイガーが急に引退したもんだから、ジュニアに参戦してるのかもよ」

ジュニアヘビー級にしては長身のコブラ。
ウェイト的にはクリアしているのだろうが、どちらかと言うとヘビー級よりの体格である。
師の言うように、海外でウェイトアップを計り、ヘビー級戦士として凱旋帰国を予定していたのかも知れない。

「何だかんだ言っても、プロレスではヘビーが上だからね。コブラだって猪木に憧れてこの世界に入っただから、ヘビーでやりたいに決まってるよ、それも素顔で。」

自分の思い通りにいくほど、世の中は甘くないと言ってしまえばそれまでだが、コブラの場合は余りにも哀しすぎる。
団体のゴタゴタに振り回された悲劇のマスクマン、ザ・コブラ。
コブラはジュニアヘビー級二冠王者に君臨することで、タイガーマスクを越えることが出来るのだろうか。

 

つづく

 2013年10月18日(金)

  『実録・プロレス道 第140話』

毎年恒例の東京スポーツ新聞社によるプロレス大賞が発表された。
最優秀選手賞に輝いたジャンボ鶴田を筆頭に、最優秀タッグ、殊勲賞、敢闘賞、新人賞など、ほぼ全日本プロレスの選手が受賞したのには驚いた。

「対象が日本人だからしかたないけど、ジャンボのMVPはちょっと物足りないよな。まあインターを獲ったことと、新日本で該当者がいないことが理由だね」

順調に世代交代が済まされた全日本プロレスとは違い、リング外のスキャンダルばかりが注目された新日本プロレス。
しかも、アントニオ猪木がレスラー人生を懸けたIWGPまで失敗してしまったのだから、リング内外で信用を失ったようなものだ。

「猪木がIWGPを獲っていればMVPは間違いなく猪木だよ。タッグリーグ戦も優勝したのに、賞を取ったのはジャンボと天龍だからね」

タッグリーグ戦を連覇したチームが選ばれず、今年から結成したジャンボ鶴田と天龍源一郎が受賞した最優秀タッグ賞。
猪木はハルク・ホーガンとタッグを組んだため該当しなかったのかも知れないが、それにしても新日本プロレスの選手の受賞が少なすぎる。

「長州も藤波も期待された割には目立った活躍をしてないからな。それよりも、新日本は何かツイてないっていうか、厄年みたいな1年だったよな」

確かに今年の新日本プロレスは不運であった。
しかし、この悪状況をツイてないの一言で済ませて良いものだろうか。
IWGPにしても構想から約三年かけてやっと実現したが、思ったほどのスケールではなかったのが正直な意見だ。
それに加え、社内クーデターまで勃発したということは、団体の運営に何らかの問題があり、リング上にまで被害が及んだことは間違いないのだ。

「IWGPはもう少し時間をかければ当初の考え通りいっかもしれないけど、新日本はちょっと焦ったのかな」

新日本プロレスが焦る理由とは、全日本プロレスへの対抗心しかない。
両団体による興行戦争は、いまだに続いている。
日本に2つしかないプロレス団体は、お互いに助け合うのではなく、片方が潰れ独占市場になることを考えているように見える。
NWAやAWAの世界王座を軸に、アメリカナイズされたプロレスを守り抜く全日本プロレスと、世界統一のIWGPや日本人抗争を売りにするストロング・スタイルの新日本プロレス。
見ている側からすれば、どちらもプロレス界にはなくてはならないものだと思う。
「どっちの団体もやってることは間違ってないし必要だと思うよ。でも、それはファンの考えであって、団体にしてみれば競争相手がいない方がいいに決まってるからね」

馬場も猪木も日本プロレスしか存在しない時代を経験しているだけに、一団体ということが大きいか分かっているのだろう。
それだけに、力道山がやったような他団体潰しの戦略を力道山の弟子である馬場と猪木が真似をしても不思議ではない。
しかし、10年もの間両団体は独自の路線でファンを楽しませ、日本プロレス界を盛り上げていたのだ。
今さら、団体を統一する必要などないよいに思えるのだが。

「確かに、このまま二団体でも問題はないし、逆に団体統一となるといろんな意味で問題が起きるよね」

ではなぜ、馬場と猪木は団体統一に拘るのだろうか。
日本唯一の団体の長という名誉なのか、それともプロレス興行を独占する金銭的なものなのか。

「いや、馬場は猪木に猪木は馬場に死んでも負けられない意地しかないよ」

昭和35年の同期入門した時から始まる馬場と猪木のライバルストーリーは、同門の選手時代だけではなく、終わりの見えない恐ろしい物語なのかも知れない。

 

つづく

 2013年10月11日(金)

  『実録・プロレス道 第139話』

アントニオ猪木の生涯のライバルであるジャイアント馬場。
その馬場は今年の世界最強タッグ決定リーグ戦からはドリー・ファンクJr.とのチームでエントリーし、全日本プロレス代表チームをジャンボ鶴田と天龍源一郎の次期エースコンビに任せた。

「馬場は優勝争いに絡んだけど、エースの座はジャンボに譲ったみたいだね。最後の試合もブロディ組とジャンボのとこだったからね」

最強タッグの最終戦のメインイベントが、鶴田&天龍組とブルーザー・ブロディ&スタン・ハンセンの超獣コンビであることが、馬場の期待の現れだろう。
鶴田、天龍、ブロディ、ハンセンの四人こそが、全日本プロレスの将来を支えるであろうと馬場は考えているに違いない。

「オレもそうなると思うな、日本人も外人も世代交代なんだね。ただブロディ組に優勝されちゃったから、ジャンボたちは差を付けられた感じだな」

今年春に開催された世界最強タッグ・リマッチ・リーグ戦に続き、暮れの本大会も制した超獣コンビ。
鶴田と天龍は全日本プロレス代表チーム、つまりエースチームになったとはいえ、全日本プロレスのナンバーワンタッグチームの超獣コンビを倒さなければ本当のエースチームとはいえないのだ。

「その四人が今後どう絡んでいくかが楽しみだよ。来年からが新しい全日本のスタートになるんだな」

新しい全日本プロレス、つまり馬場に代わり鶴田をトップとしてストーリーを展開していくということである。
そして外人エースも、ファンクやハーリー・レイスから、ブロディとハンセンを中心に動くことになるだろう。
だが気になることが1つだけある、それは馬場のポジションが微妙な位置にあることだ。
鶴田にエースを譲ったとはいえ、鶴田とのコンビでインターナショナル・タッグ王座を保持しているし、ハンセンに奪われたPWFヘビー級王座にも未練がありそうなのだ。

「やっぱりインタータッグはジャンボと天龍で巻いて欲しいよ。それに天龍もそろそろシングルのベルトが欲しいよな」

今年6月に鶴田が返上したUNヘビー級王座を、王者決定戦でテッド・デビアスに奪われた天龍。
天龍にはUNもいいが、PWFをハンセンと争うのも面白いとマサル少年は考えていた。

「ジャンボと天龍を二枚看板にするには、ジャンボがインターで天龍がPWFっていうのもアリだよね。でもまずはUNを巻かないとPWFに辿り着けないんじゃないのかな」

日本プロレス時代からナンバーツーが巻いてきたUNヘビー級王座。
そのナンバーツーのベルトを獲ることも出来ない男が、団体のシンボルであるPWFに挑戦するなど早いということなのか。

「馬場は一歩退いたけど、PWFに関してはこのままにしたくないと思うな。どうせなら取り返して返上するとかさ。馬場はPWFには思い入れが強いからね」

力道山家から贈られ、馬場が団体旗揚げから共に歩み続けてきたPWFヘビー級王座。
PWFの歴史は全日本プロレスの歴史でもあるのだ。
それゆえに馬場もPWFを手離すならば、それなりのケジメも必要なのだろう。
馬場がタイトル戦線も含めて完全に撤退するまでは、鶴田がインターナショナルを天龍がUNを巻くのが理想なのかも知れない。

「まあベルトが3本もあるからね、誰が巻くのか誰が挑戦するのか将来的難しくなるよ。でも、それが面白いんだけどね」

日本人と外人を交えての真のエース争いに関係するであろう3本のヘビー級のベルト。
中でもPWFのベルトは、いったい誰の腰に落ち着くのだろうか。

つづく

 2013年10月4日(金)

  『実録・プロレス道 第138話』

アントニオ猪木&ハルク・ホーガン組のブッチ切りの優勝が予想されていた、新日本プロレス第四回MSGタッグリーグ戦。
しかし、公式戦全戦終了の段階では、猪木組は第二位であり首位はアンドレ・ザ・ジャイアント&スウェード・ハンセン組であった。
だが、アンドレのパートナーのハンセンが試合中に負傷してしまい、猪木組とディック・マードック&アドリアン・アドニス組が優勝決定戦に進出したのだった。
そして大半の予想通り、猪木組の優勝で今大会は幕を閉じた。

「猪木組の優勝は思ったとおりだけど、まさかマードックのところが決勝に来るとは意外だったな。っていうかジャイアント組の他だとマードック組が有力なんだけどね」

アンドレ組と引き分け、リングアウトではあるが猪木組に勝利したのだから、繰り上げとはいえマードックとアドニスの決定戦進出は胸を張れる。
それよりも、長州組と藤波組が2位争いにすら絡めなかったのが残念でならない。

「藤波も長州も猪木組に負けてるんだろ。やっぱり猪木はエースの座を譲る気はないみたいだね」

ジャイアント馬場からジャンボ鶴田へ、スンナリとエース交代した全日本プロレスとは違い、新日本プロレスではまだまだ猪木の時代が続きそうだ。
いや、猪木は現役である限りエースに君臨してのかも知れない。

「その通りだとオレも思うよ。馬場はちょくちょくジャンボにメインを任せてたけど、新日本で猪木がメイン以外に出たのは記憶にないよ。それぐらい猪木は、自分が一番じゃないと気が済まないんだね。レスラーとして一番大事なことなんだけどさ」

確かに藤波も長州も頑張ってはいるが、猪木の人形というかカリスマ性には敵わない。
だから新日本プロレスは、常に猪木がトップにいなければならないのだ。
しかし猪木も人間なのだ、年をとり体力が衰えるのだから、後継者を考えなければ新日本プロレスという団体自体がなくなってしまう。

「猪木は世代交代しなきゃならないことは分かってるはずだよ。でもエースを譲ることは自分が負けることだから、そのタイミングが上手く掴めないのかな」

新日本プロレスでトップに立つには、大エース猪木を直接対決で倒すことが条件だ。
全日本プロレスのように、直接対決を避けてインターナショナル王者になることで、エース交代という訳にはいかないのだ。
猪木も馬場のような形で、世代交代することは無理なのだろうか。

「IWGPを取り戻さなきゃならないし、猪木はまだまだやることが残ってるからね。それに、馬場と同じことをするなんて猪木は考えてないよ」

永遠のライバルである馬場と猪木。
同期入門で鎬を削ったなかではあるが、互いに独立し団体の長になった二人。
今となっては直接対決は夢となってしまったが、団体の対決つまり興行戦争で火花を散らし続けている。

「もしかすると猪木は馬場との決着がつかない限り、エースを降りる気はないのかもな」

力道山からの流れを汲みプロレスの本道を極めた馬場と、邪道と言われながらも真の強さを追求したストロング・スタイルを確立した猪木。
将来の日本プロレス界のために、この二人の直接対決は実現するのだろうか。

つづく

 

 

 

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