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 2013年9月27日(金)

  『実録・プロレス道 第137話』

参加チームの再編成により、優勝予想が困難な全日本プロレス世界最強タッグ決定リーグ戦に比べ、新日本プロレスのMSGタッグリーグ戦は、アントニオ猪木・ハルク・ホーガン組の優勝が濃厚と見える。

「他に優勝の可能性があるとすれば、ジャイアントのとこかな。しかしパートナーがハンセンって聞いた時は驚いたけど、やっぱり別人だったね」

アンドレ・ザ・ジャイアントのパートナーが、S・ハンセンと発表された時は誰もがスタン・ハンセンの復帰を期待したに違いない。 しかし、蓋を開けてみたら、SはSでもスタン・ハンセンではなくスウェード・ハンセンという、マサル少年は見たことも聞いたこともない選手だった。
危うく引っ掛かるところだったとは言いたくないが、紛らわしいレスラーを起用するほどファンやマスコミの目を向けたかったのだろうか。

「それは考えすぎだよ。本当はグレイとのコンビが良かったんだろうけど、ジャイアントはパートナーが誰でも優勝出来そうだよね。問題は猪木組との勝敗だね、まあ猪木組も同じだけど」

猪木組もアンドレ組も星を落とすとすれば、この直接対決になるだろう。
他にも気になるチームはあるが、優勝候補の2チームを見るかぎり優勝には手が届かない気がする。
勢いに乗る維新軍から、長州力とアニマル浜口、優勝戦の経験のあるキラー・カーンとタイガー戸口、初のチームリーダーとして参加する藤波辰巳と期待のホープ前田明、毎年優勝候補と言われながら結果が出ないディック・マードックはパートナーをアドリアン・アドニスに代えて参加してきた。

「しかし猪木はなんでホーガンとまた組んだのかな、IWGPでの一件があるだけに今回は組まないと思ってたよ」

6月のIWGP決勝でホーガンに失神KO負けしてしまった猪木。
いくら昨年度の優勝チームとはいえ、その宿敵とタッグを組むとはどうも納得できない。
タッグではあるがホーガンを倒すことで、来年のIWGPへの期待を持たせることも出来たのではないのか。

「病院送りにされるぐらいの大事件だったからね。そんな相手と組むんだから、おかしいと思われても仕方ないね」

来年こそ打倒ホーガン、IWGP奪取を願うファンは多い。
それだけに、このタッグリーグ戦でも敵味方に分かれての参加が望ましかったのではないのか。
現在新日本プロレスにはタッグ王座もないのだから、とくに決まったチームは存在しない。
だが1年を締め括る大会なのだから、団体の顔として日本人同士のチームで参加してほしかったのが本音だ。

「猪木とホーガンは去年の優勝チームだからまた組んだんだろうげど、藤波と組むのが妥当だったのかな」

二年前の同大会に参加した猪木と藤波の師弟コンビ。
優勝決定戦に進むもアンドレ組に敗れ優勝を逃してから、このコンビはエントリーしていない。
猪木は藤波とのチームでも十分優勝は狙えると思うのだが、なぜホーガンとのタッグに拘るのかが分からない。

「確かに戦力的には藤波よりホーガンの方が上だけど、藤波を育てる意味で組んでも良かったんじゃないのかな。それとも、藤波も長州も叩き潰して、まだまだ自分が上だと思わせるつもりなのかな」

藤波と長州を押さえつけ、猪木が優勝するには、ホーガンほど頼りになるパートナーはいない。
しかし、半年前に完全KOされた相手とのタッグで果たして上手くいくのだろうか。
連係プレーもそうだが、どちらが格上なのかも気になるところだ。
それよりも、あのIWGPで心に深い傷を負ったファンたちは、猪木とホーガンが同じコーナーに立つことを許すのだろうか。


つづく

 2013年9月20日(金)

  『実録・プロレス道 第136話』

今年もタッグリーグ戦を残すのみとなった全日本プロレスと新日本プロレス。
特に気になる全日本プロレス"世界最強タッグ決定リーグ戦"の参加チームは、師の予想通りの変化があった。

「ファンクスの解散とジャンボがインター王者になったのが決め手だよ。ただ、馬場とジャンボがインタータッグを持ったままなのが不自然だよな」

テリー・ファンク引退に伴いドリー・ファンクJr.はジャイアント馬場とタッグを結成し、馬場とタッグを解消したジャンボ鶴田は天龍源一郎と最強タッグにエントリーした。
このタッグチームの再編成は師の予想通りではあったのだが、インターナショナル・タッグのベルトは、いまだ馬場・鶴田組の腰に巻かれたままなのだ。
タッグ王者チームという正規のチームが、別々のパートナーを従えて最強タッグにエントリーするのはどうも解せない。

「そうだよな、最強タッグは1年の総決算なんだから、王者チームは王者チームとして参加するべきだよ。ベルトと最強タッグは別物って考えなのかな」

師は、馬場・ドリー組と鶴田・天龍組の参加は当てたが、最強タッグ開幕までに馬場・鶴田組のインターナショナル・タッグ王座返上と最強タッグ優勝チームにタッグ王座を贈るという予想は見事に外してしまった。

「優勝チームをチャンピオンにしないまでも、ベルトは返上して欲しかったよ。じゃないと、今回の組み合わせが腰掛けみたいで説得力がないよな」

これからの全日本プロレスを背負っていくであろう、鶴田と天龍の次期エースコンビ。
しかし、そのコンビも最強タッグ専用ということになれば、本当に団体を二人に任せたとはいえない。

「今回から全日本の代表チームはジャンボと天龍になるんだろ。だったらなおさら、ジャンボも馬場とキッチリ別れないとな」

全日本プロレスの代表チームであれば最強タッグだけではなく、当然インターナショナル・タッグ王座戴冠も義務づけられる。
だからこそ、このタイミングで師弟コンビは、タッグ王座返上するべきだったのだ。

「馬場は負けるまでインタータッグを持ってるつもりなのかな。馬場はベルトも含めて、ジャンボと天龍に任せると思ったんだけどね」

馬場はこの期に及んで、タッグベルトに未練はないと思う。
そうなるとベルトを返上しない理由は、鶴田と天龍のことを心から信頼していないからなのか。
鶴田がインターナショナル王者となり世代交代したと騒がれているが、いまだに次期エースコンビと呼ばれているのも引っ掛かる。
全日本エースコンビと呼ばれない理由は、ファンやマスコミ、そして馬場までもが認めてないことになるのだ。

「ジャンボは直接馬場を倒して、エースになった訳じゃないからな。インター王者になったからエースになったってことは、間接的にエースになったことになるよね。馬場に勝つか馬場が引退しない限り、ジャンボはこのままだと思うな」

日本人同士の直接対決、ましてや敵対していない同門対決を嫌う馬場。
しかし、万人が認めるエースになるためには、何らかの形で鶴田は馬場から勝利を奪わなくてはならない。

「もしかすると最強タッグで、ジャンボは馬場からピンフォールを取るかもよ。そして、年明けにインタータッグ返上、ジャンボは完全なエースになるってことかな」

全日本プロレスで同門対決が許されるのは、シングルでは春のチャンピオン・カーニバル、タッグでは暮れの最強タッグだけである。
鶴田はこの限られたチャンスを生かし、師匠である馬場を破り真のエースになれるのだろうか。

 

つづく

 2013年9月13日(金)

  『実録・プロレス道 第135話』

空前の大ブームを巻き起こした、タイガーマスクが電撃引退してから3ヶ月。
新日本プロレスはジュニアヘビー戦線に、新たなマスクマンを登場させた。
タイガーマスクに代わる、ジュニアヘビーのスターになる期待を背負った男とはザ・コブラという。

「新日本も焦ってるのが良く分かるね。タイガーの代わりが早く欲しいのは分かるけど、デビュー戦がアレじゃちょっと厳しいかな」

コブラの日本デビュー戦は初来日のマスクマン、ザ・バンピートとのNWAジュニアヘビー級王座決定戦であった。
新しいスター誕生を匂わせる大一番の前に、なんとバンピートは自らマスクを脱ぎ捨て、デイビーボーイ・スミスという正体を明かしたのであった。
試合前から波乱を予感させてはいたが、試合内容が酷かったらしく、放送ではほぼダイジェストになってしまったのだ。

「コブラもチャンピオンになるにはなったけど、これからが大変だよね。キッドや小林、ブラック・タイガーなんかとやらなきゃならないんだから」

引退したタイガーマスクによって、大人気を呼んだ新日本プロレスジュニアヘビー戦線。
しかし、タイガーマスクが消えたことで、ジュニアヘビーの人気が落ちてしまったのだ。
その穴を埋めるべく登場したのがコブラなのだが、コブラにはいささか荷が重いようにも見える。

「コブラはタイガーみたいな無敗伝説はやめた方がいいよ。タイガーはやっぱり特別なんだから、コブラはタイガーのマネをしても限界があるからね」

デビューから無敗の快進撃に加えWWF、NWA両ジュニア王座戴冠。
それに今までにない四次元殺法を繰り出すタイガーマスクは、師から見てもやはり特別な存在のようだ。

「今まではキッドや小林たちがタイガーに挑戦する形だったけど、これからは三つ巴みたいに、勝ったり負けたりの方が面白いんじゃない」

今後、タイガーマスクのような、ズバ抜けた王者が現れることはないだろう。
コブラには期待したいが、正体が分かっているだけにあの選手では、新日本ジュニアのトップになり続けるのは難しいだろう。

「やっぱりマサルは正体に気づいたか。佐山と違って海外に出る前から人気があったからな」

ジュニアヘビーの選手にしては珍しい長身でありスラリと長い足、均整のとれた筋肉に褐色の肌はジョージ高野以外に考えられない。
会場で何度も高野を見たマサル少年は、師に聞かずともコブラの正体を見破っていたのだ。

「ジョージが海外でコブラになったって噂もあったからね、まず間違いないよ。中身がジョージじゃないとしても、タイガーと同じ期待をするのは気の毒だよね」

メキシコからカナダ・カルガリーに渡りコブラに変身した高野。
タイガーマスクが引退したための急造マスクマンではないこと強調しているが、どうしても比べてしまう。
しかし、タイガーマスクはタイガーマスクであり、コブラはコブラなのだ。
体格もファイトスタイルも性格も違うのだから、同じことを求めるのは無理な話なのだが、コブラがタイガーマスクを越えることもなくはない。
デビュー戦では躓いてしまったが、今後の闘いしだいではタイガーマスクを抜く可能性だってあるのだ。

「タイガーに惑わされることなく、自分のスタイルを完成させればコブラは成功するよ」

コブラはタイガーマスクの幻影を振り払い真のスターになれるのか。
それとも曲者揃いの新日本ジュニアヘビー戦線の渦に飲み込まれ、悲劇のマスクマンとして消えて行くのか。
気になるコブラの次の相手は小林邦昭かダイナマイト・キッドか、はたまたスミスとの再戦なのか。
しかし、次のシリーズは毎年恒例のタッグリーグ戦、ジュニアヘビーの出番がないことにマサル少年は少しばかりガッカリしていた。


つづく

 2013年9月6日(金)

  『実録・プロレス道 第134話』

数々のスキャンダルばかりが目立つ新日本プロレスが、闘魂シリーズ最終戦蔵前国技館大会で巻き返しを狙っていた。
谷津嘉章の加入により戦力アップした維新軍と、新日本プロレス正規軍のシングルマッチ4対4による全面戦争が実現したのだ。

「タッグかと思ったけど、シングル4試合には驚いたな。長州は谷津を仲間に入れたことで、今が本隊を叩くチャンスだと思ったんだろうな」

結果的に維新軍の1勝2敗1分けと、長州力の思惑通りとなった。
しかし、アントニオ猪木と長州の直接対決がなかったことや、カード的に維新軍の完全勝利とは言えない内容であったとも考えられる。

「ピンフォール決着も猪木と谷津の試合だけで、あとはフェンスアウトやリングアウトだからね。どうせ完全決着じゃないなら、猪木は長州とやって欲しかったよ」

正規軍対維新軍というよりも、猪木と長州の大将同士の対決を期待したファンは多かったことだろう。
しかも、唯一ピンフォールで決まった試合が猪木対谷津のみ、またしても谷津は貧乏くじを引かされた格好になったようだ。

「本当に谷津は可哀想だよね。維新軍入りしての初のビッグマッチで、また猪木に潰されたんだからさ」

明らかに勝ち目のない猪木と闘うよりも、谷津にとってはむしろ、藤波辰巳や前田明あたりと対戦した方が、実力を発揮出来たのではないのだろうか。
維新軍での今後の活躍を期待するのであれば、今回のマッチメークは失敗に見える。

「でも長州以外に猪木にぶつけるなら、やっぱり谷津になるのかな。浜口やカーンだと新鮮味に欠けるし、帰国してスタイルの変わった谷津を試してみたいのも分かるな」

新日本プロレスの大エース、猪木と蔵前のメインで闘えるのは凄いことではあるが、今の谷津に必要なのは勝利を重ねることではないのか。
いくら超大物と対戦しても、負けてしまえば意味はない。
プロレスは勝ち負けだけではないが、キャリアの少ない者に大事なのは、試合に勝つことで得られる自信ではないのだろうか。
特に谷津のようなアマチュアのスターだった選手には、プロのリングで勝つ喜びを染み込ませなければ伸び悩んでしまうだろう。

「国内デビュー戦と同じだよね。場所も同じ蔵前だし、名誉挽回のチャンスといえば聞こえはいいけど、やっぱり引き立て役になっちゃうんだね谷津は」

維新軍の一員としてプロレスラーの再スタートを切ったが、またしても壁にぶつかってしまった谷津。
師の言うように、谷津はどこへいっても引き立て役のまま主役にはなれないのか。

「谷津の才能は素晴らしいと思うけど、トップなるような迫力がまだないよね、それは藤波もそうなんだけどさ。それに比べて猪木や長州は、何をしでかすか分からないギラギラしたものがあるよ。何がなんでもトップになるっていう気迫っていうか執念みたいなものがね」

パワー、スピード、テクニックを兼ね備えたプロレス的才能に加え、トップになるには親兄弟でも容赦はしない野望を持たなければ新日本プロレスで生き残れないのか。
いや、新日本プロレスでは才能よりも野望が上を行くようにも見える。

「仮に谷津が猪木を倒しても、長州に勝たなきゃ維新軍のトップにはなれないよ。もし谷津が維新軍でトップを獲りたいなら、政権争い、つまり長州と仲間割れの分裂ってことになるね」

トップになるために猪木は団体を旗揚げし長州は軍団を結成した。
同じ場所で同じことを繰り返しても、良くて2番手トップに絶対になれないし、そんなトップは誰も認めない。

「まあ谷津も藤波もしばらくは2番手に収まってるだろうな。下手に動いてこれ以上軍団を増やしたら収拾がつかないからね。それよりも、遂にジュニアヘビーの方が動いたね」

つづく

 2013年8月30日(金)

  『実録・プロレス道 第133話』

新日本プロレスがまたしても世間を騒がせている。
8月に解任されたアントニオ猪木と坂口征二が、元のポストである社長と副社長に電撃復帰したのである。
新体制は3ヶ月を持たずに、なぜ崩壊したのだろうか。

「やっぱり猪木じゃなきゃダメだって分かったんだろうな。新日本の猪木じゃなく、猪木の新日本ってことなんだね」

社長を解任されたとはいえエースであることは間違えないのだ、試合にさえ出場していれば、猪木を役員に戻す必要などないのではないか。
経営力に問題のあるがため解任したというのに、早すぎる復帰の意味が飲み込めない。

「理由としては猪木の退団防止だろうな。権力を失った猪木が新間と新団体を設立する噂があったからね。新日本は猪木に抜けられたら、団体としての機能を失う訳だから」

自分が立ち上げた会社なのに、自分の自由が効かなければ会社に留まる意味などない。
ならばいっそ新団体を設立すれば、また自分の思い通りになるのだ。

「猪木たちの解任騒ぎで猪木側に付いてる選手やフロントだっているはずだし、そのへんがゴッソリ抜けたらその瞬間に新日本は潰れるよ」

猪木が退団せずに社長に短期間で復帰したことを考えると、師の推理はまず間違いなさそうだ。
しかし、前役員たちが猪木復帰に最後まで反対していたら、本当に猪木は新団体を旗揚げしたのだろうか。

「新間が復帰してないのが引っ掛かるんだよ。猪木と坂口は復帰したのに、新間だけ退社したままなのが気になるんだよ」

過激な仕掛人として、奇抜なアイデアで数々のヒットを飛ばした新間寿氏。
時代の流れを素早く読み取る洞察力や押しの強さで、新日本プロレスを一流団体に押し上げた功労者の1人である。
そして何より東京プロレス時代から続く、猪木との絆は有名だ。

「新間も気持ちは猪木と同じだと思うよ。旗揚げから団体を支え続けてやっとの思いで人気団体にしたのに、おいしい所を持っていかれたようなもんだからね。それなら、新日本を捨てて猪木とやり直した方がやりがいがあるよ」

木の日本プロレス追放により、急遽設立された新日本プロレス。
旗揚げ当初は所属レスラーも少なく、テレビ中継もなく有名外人レスラーも呼べない弱小団体だった。
そのいつ潰れてもおかしくない団体を、猪木と新間氏の二人三脚で苦労を乗り越え人気団体にしてみせたのだ。
今回のクーデター騒動で、猪木と坂口ばかり注目されているが、新間氏の怒りや悔しさも相当なものだと思う。

「新日本としては、猪木と坂口つまりレスラーの退団だけは避けたいと考えたんだね。確かに客を呼ぶのはレスラーかも知れないけど、フロントの力も大事なんだけどね。それに新間ほどの人間を敵に廻すと大変なことになるよ」

新日本プロレスと袂を別けた仕掛人は、何を企んでいるのだろうか。
新日本プロレスへの復帰か、それとも新団体を率いての復讐か。
猪木も社長に復帰したとはいえ、新団体設立が本格始動したらどうなるか分からない。
それに、8月に引退したタイガーマスクこと佐山聡の動向も気になる。
今回の新日本プロレスのクーデター事件は、猪木の社長復帰ではなく、新間氏と佐山の落ち着き先がハッキリするまで終焉を迎えたとは言えない。


つづく

 2013年8月23日(金)

  『実録・プロレス道 第132話』

獅子は我が子を崖から突き落とし、這い上がって来たものだけを認めるという。
アントニオ猪木の若手育成方針とは、まさにそのことだ。
アマチュアスポーツで実績をあげた者でも、テストを受けた練習生でも育て方は同じなのだ。

「育て方は同じでも、最終的に猪木の方に残ってるのは叩き上げ組で、スカウト組は敵対してるよね。やっぱり猪木は自分と同じ境遇の人間が好きなのかな」

現在、猪木サイドにいる藤波辰巳、木村健吾、前田明、星野勘太郎などは完全な叩き上げ。
かたや維新軍は、長州力、谷津嘉章、マサ斎藤などオリンピック出場経験のあるエリートが顔を揃える。
坂口征二やキラー・カーンのような例外もあるが、派閥の中心はハッキリしている。

「たまたまなのかも知れないけど、似た者同士が集まるのが自然だよ。全日本じゃ考えられないけどね」

新日本プロレスが日本人対決、日本人抗争を売りにするのであれば、同じ日本人でも善と悪の色分けをしないと、見ているファンには分かりにくい。
逆に全日本プロレスのように対外人となれば、日本人は悪になる必要などないのだ。

「あと言えるのは、日本人が増えてきたから日本人対決をしなきゃならないってことかな。長州だって本隊にいたらチャンスはないからね」

日本人対外人であれば、チャンスをものに出来るのはごく僅かなレスラーだけになってしまう。
しかし、日本人対決になれば、メインやセミファイナルに出場する機会も当然増える。
長州もその辺を狙って、本隊に噛みつき自らの手でチャンスを掴み取ったのだ。

「長州たちが本隊を抜ければ、その穴を誰かが埋めなきゃならないからね。今まで前座や中堅で燻って選手にも、チャンスが来るはずだよ。それに本隊でダメなら、長州の方に行くって選択肢もある訳だから」

序列を崩すことが難しいと言われるプロレス界。
ただでさえ選手寿命が長いのだから、上の選手がつかえていたらデビューから引退まで前座で過ごすことも考えられる。
その限られた日本人の枠を団体内の日本人対決を行うことで、新日本プロレスは広げることに成功したのかも知れない。

「そう言われると、全日本より新日本の方が有名な日本人が多いのかな。日本人対決だけの中継も多いしね」

頻繁に10人以上のレスラーがテレビに映る新日本プロレスに対して、全日本プロレスはジャイアント馬場やジャンボ鶴田の他は、良くて2、3人といったとこだろう。
確かに日本のプロレスの原点は日本人対外人なのだが、こう日本人が膨れ上がっては従来のスタイルでは難しくなるのではないか。

「馬場のあとはジャンボと天龍でいいけど、その下の世代がいないんだよな。だから新日本とは逆に外人同士の試合が多いからな全日本は」

NWAやAWAの世界王者を中心に、アメリカナイズされた本場のプロレスを展開する全日本プロレス。
しかしその王者クラスに対抗出来る日本人が少なく、このままだと本当の外人天国になりかねない。
それに王者クラスの招聘が不可能になった場合、魅力あるカードが組めなくなってしまう。

「外人ルートに心配ないと思うけど、やっぱり日本人の層が薄いよな。中堅は年を取りすぎてるし、若手はジュニアばっかりだしな」

日本人抗争の成功により、磐石の布陣を誇る新日本プロレス。
豪華外人と世界王座を売りにしてはいるが、日本陣営に問題を抱える全日本プロレス。
10年続いた両団体が、このまま波に乗るのか堕ちていくのか。
ただこのまま何も起きないのであれば、逆にプロレスはつまらなくなると思うマサル少年だった。


つづく

 2013年8月9日(金)

  『実録・プロレス道 第131話』

ジャンボ鶴田をエースに据えた、新体制が噂される全日本プロレス。
そんな中、ライバルである新日本プロレスに、またしても問題が起きた。
将来のエース候補であり、元アマレス五輪日本代表の谷津嘉章が長州力との共闘を宣言し、層が厚くなった革命軍は軍団名を維新軍に変更しさらに牙を剥いたように見えた。

「谷津が海外修行中に長州と接触してたのは聞いてたけど、まさか本当に長州とくっつくとはね。それに谷津は本気だよ、会社に辞表を出したみたいだし、完全に新日本のエースをあきらめたんだな」

約1年間の海外修行中に何があったのだろうか。
ただ言えるのは、1年前に本隊にいた頃のお坊っちゃん顔から、贅肉が削げ落ち髭を蓄えた精悍な顔つきは革命の志士そのものであり、維新軍入りは当然のように思えた。

「これで長州のところも駒が揃った感じだね。斎藤もカーンも海外でのスケジュールの関係で、日本定着は難しいからね」

維新軍で海外組を除くと、長州力、アニマル浜口、ジュニアヘビーの小林邦昭の3人だ。
そこへ谷津が加われば、常にヘビー級が3人となり、どんな試合にも対応できることになる。

「でも谷津は本隊に残ると思ったけどな。やっぱり長州や斎藤のアマレスの繋がりなのかな。それとも、本隊でおとなしくしてても、上に行けないと判断したのかな」

師の言うことも一理あると思うが、谷津はここ最近のトラブルや猪木の育成方針に疑問を持ったのではないのだろうか。
確かにアマレスという共通点での結束力は強いと思うが、谷津もレスラーであるならばどちらに付けば天下を獲れるのか、自分が伸し上がれるのかを見極めたのだと思う。

「オレも観に行ったけど、谷津の日本デビュー戦は可哀想だったからね。それに会社の不祥事もあったもんだから、会社不信、猪木不信になってもおかしくないよ」

本来なら大事に育てられると思われがちな、将来を約束されたスカウトによる入団選手。
特に谷津は五輪出場経験もあり、日本アマレス重量級史上最強といわれた男なのだ。
そんな谷津が日本のデビュー戦で、まったく良いところなく終わってしまったのだ。
師匠であるアントニオ猪木と組みメインとはいえ何も一流外人にあてなくとも、格下相手に勝利を飾り華を持たせても良かったのではないのか。

「あれが新日本流っていうか猪木の本心なんだろうな。スカウトで即戦力と期待されて入団した者とテストで入門を許された練習生でも同じように厳しくするんだね。それは自分が受けた馬場との差別を今でも忘れてないからなんだよ」

入団と入門、一文字違うだけでこうも扱いや注目度が違うものなのか。
しかし、馬場と猪木は同じテストによる入門組と聞いているが。

「入り方はそうだけど、元巨人軍選手と何もないブラジル帰りの青年では、期待が違うよ。それに馬場は体もセンスもあったし努力もしたから、力道山は育成方針を変えたんだと思うよ」

そうか、だから猪木は誰でも分け隔てなく厳しく育て、自分と同じく這い上がった者だけを認めているのか。
もしも鶴田が新日本プロレスに入団していたら、谷津のような扱いだったかも知れない。
馬場流の英才教育を受けなければ、インターナショナル王者どころかプロレスラー・ジャンボ鶴田も誕生していなかっただろう。

「馬場だって誰でもって訳じゃないよ、天龍なんか時間がかかったしね。でもやっぱり猪木の方が偏ってるみたいだね。本隊と維新軍のメンバーを見ればよくわかるよ」


つづく

 2013年8月2日(金)

  『実録・プロレス道 第130話』

不沈艦スタン・ハンセンがジャイアント馬場を破り、PWFヘビー級王座の初奪取に成功した。
昨年全日本プロレスに戦場を移してから約一年半、念願のベルト奪取であり打倒・馬場であった。

「馬場が負けたのは悔しいけど、これでますますジャンボとのタッグ解消が濃厚になってきたね」

シングル王座無冠の馬場とインターナショナル王者のジャンボ鶴田とでは、エース交代と言われても仕方がない。
レスラーとしての格では、まだまだ馬場の方が上だと思うが、無冠になったことをきっかけに師弟コンビを解散する理由が出来たともいえる。

「師弟コンビ解散は時間の問題として、インター・タッグの返上はやっぱり最強タッグ前になるのかな」

師弟コンビが長年保持し続けてきたインターナショナル・タッグ王座。
インターナショナル・ヘビー級王座同様、日本プロレス時代から続く伝統あるタイトルだ。
インターナショナル王座が日本のエースが巻くものならば、インターナショナル・タッグ王座は日本のトップチームが巻くものなのだ。
そして、シングルとタッグを同時に保持するものこそ、日本のトップレスラーと言っても過言ではない。

「馬場も日プロ時代は、インター二冠王者だったからね。二冠王者の重みは分かってるから、一歩退いた形でエースはジャンボに任せるはずさ。だから、インター・タッグも早く返上するべきだし、もしまたインター・タッグを狙うなら、ジュニアと組んで挑戦すればいいんだよ」

馬場がインターナショナル・タッグ王座は鶴田と保持しているが、最強タッグにはドリー・ファンクJr.と参加するのでは何か矛盾している。
タイトル・マッチだろうがノン・タイトルだろうが、タッグを組み続けた一年間の成果をぶつけるのが暮れの最強タッグなのだ。
もしも馬場がインターナショナル・タッグを返上せずに、鶴田以外のレスラーと最強タッグにエントリーするのであれば馬場の考えを疑ってしまう。

「マサルの言う通りだとオレも思うよ。最強タッグはお祭り的に見えるけど、1年の総決算だからね。ベルトとは別物かも知れないけど、ベルトと同じぐらいの価値ある大会だよ。だからインター・タッグの問題は、最強タッグまでには解決するよ」

空位になった訳でもないのに、宙に浮いた状態にあるインターナショナル・タッグ王座。
ッグチームであれば、どのチームも目標にするベルトであることは間違えない。
だからこそ、チーム再編が噂されているのであれば、ベルトを返上し新しいチームで争えば良いのではないのか。
時期的に最強タッグも近づいているのだから、最強タッグ優勝チームをインターナショナル・タッグ王者に認定したっておかしくはない。
しかし、最強タッグとインターナショナル・タッグ王座を結び付けた前例はないことが引っ掛かる。

「前例?そんな前例がなければ、これから作ればいいんだよ。過去にこだわるほど、くだらないことはないからね。歴史や伝統もいいけど、もっと新しいことにチャレンジしなきゃプロレスは発展しないよ」

古き良きプロレス界を愛する師にしては、珍しいセリフだった。
日本プロレス界の伝統を守る全日本プロレスが、鶴田が新エースになることにより、変わらなければならない時期に来ていることだけは確かだった。


つづく

 2013年7月26日(金)

  『実録・プロレス道 第129話』

ジャンボ鶴田、インターナショナル・ヘビー級王座奪取。
師匠格のテリー・ファンクの引退に花を添えるとともに、全日本プロレスのエースの座を獲得する一戦でもあった。
師の言うジャイアント馬場と鶴田の師弟コンビ解散の理由とは、このことなのか。

「ジャンボがインター王者になったっていうことは、全日本のエースはジャンボになったんだよ。エースなんだから、もう馬場の手助けは必要ないんだよ」

確かに馬場と同じコーナーに立てば、いくら鶴田がインター王者とはいえ馬場の方が格上に見えてしまう。
それに鶴田だって馬場と組めば、師匠を立てるに決まっている。
歳をとり体力が衰えてきても、格という意味では鶴田は馬場を越えることは不可能に近い。

「馬場はもうジャンボを育てる必要はないと判断したんだろうな。インター王者イコール日本のエースだからね。あとは天龍と二人で全日本を守ってくれと、思ってるはずだよ」

しかし、師の考える師弟コンビ解散、鶴田と天龍の次期エースコンビ誕生も正式な発表はなく、まだ師の予測程度の話なのだ。
馬場と鶴田はインターナショナル・タッグ王座も保持しているので、そう簡単にはタッグを解消するとは考えにくい。
鶴田がインター王者になったとはいえ、馬場だってPWF王者なのだ。
チャンピオン同士のタッグチームとして、まだまだ全日本プロレスの代表チームでいるのではないのだろうか。

「今すぐに解散ってことはないと思うけど、最強タッグあたりで正式発表するんじゃないのかな。それまでにインター・タッグは、返上すると思うよ。最強タッグの優勝チームをインター・タッグ王者にしても面白いよね。それに、馬場・鶴田組解散の理由はもう一つあるしな」

次期エースコンビが、全日本プロレスが誇るタッグの祭典、世界最強タッグ決定リーグ戦で誕生するのもうなずける。
ファンクスが消えた今、超獣コンビに太刀打ち出来るのは、鶴田・天龍組ぐらいなものだろう。
いくら次期エースと謳ってみても、全日本プロレスマットを我が物顔で伸し歩くハンセンとブロディを倒さなければ意味はない。
超獣コンビを倒し、最強タッグ優勝となれば、誰もが認めるエースコンビとなるだろう。
そうなると、今年の最強タッグは、二強のマッチレースになってしまい、馬場は蚊帳の外に出されてしまうのも何だか淋しい。

「いや馬場も優勝争いに絡むよ。馬場はジュニアと組むために、ジャンボとのコンビを解消するはずだよ。だから、ブロディ・ハンセン、ジャンボ・天龍、馬場・ジュニアの三強が出揃うよ、きっと」

そうか、もう一つの理由とは、馬場とドリーのタッグ結成だったのか。
若い頃から鎬を削ったライバル同士、それも元NWA王者のタッグとなれば贅沢すぎる。
テリー引退によるファンクス解散と、鶴田のインターナショナル王座奪取によるエース交代が巧く噛み合ったのか。

「まあまだ推測段階だけどね。最強タッグ参加チーム発表までには、インター・タッグ返上、ジャンボ・天龍組、馬場・ジュニア組は結成されてるはずだよ」

テリーの引退で、大幅な変化が予想される全日本プロレスタッグ戦線。
やはり今年は、新日本プロレスだけでなく、日本プロレス界全体に何かが起こる時なんだと思うマサル少年だった。

つづく

 2013年7月19日(金)

  『実録・プロレス道 第128話』

自身の引退試合を見事勝利で飾った、荒馬テリー・ファンク。
最後の勇士を目に焼き付けようと、蔵前国技館に集まった超満員のファンの目には光るものがあった。

「試合も確かに感動的だったけど、やっぱり試合後のメッセージが泣けたよ」

一時代を築いた大スター選手の引退なのだが、マサル少年は師ほど感動はしなかった。
テリーよりスタン・ハンセンが好きなこともあるが、涙も出ないし感動しないのは単にへそ曲がりだからなのか何なのか、自分でもよく分からなかった。

「それは思い入れの差だと思うよ。シニア、ジュニア、テリーのファンク一家やアメリカン・プロレスへの思い入れの差だよ。オレたちの世代はファンクスがプロレスの代名詞みたいなもんだからな」

言われてみれば、ドリー・ファンクJr.やテリーのNWA王者時代も良く知らないし、ましてやシニアのことなどまったく知らない世代なのだ。
確かにテリーは人気はあったが、伝説のオープン・タッグ以降はこれといった印象はなかった。

「マサルが言うのも分かるよ、最近のテリーは怪我との闘いだったからな。だから、テリーの対戦相手の方が目立ってたのも確かだよね」

ザ・ファンクスの日本での抗争相手といえば、アブドーラ・ザ・ブッチャー、ザ・シーク、そしてブルーザー・ブロディとスタン・ハンセンの超獣コンビが思い浮かぶ。

「テリーはブッチャーたちの凶器攻撃をまともに受けてたからね。ブロディとハンセンにしても、ファンクスを踏み台にしたかも知れないけど、倒すのに時間がかかったよ。ただでは死なないシブとさみたいものがあったね」

あの無敵の超獣コンビでさえ、手こずったファンクス。
最近では思うような戦績を残してはいないが、ファンクスの試合は勝ち負けを越えたところに感動が待ち構えているのだろう。
目先の感動にしか気が付かないマサル少年は、自分自身の愚かさを知った。

「プロレスは勝ち負けだけじゃないけど、昔のファンクスは勝った上で感動を与えたからね。ジュニアもテリーもそれだけ強かったんだよ」

日本のプロレスファンに涙と感動を与え続けてきたファンクスも、テリーの引退により解散してしまう。
そうなると、全日本プロレスマットは、超獣コンビのものになると言っても過言ではない。

「ファンクスとブロディ・ハンセン、馬場・鶴田が三強だったからね。ファンクスが抜けたあと、もう1チーム欲しいとこだね」

毎年暮れの世界最強タッグ決定リーグ戦やインターナショナル・タッグ選手権など、タッグならではの勲章も全日本プロレスの名物だ。
ファンクスが解散したからといって、ドリーが不参加というのも芸が無さすぎる。
ファンク一家のディック・スレーターや、NWA王座を争ったハーリー・レイスとタッグを結成しても悪くはない。
それより、将来のエース教育という意味で、天龍源一郎とのコンビも魅力的だ。

「レイスと組んだら面白いけどスレーターじゃ物足りないな。天龍は良いと思うけど、天龍はそろそろジャンボと組むんじゃないのかな」

ジャンボ鶴田といえば、師匠であるジャイアント馬場とのタッグは崩れないのではないのか。
全日本プロレスの看板チームでもある、師弟コンビを解消するには大きな理由が必要だ。

「師弟コンビ解消の理由?それはこの前の蔵前で起きたじゃないか」


つづく

 2013年7月12日(金)

  『実録・プロレス道 第127話』

師の気にしている、″あの日″がついに来てしまった。
そう、それは8月31日、テキサス・ブロンコ、テリー・ファンクの引退試合の日である。

「とうとう来ちゃったね。まだまだやれるとは思うけど、膝の具合も良くないし、タイミング的にはやっぱり今なのかな」

人気は勿論のこと、年齢的な体力面も引退するには早いように思える。
しかし、それでも引退を撤回しないのだから、周りが考えている以上に膝はボロボロなのだろう。

「膝が動くうちに引退したいって、テリー本人も言ってたしね。不様な姿をファンに見せたくないのも、テリーらしくていさぎ良いよね」

引退については二通りあると、マサル少年は考えている。
花は桜木、人は武士ではないが、見事な引き際というか状態の良いときに惜しまれながら身を引くケースと、周りが何と言おうと本当に動けなくなるまで続けるケースだ。
どちらが正しいとは判断出来ないが、テリーも本心は後者だったのではないのか。

「外見では分かりにくいけど、テリー的にはもう限界だったんじゃないのかな。マサルが言う、テリーの膝は動かなくなる寸前なのかも知れないよ」

そうか、テリーの場合は、年齢からくる体力の衰えではなく、膝の怪我によるレスラーとしての限界を感じていたのか。
しかし、怪我が原因とはいえ、兄のドリー・ファンクJr.や先輩格のジャイアント馬場より先に、リングを去ることは無念だろう。

「そりゃ悔しいに決まってるよ。テリーの怪我だって、あの荒々しいファイトのせいだしね。でもあの感情剥き出しのスタイルが良かったんだよなぁ」

アブドーラ・ザ・ブッチャーをはじめ、数々の悪党レスラーと血の抗争を続けてきたテリー。
その凶器や反則を怖れぬ、捨て身のファイト・スタイルが日本で大人気を呼んだのだ。
そして、レスラー人生最後の試合の地として日本を選んだのも、日本のファンを愛するテリーらしい。

「日本でやるのも嬉しいけど、最後はやっぱりファンクスできたのが嬉しいよ。ハンセンとの因縁も、最後の最後に勝ってスッキリさせたいね」

々の名勝負を生んできたザ・ファンクスの、最後の対戦相手に名乗りを挙げたのは、ファンクスの弟子であり最後の抗争相手であるスタン・ハンセン。
ハンセンのタッグ・パートナーがブルーザー・ブロディではなく、初来日のテリー・ゴディなのが残念ではあるが、テリーの引退試合に相応しいカードには違いない。

「ブロディが絡まないのは残念だけど、ブロディは同じ日にインターの防衛戦もあるしね。ゴディだってフリーバーズの噂も聞いてるし、楽しみな選手だよ」

タイガーマスクも引退し、テリーも引退する。
猪木の失神事件に新日本プロレスのお家騒動もあり、まだ夏だというのにプロレス界はいろんなことが起こりすぎた。
もしかすると、この一連の出来事は何かの前兆なのだろうか。


つづく

 2013年7月5日(金)

  『実録・プロレス道 第126話』

タイガーマスク引退に続き社内クーデターまで発覚し、状態が落ち着かない新日本プロレス。
開催が危ぶまれていたブラディ・ファイト・シリーズだが、なんとか予定どおり開幕した。

「猪木も復帰したし、ファンも応援してるみたいだから、今のところ新日本は大丈夫だと思うよ」

社長を解任されたアントニオ猪木がリングに復帰したことで、新日本プロレス離脱、新団体設立の噂は一旦は消滅した。
しかし、最近の新日本ブームの立役者であるタイガーマスクがいないことが、なんとも寂しい。

「タイガーの引退は急だったからね、今回のシリーズもタイガー目当てで前売りを買ったファンは多いはずだよ。だから本当の意味で次のシリーズが勝負どころだよ」

子供たちが喜ぶマスクマンでありスーパーヒーローのタイガーマスク。
そしてなにより、常人の能力を越えた四次元殺法は、今までプロレスに興味を持たない人たちも、プロレスファンにしてしまうほど魅力的だった。

「観客動員数でもテレビの視聴率も、タイガーがかなり貢献してたと思うよ。子供が見たがるから、親が会場に連れて行く訳だし、テレビも子供が優先だろうからね」

子供にせがまれ付き添いのはずが、親までタイガーマスクのファンになったというのもよく聞く話だ。
正直なところ、タイガーマスクは好きだが、プロレス自体は特別好きではない人もいるに違いない。
そんな団体の要である、タイガーマスクがいなくなってしまったのだ。
新日本プロレスはタイガーマスクの穴を、どう埋めるつもりなのだろうか。

「タイガーの代わりは誰にも出来ないよ。新しいマスクマンを出したとしても、タイガーと比べられてすぐに潰れちゃうよ」

師の言う通り、やっつけ的に若手レスラーにマスクを被らせても、途端にメッキが剥がれ評判を悪くするだけだ。
タイガーマスクの穴を埋めるのであれば、タイガーマスクの身体能力を上回るレスラーを用意しなければならない。

「新日本だってそのへんは分かってるはずだよ。マスク被ってりゃ人気が出るなんて簡単に考えてる訳ないよ」

タイガーマスクやブラック・タイガーも登場した時は、子供騙しのイロモノレスラーだと思っていた。
しかし、試合を見るにつれて、その実力者ぶりに驚かされたものだ。

「タイガーが抜けたのは確かに痛いけど、猪木、藤波、長州がしっかりしてれば新日本は大丈夫だよ」

IWGPのベルト獲りを目指す猪木と、藤波辰巳と長州力のライバルストーリーを軸に立て直しを図るしか、今の新日本プロレスに方法はない。
しかし、なぜ新日本プロレスばかり問題が起きるのだろうか。

「IWGPで猪木が負けてから、なんかツキに見放された感じだよね。あの失神事件を境に、悪いことばっかり続くよな」

猪木が提唱した世界統一のタイトルIWGP。
その初代王者は誰が考えても猪木だと思っていたはずだ。
それなのに、格下のハルク・ホーガンに失神KO負けしまったのだ。
勝負の世界なのだから時には負けることもあるが、どうしても負けられない時、いや勝たなければならない時に勝つのが、真のエースなのである。

「まさにあのIWGPが猪木にとって、その舞台だったんだね。だから、あの日から全てのことが狂ってきたんだよ」

猪木のIWGPでの敗戦は、来年度に繋げる負けではなく、新日本プロレスが崩壊に向かう負けだったのかも知れない。

「まあ新日本はスキャンダルを売りにするところがあるからな。この一件を上手く使わないと、本当に危ないかもね。それよりも、あの日が近づいて来たね。オレはあの日の方が大事だよ」

そうか、あの日か。

つづく

 

 

 

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