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 2013年3月29日(金)

  『実録・プロレス道 第112話』

ジャイアント馬場とアントニオ猪木が、なぜ全日本プロレスと新日本プロレスに別れてしまったのか、マサル少年は良く理解していなかった。
アメリカとは違い、小さな島国の日本には、プロレス団体はひとつでも問題はないと思うのだが。
日本に団体がひとつならば、四年前のオールスター戦並みのカードがいつでも実現可能なのに。

「そりゃ、ひとつの団体の方が良いかも知れないけど、レスラーの数が増えると、いろいろ問題が起きるもんなんだよ。それにオールスター戦は、分裂した後だからありがたみがあったんだよ」

一日の試合数を考えると、団体所属レスラーは25人ぐらいが理想だが、来日参戦する外人レスラーを入れるとそれでも多い気がする。
プロ野球は登録選手数が決められているため、毎年ドラフトやトレードなどで選手を入れ替え、常に戦力を強化している。

「野球ではクビになっても、他球団でプレー出来る希望があるだろ。でもプロレス団体がひとつだと、団体を飛び出したら廃業しかないからね」

プロレス団体がひとつならば、安易に夢のカードが実現するというのは、ファン目線であり、子供の発想であった。
レスラーは体を鍛え、命を懸けて闘う商売だが、上がるリングが無くては話にならないのだ。
それに師の言うように、同じ団体にいるのであれば、夢が夢でなくなってしまう。

「何かしら揉め事があったり、理不尽な理由で追い出されるとレスラーはプロレスを辞めなきゃならないだろ。でもレスラーを続けたいなら、自分で団体を立ち上げるしかないんだよ。それでも力道山が生きてる時は、難しかったみたいだけどね」

力道山が生きていた頃の日本プロレスは、日本でただひとつのプロレス団体と聞く。
そして、団体の社長であり絶対的エースの力道山には、誰も逆らえなかったらしい。

「日プロの他に、山口利夫の全日本や木村政彦の国際もあったみたいだけど、力道山の人気と力には敵わなかったみたいだよ」

プロレスという新しいスポーツに将来性や夢を見て、角界や柔道界から人材が集まってきた日本のプロレス黎明期。
そんな時代だからこそ、ひとつの団体と思いきや、3つも団体があったとは驚いた。

「まあ、そんな時代だからこそ、自分がトップになりやすいし、ならなきゃ意味がないよね。結果的に勝ち残った力道山は、レスラーとプロモーターの才能が抜き出てたんだよ」

しかしそのプロレス界の天皇である力道山が亡くなると、また団体は分裂してしまう。
国際プロレス、東京プロレス、新日本プロレス、全日本プロレス。
しかもアントニオ猪木は、日本プロレスを二度も離脱しているのだ。

「猪木は何がなんでも馬場を抜いて、トップになりたかったんだよ。馬場と同じところじゃ無理だから、東プロを旗揚げしてエースになったからね。新日本は、会社改革を乗っ取り扱いされて除名追放になって創ったんだけど、とにかく猪木はよく動くよ。あの行動力は、プロレス界のトップになりたいからこそだよ」

東京プロレス解散後、日本プロレスに復帰した猪木だが、日本プロレス選手会を除名追放されては戻る場所はなく、新団体を旗揚げするしか道はない。
新たに新日本プロレスというライバル団体が誕生しても、日本プロレスは不動のエース、ジャイアント馬場さえいれば安泰であった。


つづく

 2013年3月22日(金)

  『実録・プロレス道 第111話』

BI砲……昭和35年同期入門の馬場正平と猪木寛至、後のジャイアント馬場とアントニオ猪木の日本プロレス史上、最強と呼ばれたタッグチームである。

「最強のタッグだけど、エースは馬場だからね。パートナーは別に猪木じゃなくても、吉村か坂口と組んでも強かったと思うよ」

日本プロレスのエースであり、シングルのトップレスラーは、インターナショナル・ヘビー級王者の馬場である。
プロレスにはタッグマッチもある訳だから、馬場も誰かとチームを組まなければならない。
エースである以上、シングルもタッグもチャンピオンでなければならなかったようだ。

「そりゃエースなんだから、どんな試合でも強さを求められるよ。特にインターのベルトには強豪が挑戦してくるからね。当時の猪木には、ちょっと荷が重かったよ」

馬場あっての日本プロレス、馬場がメインのBI砲と師は強調している。
馬場に才能があり、トップレスラーとしての実力も人気もあったことは認めなければならない。
しかし、同期入門の猪木にしてみれば、納得がいかなかったことだろう。

「馬場と猪木は、若手時代に十何回対戦してるけど馬場の全勝だからね。猪木が力を付けてから、馬場に一騎討ちを迫ったりしたけど、馬場の中では決着は既についていたんだよ」

華やかなスター街道を歩む同期の馬場を、猪木は羨ましく思っていたに違いない。
そして、チャンスさえあれば、馬場に並び抜き去ることも出来ると信じていたはずだ。

「猪木は決して悪くはないんだけど、馬場はあの体とアメリカ修行でものにしたダイナミックなプロレスが、当時のファンにウケたんだと思うよ」

209㎝という日本人離れした体格は、猪木にはない馬場のレスラーとしての財産だ。
敵対する外人レスラーより体が大きいだけで、馬場は有利に試合が出来る。
観ているファンも、馬場なら外人に勝てると応援にも熱がこもる。

「馬場があの体を最大限に活かしたからこそ、レスラーとして成功したんだよ。最初からエリート扱いした力道山は、やっぱり見る目があったってことかな」

馬場の才能が素晴らしく、いち早くメインエベンターになったのは、師の説明でよく分かった。
しかし、今の猪木を見る限りでは、馬場にそんなに遅れをとるとは考え難い。

「だから猪木は悪くはないんだよ。悪くはないけど、ズバ抜けて良くもないんだよ。エースは一人でいいんだから当然、馬場の方が上でエースってことになるんだよ」

だからいったい、猪木のどこが悪くないのかを、マサル少年は知りたいのだ。
馬場贔屓の師の説明では、馬場のことは詳しく分かるのだが、猪木ことになると説明が不充分のような気がする。

「ハッキリ言うと、猪木が馬場を抜いてるところがないんだよ。確かに猪木の実力は素晴らしいよ。トップクラスに食い込んで来てるけど、団体もファンも猪木はナンバー2にしか見てないんだよ」

同じ練習をし同じような才能があっても、やはり体格の差で馬場は誰よりも上をいってしまうのか。
となれば、猪木が執拗に迫った直接対決の一騎討ちで証明するしか方法はない。

「当時、馬場と猪木の一騎討ちが実現してたら、盛り上がったと思うよ。でも、どっちが勝っても再戦を要求するだろうから、キリがないよね。そんなことより、ベルトを懸けて外人と闘った方が、試合のバリエーションも増えるし夢が広がるよ。だから日プロ幹部の時期尚早という判断は、あながち間違えじゃなかったんだね」

強豪外人を相手にベルトを防衛することで、馬場は日本人のトップであることを証明した。
だが猪木は外人との対決よりも、日本人同士で決着をつけることを望んだ。

「全日本と新日本のスタイルの違いは、日本プロレスのBI砲の時から決まてったようなもんだね」

つづく

 2013年3月15日(金)

  『実録・プロレス道 第110話』

最近マサル少年は、天龍源一郎がアントニオ猪木とダブって見えていた。
猪木の得意技である、延髄斬りや卍固めを天龍が使うからではない。
ジャンボ鶴田というエリートに、追い付き追い越せと言わんばかりの闘志をみなぎらせている姿が、日本プロレス時代の馬場に対する猪木に似ているからだ。

「日プロの時の猪木は、馬場を目標というより打倒馬場、そして何がなんでもトップになるって感じだったからな。天龍はジャンボをどうこうってことはないにしろ、レスラーとしてのトップを意識するってとこは猪木と似てるかもね」

同期入門でライバル同士の二人だったが力道山の方針により、猪木はエリートコースに乗った馬場の後塵を拝すことになる。
長く辛い海外武者修行を終え、やっとの思いで今のポジションを築いた天龍が、当時の猪木に重なって見えてもおかしくはない。

「天龍は相撲の実績もあったし、団体内での扱いは良かったはずだよ。ただチャンスを活かしきれなかったのと、チャンスを確実にものにしたジャンボとの差が出たんだよ」

てっきり馬場も力道山方式で若手を育成しているのかと思っていた。
鶴田も天龍も畑は違えど、鳴り物入りでプロレス入りしてきたエリート二人に、馬場は平等にチャンスを与えていたのだ。

「ジャンボの方がプロ入りも早いし、デビュー早々馬場のパートナーに抜擢されたから恵まれているのは確かだよね。でもやっぱりジャンボには才能があったからね、天龍がジャンボと同じ立場でもこうなったかは分からないな」

旗揚げ間もない全日本プロレスの手薄な日本陣営で、エース馬場が最も頼りにしたのが新人鶴田友美だったのだ。
馬場は鶴田の才能を信じ、ビッグ・マッチに次々と抜擢し、鶴田はその期待に応えていった。
しかし天龍は、中堅の位置で燻り続け、馬場、鶴田に次ぐ第三の男になるまでに時間がかかりすぎた。

「あの頃は、戸口もいたからね。戸口は体もデカイし、プロレスが上手かったよ。もし今でも戸口がいたら、天龍は今の位置にいなかったかもよ」

キム・ドクとして大木金太郎との韓国師弟コンビで、馬場・鶴田の全日本最強コンビを苦しめたタイガー戸口。
大木とのコンビ解散後は全日本プロレスに入団し、鶴田のライバル、団体第三の男として活躍していたが、引き抜き合戦のターゲットとなり全日本プロレスを退団。
現在はアメリカと新日本プロレスを主戦場にしている。
実力者の戸口退団により、天龍は第三の男の座を棚ぼた的にものにしたという声もある。

「確かに戸口が抜けて天龍にチャンスが回って来たけど、そんな簡単じゃなかったと思うよ。猪木の技を使うのも、全日本のカラーと違うものを出そうとしたんだよ。みんなと同じことをやってても、追い付けないからな」

大相撲幕内力士からプロレスへ転向し、デビューこそ華々しかったが、長く中堅に甘んじていた天龍。
御法度とも言える、ライバル団体のエース猪木の技を使い、全日本プロレスにない独特のスタイルを作り出し、第三の男に踊りでたのは見事だ。

「天才のジャンボと努力と根性の天龍か。この二人がBI砲の再来になるといいね、いやジャンボと天龍なら、BI砲を越えるのも可能だよ。馬場もそれを期待してると思うよ」

鶴田と天龍ならば、第二のBI砲も夢ではない。
しかし、団体にエースは一人でいいのだ。
両雄並び立たず……マサル少年はこの言葉が引っ掛かり、鶴田と天龍のBI砲化は不可能ではないかと思っていた。


つづく

 2013年3月8日(金)

  『実録・プロレス道 第109話』

タイトル移動はなかったものの、NWA世界ヘビー級王者リック・フレアーにピン・フォールで勝利したジャンボ鶴田。
その勝利は、鶴田が世界に最も近づいたとも騒がれた。
しかし、世界王座奪取目前の鶴田に対し、世界王座を狙うよりもインターナショナル・ヘビー級王座戴冠に力を入れるべきだと師は語る。

「確かにNWAやAWAを獲れば一気に世界のトップになれるよ。でも実際問題取れてないし、良い試合ばかりの善戦マンじゃ意味がないからね。それよりも今のジャンボは、完全に全日本のエースになることが先だよ」

まったくその通りだ。
団体のトップになれていない男が、世界を獲れるはずなどない。
モノには順序というものがあるのだ。

「だからさ、ジャンボが世界王者になれないのは、インターを巻いてないからなんだよ。とっくにベルトを獲っててもおかしくないのに、何をモタモタしてんだよな。さっさとUN返上させてインターにもっと挑戦させなきゃ」

力道山、ジャイアント馬場という日本を代表するレスラーが巻いた日本のエースの証、インターナショナル・ヘビー級王座。
そしてその日本の至宝を手にしているのは、超獣と恐れられているブルーザー・ブロディだ。
インターナショナル王座が復活してから何度か挑戦はしているが、いまだ奪取できない鶴田。
同年代のライバルであるブロディを倒さなければ、世界は見えてこないというのに、鶴田に焦りは見えない。

「馬場のすぐ下にずっといるから、気楽な若大将気分が抜けてないのかな。天龍が力を付けてくれば、ジャンボも焦るはずだよ」

ジャイアント馬場という絶対的なエースの下で、デビューから常にナンバー2に位置していた鶴田。
ナンバー2とはいえ、団体内にこれといったライバルもおらず、長い間安定したポジションで生きてきた。
つまり才能も運も持ち合わせた鶴田には、ナンバー2の座が居心地良すぎて欲がなくなったのだと思う。

「ジャンボもプロとして実績を残してるのは認めるよ。でも何て言うか、オレたちファンの期待するような実績とはズレてるんだよな」

デビューからメイン・エベンターで、シングルとタッグのベルトも巻いた。
チャンピオン・カーニバルも世界最強タッグも優勝し、一度も挫折のないレスラー人生の鶴田。
馬場が退くのと同時に、挫折を味わうことなく、ナンバー2のまま鶴田は引退してしまうような気がしてきた。

「全日本は全てが整いすぎてるよね。大エースの馬場に豪華外人。NWAやAWAにも挑戦し放題だしね。馬場の性格かもしれないけど、型にはまりすぎてるから、ジャンボも型から脱け出せないんだよ」

馬場の目指す型通りのプロレスとは、世界王者などの強豪外人と日本人が闘うスタイル。
新日本プロレスのような、日本人同士の争いや異種格闘技戦は邪道も邪道、馬場の世界には存在しないのだろう。
そんな馬場的プロレスの中で純粋培養された鶴田は、成長するにつれ欲や野望が削ぎ落とされたのかも知れない。

「ジャンボに才能があるからこそ、馬場はああいう育て方をしたんだけどね。頭が良いのか、優等生すぎてちょっと物足りないよ。だから善戦マンなのかな」

善戦マンや優等生と、とてもプロレスラーとは思えぬ不名誉な評価を拭い去らなければ、世界はおろか全日本プロレスのトップには立てないだろう。
やはり鶴田をやる気にさせるには、師の言うように反骨精神の塊である天龍源一郎にかかっているのかも知れない。


つづく

 2013年3月1日(金)

  『実録・プロレス道 第108話』

全日本プロレスマットでは、丁度一年ぶりとなったNWA世界ヘビー級選手権試合。
日付も6月8日、場所も蔵前国技館、カードもリック・フレアー対ジャンボ鶴田と全てが重なっていた。
唯一違うところは、鶴田が世界王者フレアーに三度目の挑戦で、初めて勝利したことだった。

「勝つには勝ったけど、三本勝負で一本取っただけだからな、ベルトを獲らなきゃ本当に勝ったとは言えないよ」

NWAタイトル・マッチのルール上、三本勝負であれば2フォール、つまりピン・フォールで二本取らなければベルトの移動は認められない。
今回、鶴田が一本取った後、時間切れ引き分けのため、フレアーはスコア上負けたがタイトル防衛ということになったのだ。
昨年の対決のように一本勝負であれば、鶴田が新王者になっていただけに悔やまれる。

「去年のダブル・フォールよりはましだけど、フレアーは巧くルールを利用してるよ。ベルトを獲られなければチャンピオンでいられるんだからね」

どんな手を使ってでも、ベルトを渡さない王座防衛術のフレアーはプロ中のプロだと思うが、マサル少年はイマイチ納得していない。
勝負というより、ベルトを守るスタイルが強すぎるからだ。
世界最高峰といわれるNWA世界ヘビー級のベルトがそんなに大事なのか。
世界一の王者であれば、もっと堂々と闘ってもらいたい。

「チャンピオンか丸腰かでは、雲泥の差だよ。ファイト・マネーも扱いもそうだけど、何より一度でもチャンピオンになったら、プライドが違ってくるよ。やり方はどうであれ、ベルトを守ることはチャンピオンの使命であり、ベルトを守れるからチャンピオンとして尊敬されるんだよ」

プロレスにおいて、ベルトが一番だという師の考えは分かる。
しかし、ベルトを守るためなら汚い手を使っても良いのだろうか。
力を出し切って闘った結果、負けてもよしとするのは日本人の古い考えなのだろうか。

「プロレスだって勝負の世界だから、そりゃオレだってピン・フォールで決まって欲しいよ。だから、レスラーの意識を変えるんじゃなくて、タイトル・マッチのルールを変えるしかないよな」

なるほど、反則やリングアウトでの王座移動を認めなければ、いやでもピン・フォール勝ちを狙うしかなくなる。
ルールをピン・フォール重視にすることで、不透明決着をなくすということか。
だが両者リングアウトという逃げ場だけは残ってしまうが、師はどう考えているのか。

「そうなったら没収試合だよ。王座返上、コミッショナー預かりにして再戦は決定戦にするべきだよ。引き分けは時間切れのみ王座防衛にして、紛らわしいから全て一本勝負に統一にすればスッキリするよ」

両者リングアウトドローはベルト剥奪となれば、ことさらリング内でのピン・フォール決着しか防衛の望みはない。
そうなれば、NWAはおろかAWAも鶴田はベルトを巻き、史上初の世界王座二冠統一王者になることも夢ではない。

「オレが言うルールになれば、ジャンボが一番近いかもね。でもマサルが思っているほど、フレアーやニックは甘くないぞ。現に何度も王者に返り咲いてるんだからな」

フレアーもAWA王者のニック・ボックウィンクルも、挑戦者の不利な立場で何度も勝利を収めているのだ。
ダーティな王者のイメージの二人だが、ベルトへの執念は並のレスラーの遥かに上を行くのだろう。
そう考えると、鶴田が世界王者になる日はまだ先に思える。

「ジャンボは世界王座も大事だけど、まずはインターだよ」


つづく

 2013年2月22日(金)

  『実録・プロレス道 第107話』

IWGP優勝決定戦で、アントニオ猪木が失神KO負けするというショックから、抜け出せない新日本プロレス。
世界統一されたベルトは、王者ハルク・ホーガンの手に渡り海外流出してしまった。
晴れて猪木が王者となりベルトを巻くには、来年のIWGPまで待たなくてはならないのだ。

「何年も煽っといて負けたんじゃシャレになんないよな。来年のIWGPの予選はどうなんのかな。あと一年か、猪木ファンには長い一年だね」

そもそもIWGPとは年に一度の大会なのか、防衛可能なタイトルなのか、いまだに結論が出ていない。
今のところ年に一度の大会ということになってはいるが、猪木が負けたことによりタイトル化を認め、ホーガンに即リターン・マッチを挑むようならば、新日本プロレスの都合しか考えていないファン無視の行為だと言えよう。

「取りあえずは、年に一度のイベントなんだろうな。今回猪木が負けたのは痛いけど、考えようによっちゃ、あの連続満員札止めがまた来年やって来るんだからさ、営業的にはOKなのかもね」

発表から三年近く待たされても、猪木の世界統一のためならばとファンは我慢し続けたIWGP。
そしてその初代王者の夢破れた猪木を、またファンは追うことで、また我慢し続けることになる。
もしかすると、タイトル・マッチで不透明決着を続けた末に、飽きられる寸前で決着をつけるいつもの引っ張り作戦なのだろうか。

「あのフロント陣の慌てようから見ると、それはないよ。会社としても、チャンピオン猪木の路線は固まっていたはずだよ」

団体の社長でありエースの猪木がIWGP王者でなければ、世界三大組織のNWA、AWA、WWFや全日本プロレスに対して大きな顔が出来ない。
まずいことに、ホーガンに負けてしまったことで、WWFより格下のイメージが出来たことは避けられない。

「WWFにしたってホーガンが負けたら、新日本より下に見られる訳だからね。いくらIWGPに協力してるとはいえ、ジャイアントとホーガンを出してるんだから、簡単に負けるつもりはないどころか、勝つ気満々だったのかもね」

確かにWWFはIWGPに協力してはいるが、世界統一のベルトを作るために、WWFのベルトは返上されていない。
やはり、WWFはIWGPを世界統一のタイトルと認めていないのだ。
小さな日本のプロレス団体のやっている、お祭り程度にしか考えていないのだろう。

「そこまでバカにはしてないと思うよ。でも全日本とNWAがIWGPを世界タイトルと認めないように、WWFも業務提携してる関係で選手は出すけど、新日本が世界一です、WWFより上ですとは言えないよ」

ではIWGPとはいったい何なんだろうか。
世界三大タイトルもそのままどころか、どのタイトルを返上または封印したかは定かでない。
はっきりと返上したのが分かっているのは、新日本プロレスの選手が保持していたベルトだけである。
三年近くの歳月をかけたIWGPとは、新日本プロレスが新しいベルトを創るための、ただの大騒ぎだったのか。

「結局世界王座として、認められないままスタートしたけど、猪木がチャンピオンになってたら、馬場やNWAに対戦を申し込むつもりだったんじゃないのかな」

猪木のレスラー人生の中で、避けては通れないのがジャイアント馬場とNWA世界ヘビー級王座。
IWGPは単なるローカル・タイトルであり、世界一はNWA世界ヘビー級王座と馬場は言う。
その馬場率いる全日本プロレスは、NWA世界戦をメインとするグランド・チャンピオン・カーニバルⅡ最終戦の蔵前国技館大会を残すのみになっていた。


つづく

 2013年2月15日(金)

  『実録・プロレス道 第106話』

新日本プロレスに激震が走った。
アントニオ猪木がIWGP優勝決定戦で、ハルク・ホーガンのアックス・ボンバーを食い、舌を出して失神してしまったのだ。
猪木がレスラー人生の中で初めて見せる醜態に、会場のファンはおろか団体関係者やマスコミも声を失ってしまった。

「本当にまさかの結末だよ。坂口も新間も狼狽えてたし、対戦相手のホーガンですらオロオロしてたぐらいだからな」

ロープ越しにアックス・ボンバーを食らい、場外に吹っ飛ばされた猪木は失神KO負け。
すぐさま病院に搬送され、今後のレスラー生命も危ないらしい。

「何が起きるのか分からないのが、プロレスであり勝負の世界だからね。でも猪木は油断しただけじゃ済まされないぐらいの大失態をさらしたよ」

長年の夢である世界統一、レスラー人生の集大成であるIWGPの初代王者を決める、大事な優勝決定戦で油断するほど猪木は甘い人間だったのか。
それとも、猪木の想像を越えるほど、ホーガンが成長していたのか。

「猪木はホーガンが相手だったから、受けにまわったのかもね。タッグを組んで手の内が読める分、無意識の油断があったんだと思うよ」

グラウンドの攻防では優位に立っていた猪木だが、決め技の延髄斬りをかわされた辺りから徐々にペースが狂ってきた。
そして、場外戦で猪木を痛めつけたホーガンは、一気に勝負に出て勝利を掴んだのだった。

「猪木はホーガンが場外戦を仕掛けるのが、意外だったのかもよ。世界一を決める優勝戦だから、リング内の決着に拘ると思ったんだよ。結果的にそれが油断だったんだろうな」

師の言うように、あの場外戦で猪木が優位に立ち、先にリングインしていればアックス・ボンバーを食らい失神することはなかった。
あの場外での攻防こそが、この勝負の鍵だったのだ。

「まさかホーガンが場外でアックス・ボンバーを出すとは、まさかリングインするところにアックス・ボンバーで向かって来るとはって思ってたのかな。もし猪木がそう思ってたら、完全に油断してたっていうか、ホーガンをナメてたとしか言いようがないね」

もしではなく、失神負けした現実を考えると、猪木はホーガンをナメきっていたに違いない。
猪木の欠場中に日本側の助っ人となり、暮れのタッグリーグ戦では猪木とのコンビで優勝したホーガン。
いつの間にか、正統派外人レスラーのイメージが定着しているが、元をただせば猪木の首を狙い続けた、荒々しいパワーファイターなのだ。

「ホーガンは正攻法じゃ猪木に勝てないのは分かっているはずだよ。あの場外戦がチャンスであって、本性を剥き出しにしたんだよ」

ホーガンも出来ることなら、リング内でクリーンに決着をつけたかったに違いない。
しかし、まともにぶつかって勝てるほど猪木は甘くはない。
場外戦もプロレスでは許される戦法の一つなのだから、 貪欲に勝ちを奪いにいったホーガンの作戦勝ちというとろだろうか。

「猪木は綺麗にいきすぎたのは確かだよ。シンの時みたいに腕を折れとは言わないけど、場外戦や喧嘩ファイトで勝ちを狙えば結果は変わったと思うよ」

なりふり構わず勝ちにいったホーガンと、相手をナメて油断し敗北した猪木。
蔵前国技館に集まったファンたちの声援は、悲痛な叫びに変わってしまった。
そして不様な姿をさらした猪木に、IWGPという世界統一の野望は遠のいたのだった。


つづく

 2013年2月8日(金)

  『実録・プロレス道 第105話』

昭和58年6月2日、新日本プロレスのIWGP決勝リーグ優勝決定戦が蔵前国技館で行われた。
構想から約三年、アントニオ猪木の夢である、世界統一がやっと実現されるところまできた。
そして、優勝を争うのは猪木は順当として、もう一人はなんとハルク・ホーガンが上がってきたのだった。

「てっきりジャイアントが来ると思ってたけどね。猪木とホーガンじゃ、すんなり猪木の優勝で決まりそうだね」

マサル少年も猪木とアンドレ・ザ・ジャイアントの優勝決定戦を予想していただけに、ホーガンが勝ち上がって来たのには、意外というかやや残念な気持ちだった。
ホーガンが決して悪いとか役不足とかではなく、猪木とタッグ結成してからは、なんだか猪木の弟子のように見えていた。
それだけに、師匠格の猪木をこの大舞台で倒すとは考えにくかった。

「敵対している間柄じゃないから、クリーンないい試合にはなると思うけどね。記念の試合だから、猪木のピンフォール勝ちで、丸く収まるのかな。ジャイアントにピンフォール勝ちは、まず無理だからな」

猪木もホーガンが相手ならば、100%とは言わないが99%ピンフォール勝ちは狙えるだろう。
しかし、今まで一度もピンフォールを許したことのないアンドレに勝つには、リングアウトか反則しかないだろう。

「公式戦で負けてるジャイアントに、優勝戦でピンフォール勝ちするドラマを期待したファンも多かったと思うよ」

IWGPという世界統一を決める大舞台で、猪木がアンドレにピンフォール勝ちを決めて見せたら、蔵前に集まったファン、いやいや全国の猪木ファンどころか世界中のプロレスファンは、度肝を抜かれるに違いない。

「まあジャイアントに猪木が勝てばの話しだろ。でもその二人なら、どっちがかってもIWGP王者に相応しいよ」

やっぱり師も、ホーガンの優勝はないと読んでいるようだ。
いくら現在売り出し中のホーガンでも、若さとパワーだけでは幾つもの修羅場をくぐり抜けてきた猪木の牙城を崩すことは不可能だろう。

「確かにホーガンは不利だけど、ジャイアントを抑えてリーグ戦をトップ通過したんだから、相当力を付けてることは認めるよ。一発勝負の優勝戦で、その勢いのまま来られると猪木は危ないかもね」

下馬評では決勝進出間違えなしと言われたアンドレを抜いて、チャンスを掴んだホーガンには実力の他に運も味方しているようにも思える。
それに師の言うように、後のない優勝決定戦に一発勝負を仕掛ける可能性は充分あるどころか、そうでもしなければ百戦錬磨の猪木を倒すことは出来ない。

「そう考えるとホーガンの優勝もなくはないよ。でも猪木の優勝、IWGP初代王者は堅いよ。だって猪木がレスラー人生を懸けたタイトルなんだから、死ぬ気で勝ちに来るはずだよ」

世界に乱立するベルトを統一し、真の王者を決めるべくスタートしたIWGP。
構想発表は約三年前だが、猪木の中ではレスラーになった時から世界一の野望は芽生えていたはずだ。
生涯のライバルであるジャイアント馬場や世界一の大組織NWAを敵にまわしでも拘り続けたIWGP。
猪木が真の世界一、真の王者になるまで、あと一試合に迫っていた。


つづく

 2013年2月1日(金)

  『実録・プロレス道 第104話』

失踪中の長州力とアニマル浜口が遂に姿を現した。
そして、IWGP優勝戦前日に記者会見を開き、新日本プロレス離脱を発表したのだった。

「離脱って言うけど、そう簡単にはいかないと思うよ。やっぱり革命軍で全日本に乗り込むのかな」

マサ斎藤やキラー・カーンはフリー扱いなので、契約的な問題はないと思うが、長州に関しては新日本プロレス所属選手のため、他団体へ参戦するとなると、こじれるのは目に見えている。

「長州たちを欲しいとは思うけど、馬場は問題のある選手を使うことはないよ。斎藤の関係で、海外でやるのかな。それよりも、新日本が手離すとは考えられないけどね」

今現在のプロレス界で、勢いがあり人気があるのは、長州であり革命軍なのだ。
そんな客を呼べる選手を、新日本プロレスが切り離すはずなどない。
しかも、日本には二つの団体しかないのだから、ライバルである全日本プロレスにみすみす渡すようなことをするとは考えられない。

「今の状態で長州たちが全日本に行ったら、新日本は危ないよ。IWGPやタイガーマスクは盛り上がってるけど、長州の存在は大きいからね」

今回は不参加だったが、ゆくゆくは長州もIWGPに絡むに違いない。
それに、藤波辰巳も最高のライバルを失うと同時に当面の目標も失ってしまう。
今の新日本プロレスがあるのは、長州一人のおかげではないが、長州が出ていくことによるリスクは大きすぎることは確かだ。

「IWGPに出なかった長州が、自分に目を向けさせるための行動かも知れないし、離脱っていうのはフリーとして新日本に参戦するってことなのかもよ」

アントニオ猪木や藤波の新日本プロレス本隊に敵対するからには、所属の立場を捨ててフリーという完全な外敵として闘うという訳か。
しかし、そこまでする必要はあるのだろうか。

「それは長州なりの決意表明っていうか意気込みなんだろうな。新日本のリングに上がる上がらないじゃなくて、本隊には戻らないってことだよ」

確かに同じ団体の所属同士よりも、他団体やフリーの選手の方がより敵対しているように見える。
それにまだ長州には、新日本プロレスにはやり残したことがあるはずだ。

「藤波とは決着がついたけど、まだ猪木が残ってるからね。外へでるのは、猪木を倒してからでも遅くはないっていうか、猪木を倒さなきゃ出ていく意味がないよ」

猪木以下の新日本プロレスの選手を倒してしまえば、長州の革命は達成する。
しかし、新日本プロレスは制圧しても日本プロレス界を制圧してはいない。
本当の日本のトップになる野望を持っているのならば、全日本プロレスに殴り込みをかけることになる。

「長州がそこまで考えてるか分からないけど、フリーだったら可能だよね。ジャンボや天龍と当たるのも興味あるけど、世界王者に挑戦する可能性だってあるんだからね。すぐにとは言わないけど、実現して欲しいよ」

交わることのないと思われていた全日本プロレスと新日本が、長州の離脱表明でほんの少しだが可能性が 出てきた。
しかし、馬場と猪木の関係やいまだに解決されない引き抜き問題を抱える両団体を考えると、実現するにはあと何年もかかりそうだとマサル少年は思っていた。


つづく

 2013年1月25日(金)

  『実録・プロレス道 第103話』

新日本プロレスのIWGPは連日超満員札止めという、今までにない盛り上がりを見せていた。
しかしそんな中で、革命軍リーダーの長州力とはぐれ国際軍団の副将アニマル浜口が失踪し、試合を欠場してしまったのだ。

「やっぱり長州と浜口は繋がってたんだな。そうなると木村と寺西しかいない国際軍団は痛いね、解散してもおかしくないよ」

三人でも心細かったはぐれ国際軍団だったのに、たった二人になってしまっては、もはや軍団という名も寂し過ぎる。
今後はどうするのか、以前共闘したアブドーラ・ザ・ブッチャーやマイク・ジョージ等を加入させ復活するのか。
それとも、本当に解散してしまうのか。

「ブッチャーたちと組むって言っても、来日した時だけだからね。年間通して組み続けられるのは、寺西だけになるからな。日本人で最低もう一人は欲しいとこだよね」

プロレスには1対1で闘うシングルマッチと二人が組んで闘うタッグマッチの他に、1チーム三人という6人タッグマッチという試合形式もある。
年間百何十試合もあることを考えると、最低でも三人はいないと試合のバリエーションが広がらず、マッチメークから外されても仕方がない。

「一日の興行で、枠っていうか試合数は限られてるからね。毎回国際絡みで2試合、それもシングル2試合って訳にはいかんでしょ」

ラッシャー木村や寺西勇というベテランクラスになると、シングルマッチの相手は誰でも良いという訳にはいかない。
潰れてはしまったが、国際プロレスの看板と社長であった吉原功のパイオニア精神を背負って闘っているのである。
ファンに憎まれる悪役になろうとも、打倒アントニオ猪木、打倒新日本プロレスを達成すれば、それはそれで良いのである。
前座レスラーを相手にしたり、敵の軍門に下るぐらいなら、自ら腹をかっさばく武士の心を持っているに違いない。

「木村は元国際のエースだし、寺西も日本人屈指のテクニシャンだから、当然実力もプライドもあるからね。新日本だってどうせ使うなら若手や中堅に当てるより、上で使いたいはずだよ」

しかし今となっては、新日本プロレスの敵であり猪木の対抗馬は、長州率いる革命軍にその座は奪われてしまっているのだ。
しかも、副将格の浜口まで引き抜かれてしまっては、軍団の解散が秒読みと思われてしまう。

「ハッキリ言っちゃえば、国際は限界っていうか、この辺が潮時っぽいよ。長州側に行った浜口もその辺に気付いたんだと思うよ」

もし、はぐれ国際軍団が解散した場合、革命軍入り濃厚の浜口は良いとして、残された木村と寺西はどうなるのだろうか。
まさか、浜口の後を追って革命軍入りするとは考え難い。

「試合中に仲間割れをしてるぐらいだから、それは無いと思うな。でもあれが、三人揃って革命軍入りするための狂言だとしたら、彼らはなかなかの策士だよ」

はぐれ国際軍団を存続させられないのであれば、レスラーを続けるために革命軍との結託を選んだのは、浜口だけでなく軍団全員だと師は推理する。
しかし、今の状態で革命軍入りしても、長州の上に立てないどころか、同等のポジションさえ与えてはくれないだろう。
それでも寺西は良いかも知れないが、木村だけは納得しないのではないかと、マサル少年は睨んでいた。

「それよりも、長州たちが戻って来るかが問題だよ。浜口だけでなく、斎藤やカーンを連れて全日本に行くと面白いんだけどな」

革命軍の全日本プロレス登場と聞き、引き抜き問題を抱える両団体だけに、有り得なくはない話だとマサル少年は思っていた。


つづく

 2013年1月18日(金)

  『実録・プロレス道 第102話』

新日本プロレスのIWGPが遂に開幕した。
構想から約三年を費やし、アントニオ猪木がレスラー人生の集大成として実現させたのがIWGPなのだ。

「なんとか実現して良かったよ。あれだけ大騒ぎして、出来ませんじゃカッコつかないからね」

しかし、世界中の王者クラスを集めて世界最強を決める闘いの割には、参加メンバーに物足りなさを感じてしまう。
このメンバーを見る限り白星配給係的なレスラーもチラホラ存在し、優勝争いは猪木とアンドレ・ザ・ジャイアントの二人に絞らそうだ。
あとは、猪木とのタッグを経験し、成長著しいハルク・ホーガンがどこまで食らい付くかだろう。

「期待していた未知の強豪もいないしね。ホーガンはまだまだ粗削りだし、猪木とジャイアントのマッチレースっていうか、すんなり猪木の優勝で決まるよ」

猪木が優勝することに問題はないが、このメンバーで優勝して本当に世界一を名乗っても良いのだろうか。
急遽帰国した北米代表のディノ・ブラボーに代わり、ラッシャー木村が出場し日本人レスラーが増えたことも、世界規模の雰囲気を薄めているようだ。

「10人中4人が日本人か…マサルが言うように世界中の強豪を集めた大会には見えないよね。いつものMSGリーグ戦とあんまり変わらないよね」

しかしなぜ新日本プロレスは、この程度のメンバーしか集められないのに、世界統一をそんなに急いだのだろうか。
日本人対決であれだけの盛り上がりを見せているのだから、まずは日本選手権的な王者を決めてからでも、世界戦略は遅くはなかったのではないのか。

「日本選手権は猪木は何度も試みてるけど、上手くいかなかったんだよ。目的は馬場との一騎討ちだったと思うけど、馬場が乗ってこないから猪木も諦めたんじゃないのかな」

仮に今の時点で、全日本プロレス抜きで日本選手権を行っても、ファンは納得するメンバーは集まると思う。
豪華な外人レスラーが集まらないのであれば、なぜ御家芸とも言える日本人対決で勝負しないのか不思議でならない。

「確かに新日本の日本人対決は面白いけど、日本選手権って言っても、結果的には本隊と革命軍の闘いになっちゃうよ。それは他のシリーズでも通用する訳だからさ、やっぱり猪木は世界の冠のつくベルトが必要と思ったんじゃないのかな」

猪木は、日本人対決も異種格闘技戦もやりつくし、残るは世界統一だけと考えたのだろう。
世界最高峰と呼ばれている、NWA世界ヘビー級王座に挑戦できないのであれば、自分の手で創ってしまうところは猪木らしい。

「構想発表の段階で無理は承知だったと思うよ。でも馬場やNWAに対しての意地でここまで来たんだよ」

世界一のプロレス組織であるNWAに、猪木は喧嘩を売ったという訳か。
これから猪木は、全日本プロレスNWA連合軍との抗争のために、IWGPの成功、すなわち猪木がIWGP優勝を成し遂げなければならない。
しかし、猪木は開幕初戦のアンドレ戦で、フェンスアウトによる反則負けという、痛い黒星スタートをしてしまったのだった。


つづく

 2013年1月11日(金)

  『実録・プロレス道 第101話』

ジャイアント馬場は全日本プロレスを、どういった方向に持っていくつもりなのだろうか。
新日本プロレスは、IWGPというオリジナル路線で今後は攻めるところなのだ。
世界統一を目論む新日本プロレスに対して、馬場のプロレス的戦略とは、何なのだろうか。

「馬場はNWAこそが、世界一と考えてるんだから、全日本を無理に押し上げようとはしないよ。NWAと友好関係を保っていれば、間違えはないからね。それに、世界一の組織がバックについていることで、日本では一番の団体ともとれる訳だからさ」

NWA世界王者やアメリカでもトップクラスのレスラーを、日本で観れるのは全日本プロレスしかない。
新日本プロレスにも一流外人レスラーは来日するが、全日本プロレスにくらべると遥かに少ない。
日本のプロレスファンに、世界でもトップレベルのプロレスを観せることが、馬場的プロレスなのか。

「本場アメリカのプロレスを、日本で観れるなんてもの凄く贅沢なことなんだよ。実際アメリカでも実現できないカードだって、全日本では観れるんだから」

アメリカのプロレスが大好きな師だから仕方がないが、プロレスに関しては何がなんでもアメリカ、アメリカがトップで日本は抜くこともできなければ、抜いてはいけないようにもとれる。
そんなことなら、一生アメリカの下についていて、NWAと手を切られてしまったら、全日本プロレスだけでなく日本のプロレス自体が崩壊してしまうではないか。

「そんなことはないよ。馬場は状況を良く見てるだけだよ。今は外人の方がいいから、外人を主役にもってきてるけど、日本人が良ければ日本人を上で使うはずよ」

確かに、あれだけ豪華な外人レスラーを呼べるのだから、無理に日本人を引き上げる必要などない。
下衆な言い方をすれば、高いお金を払っている以上、働いてもらわなくては困るのだ。
逆に新日本プロレスは、有名外人レスラーを呼べないところから、日本人対決や異種格闘技戦を売りにしてきた。
従来の日本のプロレス界の流れ通り、日本人対外人、目指すは世界王者の図式で、今の全日本プロレスは充分やっていけるという訳か。

「新日本の日本人対決も面白いけど、俺はやっぱり強い外人をたくさん観たいよ。それに、あれだけの凄い外人と互角に闘う馬場やジャンボも凄いんだよ」

ジャイアント馬場やジャンボ鶴田は強いと思う。
しかし、あれだけの外人レスラーの中では、ズバ抜けてるようには見えない。
もっと鶴田を目立たせてもいいと思うのだが。

「それはジャンボが、それまでのレスラーってことなんだよ。いくら周りが強すぎても、更に上の力があれば飛び抜けて見えるはずだよ。それが馬場が、いまだに外人に頼ってる理由の一つかも知れないね」

ということは、鶴田まだ世界レベルに達していないのか。
鶴田が本物の力をつけた時は、嫌でも鶴田しか見えなくなるということなのか。
世界最強タッグ・リマッチリーグ戦でも、超獣コンビに優勝をさらわれ、宿敵であるブルーザー・ブロディからインターナショナル・ヘビー級王座を奪うことのできなかった鶴田がそうなる日はいつなのだろうか。

「それはジャンボが世界王者になった時だよ。その前に、インターを獲らないことには話しにならないけどね」

鶴田が日本の至宝であるインターナショナル・ヘビー級王座を巻き、更に世界王者に君臨するという青写真を描く馬場。
しかし、ブロディからベルトを獲るのは簡単ではないと、言葉にこそ出さないが師が思っていることぐらい、マサル少年は分かっていた。


つづく

 

 

 

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