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 2012年12月28日(金)

  『実録・プロレス道 第100話』

日本のプロレスレベルは、アメリカを抜くことができるのだろうか。
ジャイアント馬場やアントニオ猪木が、連続王座防衛を記録しても、所詮はローカル王座としか見られない。
馬場が悲願のNWA世界王座を三度奪取しても、三度とも帰国前に取り返される有り様なのだ。
世界のジャイアント馬場ですら、抜くことはできずギリギリ追い付いた感は否めない。

「日本のプロレスは、レベル的にはアメリカに負けてないと思うよ。だけど、何て言うかまだまだアメリカを抜いてないように見えるんだよ」

体格でも技術でも、今の日本人トップクラスのレスラーはアメリカ人レスラーにひけをとらない。
だが確かに何かが足りないのは、マサル少年も感じている。
それゆえに師は、勝っていると言わずに負けていないと言ったのだろう。

「外人に負けてないのは、日本人でもごく一部だよ。アメリカには、まだ来日してない凄いレスラーがゴロゴロいるみたいだしね。トータルのレベルで考えたら、日本は負けてるかも知れないね」

スタン・ハンセン、ブルーザー・ブロディ、リック・フレアー、アンドレ・ザ・ジャイアント、ハルク・ホーガンなどの日本でも馴染みのある一流レスラーの他に、まだ見ぬ強豪が山ほど存在すると、師はほのめかす。
逆に日本陣営で太刀打ち出来るのは、馬場と猪木にジャンボ鶴田ぐらいなものだろう。

「天龍や藤波や長州だと、まだちょと荷が重い感じだよね。馬場と猪木は年齢的なものがあるから、今の段階で期待できるのは、やっぱりジャンボかな」

選手層の厚いアメリカ勢に比べてしまうと、やはり日本のプロレスがアメリカを抜くことは不可能なのか。
野球でもメジャーリーグを日本プロ野球は追い付いてもいない。
本場であるというプライドがそうさせているのであれば、何年何十年かかってもアメリカを抜くことはできない。

「日本がアメリカを抜いてトップになるってことは、外人なしでも成功させるってことだからね。でもいい外人を観たい訳だからさ、そう思ってる内は、アメリカの方が上ってことなんだろうな」

今でこそ、日本人対決が話題を呼んでいるが、基本的には日本人対外国人。
特に世界王座を懸けた対戦は、何がなんでも会場に足を運びたくなる。
日本人対決にだけの興行だと、注目するカードは限られてしまうし、シリーズを乗り切ることはできないだろう。

「あと何年かして、日本の選手が育てば分からなくなるよ。馬場や猪木クラスとはいかないけど、藤波や長州レベルの選手は出てくるはずだよ。そうなれば、外人に頼らない日本独自のプロレスが完成するよ」

日本独自のプロレスとは、外人レスラーを排除した日本人のみのプロレスなのか。
それとも、日本人レスラーを頂点として、外人レスラーが挑戦者の立場になるものなのか。

「外人をまるっきり使わないのは、無理があるよ。だからIWGPみたいに、日本を中心に日本人王者に外人が挑戦するスタイルを目指すんだろうな。だからIWGPは実験的な大会だと思うし、絶対に猪木が優勝して成功しなきゃダメなんだよ」

日本人対決の大成功から、新日本プロレスを中心とした組織作りを見据えたIWGP。
IWGPの成功が、新日本プロレス躍進の鍵になることは確かだ。
しかし、この日本プロレス界にとって画期的な企画であるIWGPを、ジャイアント馬場はどう思っているのだろうか。


つづく

 2012年12月21日(金)

  『実録・プロレス道 第99話』

次期エースを狙う長州力と藤波辰巳の一騎討ちは、エプロン・カウントアウトながら長州が勝利を飾り、WWFインターナショナル・ヘビー級王座防衛に成功した。

「まだまだ長州の勢いは衰えないね。藤波もロープに宙吊りのまま負けるなんて、ちょっとカッコ悪すぎるよな」

前回、長州のラリアットで完璧なスリーカウントを取られているだけに、今回は藤波のピンフォール勝ちによる王者返り咲きを期待したファンは多かっただろう。
今までは、胸を貸すという姿勢を貫いていた藤波ではあったが、あの不様な負け方を見てしまうと、完全に長州との立場が逆転してしまったようだ。

「しかし二連敗は痛いよな。せめて引き分けに持ち込まないと、実力差がついたと言われても仕方ないよ」

ピンフォール負けに続き、ノックアウト同様のカウントアウト負けではどう考えても言い訳は出来ない。
結果だけを見ると、藤波は長州より格下に見られているに違いない。

「同じベルトを争ってるんだから、チャンピオンの長州が上だよ。プロレスはベルトを巻いてる者が一番なんだからさ」

師が言うところの、チャンピオンこそプロレスではナンバーワンということは納得できる。
しかし、プロレス界にチャンピオンが多すぎて、どのチャンピオンが一番なのかは難しい。
それに、長州がチャンピオンであってもアントニオ猪木という大エースを抜いているとも思えない。
そんな矛盾を解消するためにも新日本プロレスは、王座統一、実力世界一を決めるIWGPを創ったのではないのか。

「だから長州もベルトを返上してIWGPに割り込むぐらいのことをして欲しいよな。ベルト統一するって言ってるのに、後からインターのベルトが出てきたりして、焦点がボヤけてるよな」

いくら世界中の王座統一といっても、NWAやAWAの賛同は得られず、提携団体のWWFもUWAも協力はしても自団体のベルトを封印はしていない。
王座を返上し、防衛戦が行われていないのは、新日本プロレスの選手が保持していた、NWFヘビーと北米ヘビー、北米タッグだけである。
とても全世界のタイトル統一には程遠いが、考えようによっては、新日本プロレスが創り認定したタイトルなのだから、日本国内において最大のタイトルではあるのだ。

「馬場のPWFみたいに、IWGPもこれから権威を高めていけばいいんだよ。新日本に他のベルトは必要ないよ」

全日本プロレスの象徴であるPWFヘビー級王座。
団体旗揚げ当初に創設され、ジャイアント馬場により数々の激闘や名勝負を生んできた団体の看板タイトルだ。
約10年遅れをとったが、IWGPも日本を代表するタイトルになる可能性はある。
いや、世界一のタイトルにしなければならないのだ。

「WWFのトップのジャイアントやホーガンに勝てば、NWAやAWAに並んだようなもんだからね。っていうか、猪木は新日本プロレスっていう団体自体をNWAと肩を並べたいんだよ」

本番アメリカのプロレスに比べると、常に一歩後退しているように見える日本プロレス界。
新日本プロレスが社運を賭けた大プロジェクトIWGPが成功すれば、アメリカのプロレス界に追い付くのも時間の問題だ。

「でも、馬場はNWAが世界一と言ってるし、ファンの大半もそう思ってる以上、IWGPが世界レベルになるのは難しいよ。日本のプロレスがアメリカを抜くには、NWAに頼りすぎないことだよ」

世界最大のプロレス組織NWA。
猪木は、いち早くNWAなしの独自路線を進み出したが、これまで持ちつ持たれつの関係を続けてきた馬場には、NWAとの関係を絶つことは無理のような気がするマサル少年だった。

つづく

 2012年12月14日(金)

  『実録・プロレス道 第98話』

今回の蔵前決戦の注目は、前田明だけではない。
長州力率いる革命軍にとっても、大事な試合ばかりなのだ。
長州は藤波辰巳との、WWFインターナショナル・ヘビー級王座防衛戦、マサ斎藤はアントニオ猪木と一騎討ち、小林邦昭はタイガーマスクとNWAジュニアヘビー級王座決定戦が組まれているのだ。

「本隊と革命軍の決着戦だけに、長州は何とか勝ち越して有利な展開に持って行きたいだろうな」

革命軍の3タテならば、新日本プロレス制圧は文句なく達成する。
しかし、IWGPを控える猪木がそう簡単に負けるとは考えにくい。
長州の勝利は最低条件として、その他にもう1つは勝ちが欲しいだろう。

「長州は勝てば最高だけど、まずは負けないことだね。猪木はさ、藤波と長州のどっちが後継者に相応しいのか、見極めてるのかもよ」

本隊にいた時は、藤波を抜けずに燻っていた長州だったが、革命軍のリーダーになってからの勢いは、目を見張るものがある。
団体旗揚げから猪木をサポートしている藤波と、反体制になりながらも存在感を見せつける長州。
猪木は自身の後継者を決めるために、戦国の世にも似た新日本プロレス内で、タイプの違う二人に競わせているのだろう。

「そこに前田が帰って来たからな、藤波も長州もオチオチしてられないよ。本隊とか革命軍とかって言ってるより、次期エース争いの方が重要になってくるよ」

見事に凱旋試合を勝利で飾り、にわかに次期エースと騒がれている前田明。
藤波と長州は、次期エース争いは自分たちだけだと思っていただけに、このタイトル・マッチだけは、どちらも負けられない一戦になってしまったようだ。

「確かに前田の存在は、藤波たちにしてみたら驚異だよ。猪木を抜く前に、前田に抜かれることだって考えられるんだからさ」

団体の絶対的エースの猪木を抜くことは、かなり難しい。
だからといって、もたついていると、下から来た若者に抜き去られてしまう。
藤波と長州が次期エースをアピールするためには、ただ勝つだけではなく、この日一番の試合内容で勝たなくてはならないのだ。

「そういう意味で猪木の凄いのは、常に一番印象に残ってるとこだよ。勝っても負けても、名勝負だろうがショッパイ試合だろうがね。だからエースなんだよ」

確かに猪木には、オーラというか神懸かった存在感がある。
それは、生まれ持ったものなのか、幾つもの修羅場をくぐり抜けて培ったものなのかは定かでない。
しかし、藤波や長州、ましてや前田にはないものであることは確かだ。

「まあギリギリ、タイガーマスクがいい線いってるけどね。でもジュニアだからメインに出ることはないしさ、新日本はやっぱり猪木ってことになっちゃうんだよ」

あれほどのブームを巻き起こしたタイガーマスクでさえも、格や存在感では猪木に負けてしまう。
いやもしかすると、新日本プロレスという組織が、猪木を抜くことが出来ないシステムになっているのかも知れない。

「新日本も全日本も、そうなのかも知れないね。馬場も猪木も偉大すぎて、若い選手たちは諦めちゃってるのかもね」

現在のプロレスブームを造り上げた、ジャイアント馬場とアントニオ猪木。
確かにこの二人のお陰で、プロレスは継続し大人気スポーツにまで成長している。
だがいつまでも、この二人に頼ってはいられないのも事実だ。
このままの状態が続けば、馬場と猪木が終わると同時に、日本プロレス界も終わってしまうような気がしてならないマサル少年だった。


つづく

 2012年12月7日(金)

  『実録・プロレス道 第97話』

見事凱旋試合を勝利で飾った前田明。
しかし、マサル少年は、もしかすると谷津嘉章のように、負けるのではないかと少し心配していた。

「前田の場合は、IWGP参加が控えているから、それはないよ。しかし、本戦では勝てないかもな」

アマレス重量級最強と言われた谷津でさえ、国内マットデビュー戦では、流血なぶり殺しという痛い目を見ている。
しかし、前田は凱旋試合を危なげなく勝っているところを見ると、やはりエース候補として見られているのだろうか。

「IWGPに出すぐらいだから、もしかすると藤波や長州より期待してるのかもね」

藤波辰巳も長州力も出場出来なかった、IWGP決勝リーグ戦に参加出来ただけでも、前田にとっては破格の扱いだろう。
このリーグ戦の成績しだいでは、藤波や長州とポジションが入れ替わるかも知れない。
ライバル藤波を倒し本隊制圧まで、あとは猪木一人と追い詰めた長州だったが、前田という、やっかいな伏兵までは計算外だったのかも知れない。

「前田が長州と手を組むことはないだろうから、長州の今後の出方が重要になってくるね。長州だってやっと今の位置を掴んだんだから、そう簡単には手離さないはずだよ」

前田の帰国により、新日本プロレス本隊に厚みがでてきたことは確かだ。
本隊壊滅、革命という狼煙を上げながら、現状長州は足踏み状態なのだろうか。
それとも、何か策はあるのか。

「気になることがあって、浜口が長州と接触してるみたいなんだよ。この前の、6人タッグで木村と仲間割れしてたしね」

一昨年の秋から、新日本プロレスに殴り込みをかけているはぐれ国際軍団に、解散の危機が訪れているらしい。
鉄の結束と言われていた、ラッシャー木村とアニマル浜口の間に何が起きたのか。

「猪木も国際とは、もう終わりだって言ってたしな。浜口もこのままズルズル行くのが、嫌になったのかも知れないよ。浜口も生き返るには、長州と組むのがベストじゃないのかな」

現在革命軍は、長州を筆頭に参謀格のマサ斎藤、キラー・カーン、小林邦昭の4名で構成されている。
そこに浜口が加われば、更なる戦力アップ、軍団としての格好もつくことになる。
長州と浜口が水面下で接触しているのが本当ならば、軍団をパワーアップさせたい長州と、行き場を失った浜口の利害関係が一致したということになる。

「木村と別れて、まさか新日本本隊に入る訳ないしね。長州のとこか、他団体に行くしか浜口には道はないからな。そうなると、間違えなく長州とくっつくよ」

打倒猪木、新日本プロレス制圧という意味では、革命軍もはぐれ国際軍団も目的は同じだ。
ただ、浜口がはぐれ国際軍団を離脱し革命軍入りすることになれば、木村と寺西の二人だけのはぐれ国際軍団は消滅してしまうだろう。

「例え浜口が国際軍団に残ってたとしても、長州たちが力をつければ、消滅してしまうよ。一つの団体内にいくつも軍団は必要ないからね」

本隊に敵対する形では、革命軍とはぐれ国際軍団の他に外人部隊もいるのだ。
そうなると、敵対する日本人軍団は一つあれば充分な気がする。
既に猪木と決着のついた木村たちよりも、勢いのあるWWFインターナショナル・ヘビー級王者の長州率いる革命軍の方が人気は高い。

「仮に国際軍団がなくなったら、木村と寺西はどうなるのかな。本隊入りは、まず無理だから、新日本を辞めるしかないだろうな」

木村と浜口の仲間割れは狂言で、まさか浜口を密使にして、革命とはぐれ国際軍団が合体するのか。
IWGPという大舞台を目の前にしながら、ゴタゴタが続くあたりは、新日本プロレスらしいと思うマサル少年だった。

つづく

 2012年11月30日(金)

  『実録・プロレス道 第96話』

全日本プロレス東京体育館決戦の翌日、新日本プロレスは今月二度目の蔵前国技館大会を開催していた。
蔵前大会最大の目玉は、IWGP決勝リーグ戦に欧州代表として凱旋帰国した前田明だ。

「前田はいいみたいだね、身長もあるしスープレックスも蹴りも得意なんだろ。なによりもゴッチのお気に入りみたいだから、まさに新日本の将来のエースだよな」

帰国前に、フロリダのカール・ゴッチのもとで最終調整をしていた前田。
海外へ出発するまでは、空手の経験を活かした蹴りしか得意技はなかったが、ゴッチの指導で12種類のスープレックスを身に付けたのだ。

「ジャンボがデビューの頃4種類のスープレックスを売りにしてたけど、前田はその3倍だからね。実際は似たような形もあるかもしれないけど、それにしても凄いし派手だよ」

ゴッチの秘蔵っ子、12種類のスープレックスを大々的に宣伝しているあたりは、ジャンボ鶴田がルー・テーズ式のバック・ドロップを伝授されたことに対しての当て付けなのだろうか。

「実力的には、ジャンボの方が上だけどね。まず二人が闘うことはあり得ないし、前田もそれなりにハクをつけなきゃ、帰ってくるのにカッコかないからね」

プロレス界の誰もが崇める、鉄人ルー・テーズの必殺技バック・ドロップをものにした鶴田と、新日本プロレスの象徴である、神様カール・ゴッチ直伝のスープレックスを武器とする前田は団体のエースを期待されていることに違いない。

「馬場は少しずつだけど、一線から退いてきてるから、ジャンボのエースはもう決まったようなもんだよ。だけど前田がエースになるなは、何年かかるか分からんよ」

馬場のサポートもあり、世界王座への挑戦や強豪外人と、互角に渡り合っている鶴田のエース獲りは、あと一歩のところまで来ている。しかし、前田が新日本プロレスでエースになるには、現在エースのアントニオ猪木、次期エース候補の藤波辰巳と長州力たちがいるため、二世代を乗り越えて行かなければならない。

「たとえ前田がその3人に直接勝ったとしても、本人たちが認めなければエース交代は成立しないからね。ハッキリさせるには、引退か退団してもらうしかないよね。プロレスの世代交代ほど難しいものはないよ」

相撲とは違い番付のないプロレスでは、トップの位置づけに明確なものはない。
ベルトを巻こうが、リーグ戦に優勝しようが、団体内外に認められなければ、トップとして認めてもらえないのだ。

「その辺りをハッキリさせるために、猪木はIWGPを創った訳だからね。だから本当は、藤波のWWFインターも必要ないんだけどな」

IWGP構想のために、新日本プロレスで防衛していたヘビー級のベルトを返上したにも関わらず、新たに登場したWWFインターナショナル・ヘビー級王座。
世界中の乱立するチャンピオンベルトを、統一する目的のIWGPだけに、藤波の巻くベルトも返上するべきではないのだろうか。

「全日本もベルトが3本もあるけど、統一するとか格付けをしてないから逃げ道はあるけどさ。IWGPをやる以上は、藤波と前田のベルトも何とかしないと、話がややこしくなるよ」

特に前田は、ヨーロッパ・ヘビー級王者としてIWGPにエントリーされたが、IWGPを狙うのであれば、ベルト返上して参加するべきだろう。
そんな注目の中で前田は、新日本プロレス、ゴッチ、ファンの期待通り、ポール・オンドーフを3分少々で下し、見事凱旋試合を勝利で飾ったのだった。


つづく

 2012年11月23日(金)

  『実録・プロレス道 第95話』

グランド・チャンピオン・カーニバル東京体育館決戦で、事件というか事故が起こった。
インターナショナル・ジュニア王者である大仁田厚が、ヘクター・ゲレロを相手にタイトル防衛後、左膝蓋骨複雑骨折という重症を負ってしまったのだ。

「あれは完全に大仁田の不注意だよ。試合が終わってリングを降りる時に、膝から落ちたらしいんだよ」

試合中であろうが怪我をすることは、レスラーをはじめスポーツ選手ならば失格であるとマサル少年は考えている。
しかも、試合終了後に大怪我をするなんて、プロとしては考えられない。

「防衛も6回目だろ、これからっていう時に何やってんだよな。あれだけの大怪我だと、復帰にも時間がかかるだろうな。もしかすると、復帰できないかも知れないよ」

新日本プロレスのタイガーマスクによって、火がついたジュニアヘビーブームに対抗する形で登場した大仁田。
タイガーマスクの人気には及ばないものの、大仁田なりのスタイルを築き上げ、徐々にだが全日本プロレスにもジュニアヘビー級抗争が活気づいていただけに、とても残念でならない。
それに、ただでさえ層の薄い全日本プロレスのジュニアヘビー級の中で、王者である大仁田の戦線離脱は痛すぎる。

「大仁田の他だと、セブンぐらいしかいないしね。若手の越中にはまだ早いし、海外から渕か薗田を戻すのかな」

大仁田と同期で若手三羽烏と呼ばれた、渕正信と薗田一治は海外武者修行の真っ最中で帰国の予定はまだない。
越中詩郎に関しては、今シリーズ若手主体のルー・テーズ杯に出場してるレベルだけに、ジュニア王座挑戦には早すぎる。

「とりあえず王座決定戦を早くやって、チャンピオンを決めないとね。そうなると、やっぱりチャボになるんだろうな。次のシリーズに参加が決まってるしね」

ジュニア最強の呼び声の高い、小さな巨人チャボ・ゲレロ。
もとはといえば、全日本プロレスのジュニアヘビー級戦線は、大仁田とチャボでスタートしたのだ。
アメリカでの大仁田の王座奪取に始まり、ダブル・フォール引き分けや王座決定三番勝負を繰り広げてきた、全日本プロレスジュニアにはなくてはならない男なのだ。

「チャボの実力は誰もが認めてるからね。大仁田がチャボに勝てたのだって、ギリギリだったしな。今の全日本には、チャボに勝てる選手はいないよ。別にチャンピオンは日本人じゃなくても、いいと思うよ。強い者がベルトを巻かないと、プロレスがつまらなくなっちゃうよ」

大仁田との王座決定三番勝負以来、王座挑戦のないチャボ。
いつの日か、ライバル大仁田を倒し王者復活を目論んでいたに違いない。
本来ならば、次のシリーズで大仁田に挑戦する予定だったのだろう。

「大仁田とチャボのタイトル・マッチはみんな期待してたと思うよ。でも大仁田があんなことになっちゃったから、しょうがないよ」

まだ決まった訳ではないが、チャボの王者復活は時間の問題だろう。
実弟ヘクターとの試合のあとに、大仁田が怪我をしたのも何か因縁めいたものも感じる。
大仁田の復帰がいつになるか分からないが、それまでの間全日本プロレスのジュニアヘビー級抗争の火が、消えなければ良いと願うマサル少年だった。


つづく

 2012年11月16日(金)

  『実録・プロレス道 第94話』

今世紀最強のレスラーと言われている、鉄人ルー・テーズ。
その最強のテーズの最強の必殺技である、バック・ドロップをジャンボ鶴田に伝授したらしい。

「テーズのバック・ドロップは、角度もスピードもかなりキツいよ。ジャンボもあの本物のバック・ドロップを身に付けたら敵なしだよ」

マサル少年が知っているバック・ドロップには二種類あり、相手の腰と太股の裏を持ちゆっくりと弧を描くタイプと、胴体を両手でクラッチしてブリッジをきかせて投げるタイプだ。

「どっちかと言うと後者が近いかな。へそで投げるって言われてるけど、テーズのバック・ドロップは投げるとか落とすっていうより、叩きつける感じなんだよ。昔はマットも硬かったし、失神する場合もよくあったんだよ。まさに、一撃必殺だよ」

へそ投げ式という誰もマネの出来ないバック・ドロップを武器に、全盛期には936連勝を達成したテーズ。
そんな最強の武器を手に入れた鶴田ならば、打倒ブロディ、インターナショナル・ヘビー級王座戴冠は夢ではない。
しかし、なぜ鶴田は今頃になってバック・ドロップを習得する気になったのだろうか。

「最近のジャンボは、これっていう必殺技がなかったからな。昔はジャーマンを決め技にしてたけど、今はもう使わなくなったよね」

デビュー当時、ジャーマン、ダブルアーム、フロント、サイドの四種類のスープレックスを武器にしていた鶴田。
中でもジャーマン・スープレックス・ホールドは、凱旋試合のファンクス戦でテリー・ファンクからスリー・カウントを取ったり、チャンピオン・カーニバルで初優勝を飾った時の決め技なのだ。
そんなフィニッシュ・ホールドを持ちながら、なぜ使わないのか不思議だ。

「あくまでも推測だけど、ジャンボがテーズのバック・ドロップを身に付けることで、レスラーとしてテーズに近づいて欲しいと馬場は考えてるんじゃないのかな。一流になるために、一流に学ぶっていうことかな」

ジャーマン・スープレックスといえば、プロレスの神様カール・ゴッチの必殺技だ。
神様の必殺技を捨て、鉄人の必殺技を身に付けることに、何か深い意味があるのだろうか。

「馬場はゴッチよりテーズを認めてるからね。実際ゴッチはアメリカでホサれてたこともあるからね。日本だけの神様みたいだよ、特に新日本だけのね」

ジャイアント馬場も尊敬する超一流のレスラーテーズの技を自分のものに出来れば、鶴田には強さだけでなく風格も備わってくるという訳なのか。
たかがバック・ドロップ、されどバック・ドロップなのかも知れないが、ルー・テーズのバック・ドロップは世界一のバック・ドロップなのだ。
世界一の男から、世界一の必殺技を与えられたのだから、鶴田には世界一にならなくてはならない。

「ある意味、テーズとゴッチ、馬場と猪木の代理戦争をジャンボが引き継いだみたいだね」

鶴田がテーズ式のバック・ドロップを武器に、NWAかAWAの世界王者になれば、誰もが認める日本のトップレスラーになる。
しかしその前に、宿敵ブロディから、インターナショナル・ヘビー級王座奪取して、全日本プロレスのエースにならなければならない。
今シリーズ、インターナショナル・ヘビー級王座挑戦のほか、インターナショナル・タッグとUN王座防衛戦、最強タッグリマッチ・リーグ戦と過酷なスケジュールの鶴田に、世界一への第一歩が踏み出せるのだろうか。


つづく

 2012年11月9日(金)

  『実録・プロレス道 第93話』

遂に特別参加のブルーザー・ブロディが、15日からシリーズに合流した。
今シリーズの目玉でもある、インターナショナル・ヘビー級の防衛戦がいよいよ始まる。
しかし、シリーズの目玉は世界最強タッグリマッチ・リーグ戦であった。

「ブロディはインターの防衛戦に集中すると思ってたけどね。まさかこの時期にタッグリーグやるなんて、思ってもみなかったよ」

確かに、今頃タッグ・リーグ戦なんて想像していなかった。
全日本プロレスには、世界最強タッグ決定リーグ戦という、立派な大会があるのだから。

「去年の最強タッグの優勝戦の結果に不満だった、ブロディとハンセンの要望が通ったみたいだね」

ザ・ファンクスの優勝で終わった昨年の最強タッグ。
最後の最後に優勝できなかった、ハンセンとブロディの希望による再戦ということらしい。
参加チームは、昨年度優勝チームのザ・ファンクスにハンセン&ブロディとジャイアント馬場&ジャンボ鶴田を加えた3チームが、二戦闘うリーグ戦だ。

「ブロディもハンセンも、いつまでもファンクスの時代じゃないって言ってたからね。去年の反則負けは、よっぽど悔しかったに違いないよ。自分たちが優勝出来なかったよりも、ファンクスの優勝が気にくわなかったのかもね」

毎年恒例の暮れの祭典とは違い、参加チームも絞られたこのリーグ戦は、まさにタッグの実力世界一を決めるものとなりそうだ。

「頭数的なチームもないし、全勝しないと優勝出来ないキツいリーグ戦だよね。まあ、その方が説得力があるけどね」

いわゆる員数合わせの白星配給係的なチームのいない、ガチンコ勝負になりそうなリマッチ・リーグ戦。
ガチンコ勝負ならば、若さとパワーを誇るハンセン・ブロディが有利に思える。

「自分たちの意見を通してやるリーグ戦だから、ブロディたちは絶対負けられないよ。勝ちを意識した試合になるよ、きっと」

現在最強と言われながら、無冠の状態のハンセンとブロディのミラクル・パワーコンビ。
この最強タッグリマッチ・リーグ戦を制すれば、この先インターナショナル・タッグ王座戴冠や最強タッグ制覇も見えてくる。
それより、全日本師弟コンビやファンクスを倒すのだから、世代交代も完成するだろう。

「最強タッグの優勝チームとインタータッグ王者に勝てば、事実上のナンバーワンタッグだよ。それにブロディはインターのチャンピオンだから、間違えなくプロレス界のトップになるね」

シリーズ中、タッグリーグ戦と平行してインターナショナル・ヘビー級王座の防衛戦も組まれているブロディ。
タッグリーグ戦も優勝しベルトを守りきれば、ブロディのためのシリーズになるだろう。

「オレがブロディファンだから言う訳じゃないけど、リーグ戦も優勝するだろうし、タイトルも手離さないよ。やっとブロディの時代が来るよ」

誰も倒すことのできない、キングコング・ブルーザー・ブロディ。
全日本プロレスは、いや日本マット界はこの超獣に支配されてしまうのか。

「いや、日本にはジャンボがいるからな。ジャンボはテーズと秘密特訓してるらしいから、ジャンボは要注意だよ。それに強いジャンボを倒してこそ、強いブロディが証明されるからな」

鉄人ルー・テーズとの秘密特訓で、眠れる獅子ジャンボ鶴田は目覚めることがでるのか。
テーズとの特訓ということは、やはりあの大技を鶴田が身に付けることになるのだろう。


つづく

 2012年11月2日(金)

  『実録・プロレス道 第92話』

ジャイアント馬場・ジャンボ鶴田組が、インターナショナル・タッグ王座から転落してしまった。
全日本プロレスが誇る、最強の師弟コンビを倒し新王者チームとなったのは、スタン・ハンセンとロン・バスのラリアット・ライダーズだった。

「馬場たちがあのチームに負けるとは意外だったな。もし獲られるなら、ブロディとハンセンだと思ってたよ」

ハンセンが全日本プロレスに移籍してから、何度かタッグを組んでいたロン・バス。
バスのイメージとしては、ハンセンとテリー・ファンクの一騎討ちに乱入して、試合をブチ壊したぐらいだ。
こう言っては何だが、いくらハンセンと組んでも、バスがタッグベルトを巻くとは考えられなかった。

「いよいよ、ジャンボと天龍で取り返しにいくのかな」

師弟コンビの王座転落をきっかけに、鶴田と天龍の次期エースコンビが誕生すれば、マサル少年の思い描いた通りになる。
しかし、予想に反して五日後のリターン・マッチで、師弟コンビはあっさり王座返り咲きを果たしてしまう。

「ブロディが合流してから、またハンセンはタッグに挑戦するのかな。でも日程的に、シングルのタイトル・マッチもあるから難しいな」

馬場、鶴田、ブロディがシングルのベルトを持っている以上、それぞれの防衛戦があればタッグのタイトル・マッチは組めなくなってしまう。
楽しみにしていたシングルマッチのリーグ戦を廃止したのだから、シングルもタッグも毎日のようにやって欲しい。

「無理ってことはないと思うけど、シングルのリーグ戦をやめたんだから、タッグよりもシングルのタイトル・マッチを集中的にやった方がいいんじゃない」

確かにヘビー級のベルトが三本もあるのだから、毎日でもタイトル・マッチは出来そうなものだ。
それに、ダブル・タイトル・マッチの可能性だってある。
というより、インターナショナル、PWF、UNの格をはっきりさせても良い時期に来てるのではないか。

「2年前にインターが復活してから、格付けが曖昧になったよな。それまでは、PWFが全日本トップの証だったからね」

インターナショナル・ヘビー級王座は、力道山から受け継がれる日本プロレス界の至宝であり、日本のトップレスラーが巻くもの。
馬場は日本プロレスを退団時に、当時保持していたインターナショナル・ヘビー級王座をトラブル回避のため返上している。
独立し全日本プロレス旗揚げしてからは、PWF王座を団体の象徴としている。

「インターには伝統もあるし愛着だってあるはずだよ。でも、PWFは馬場が創って守ってきたものだからね。どっちが上って、そう簡単には決められないよ」

インターナショナル・ヘビー級王座が復活してから、日本人王者はまだ誕生していない。
由緒ある日本を代表するベルトだけに、真っ先に馬場が巻くものだと思っていたが、ドリー・ファンク・ジュニアとブロディの間を行き来しているだけだ。

「もう遅いけど、馬場がPWFとインターの両方巻くのがベストだったのかもね。でも今は、ジャンボに獲らせたいんじゃないのかな」

インターナショナルとPWF、どちらも封印出来ないだけに、ベルトを統一し二冠王者というのは魅力的だ。
それよりも、馬場はインターナショナル王座に興味があるのだろうか。
馬場の態度が定まらない限り、二本のベルトの格付けも定まらないような気がしてならない、マサル少年だった。


つづく

 2012年10月26日(金)

  『実録・プロレス道 第91話』

リーグ戦による得点争いで優勝者を決める、従来のチャンピオン・カーニバルを廃止した全日本プロレス。
シリーズ名をグランド・チャンピオン・カーニバルとし、外人選手とタイトル・マッチをより多く盛り込むシリーズにするらしい。

「チャンピオン・カーニバルはシリーズ名っていうより、シングルのリーグ戦の名前で定着してるからな。グランドを付けて、急にシリーズ名ですよって言われてもシックリこないよな」

チャンピオンクラスのレスラーを、一度に集め頻繁にタイトル・マッチを行うのだから、チャンピオン・カーニバルに違いない。
ただ、春の本場所と言われるほど、ファンやマスコミからも注目されている大会だったのだから、得点形式で優勝者を決めてもらいたい気持ちもある。
特に今年の鶴田には、師匠である馬場を倒し、チャンピオン・カーニバル二度目の優勝、一気にトップ獲りの期待もあった。

「馬場とジャンボのシングルも、年に一回だけでカーニバルでしか見れない訳だからね。去年はジャンボと天龍も良かっただけに、残念だったな」

馬場、鶴田、天龍などの日本人対決だけではなく、アメリカでは見られない外人同士の夢の対決も楽しみのひとつだった。

「今回はNWAもAWAもチャンピオンは来ないから、インター、PWF、UN、インタータッグのタイトル・マッチが中心になるね」

せっかく人気のリーグ戦を潰すのであれば、NWAかAWAどちらかのチャンピオンを呼んで欲しかった。
でなければ、いつものシリーズと、代わり映えしない気がする。

「目玉はファンクスにブロディとハンセン、レイスか。誰がどのベルトに挑戦するかが注目だね」

パートナー不在のハーリー・レイスは、昨年の絡みから考えても馬場のPWFと鶴田のUN狙いだろう。

インターナショナル・タッグは、王者チーム馬場・鶴田組とザ・ファンクス、ハンセン・ブロディ組の三つ巴の争いか。

「まあその辺は間違えないよ。だけどいつもよりタイトル・マッチを増やすんだから、ジプシー・ジョーやデビアスにもチャンスがあるかもよ」

ジョーやデビアスよりも、馬場のPWFに、鶴田やブロディ、ファンクスが挑戦するのも面白い。
ブロディのインターナショナル・ヘビーに、ハンセンやレイスが挑戦すれば、今までにない興奮と盛り上がりが予想できる。

「馬場とハンセン、ブロディとジュニアみないな決まった抗争じゃなくて、新しい展開が見てみたいよ」

新しい展開、つまりは新しい世代による抗争のことを師は言っているのだろう。
馬場とドリーに代わり、鶴田と天龍がハンセンとブロディに立ち向かえば、闘いの流れは必ず変わる。
もしかすると、このシリーズで鶴田がインターナショナル・ヘビー級の王者になるのかも知れない。
天龍も鶴田とのコンビで、インターナショナル・タッグ挑戦も考えられる。

「ジャンボのインター挑戦はあるよ。でも天龍のインタータッグ挑戦は難しいよ、馬場組が負ければ分からないけどな。天龍はインターに挑戦するぐらいじゃないのかな」

長らくインターナショナル・タッグのベルトを巻いている、馬場と鶴田の師弟コンビ。
防衛を続けている限り、このコンビの解散はないだろう。
馬場には、まだまだ頑張ってもらいたいが、将来の全日本プロレスのためにも、鶴田と天龍のタッグチームが一日も早く実現して欲しいと願うマサル少年だった。


つづく

 2012年10月19日(金)

  『実録・プロレス道 第90話』

前田明24歳、今年でデビュー6年になる新日本プロレス期待の若者だ。
その前田が約一年間の海外武者修行を終えて凱旋帰国する。
しかも、ヨーロッパ・ヘビー級のまま帰ってくるのにも驚いたが、IWGP欧州代表にエントリーされたことにも驚いた。

「前田はゴッチのとこでも練習してて、12種類のスープレックスを使えるらしいね。前田には期待してるけど、出来ればヨーロッパ代表は外人が良かったな」

せっかく世界各国の強豪を集め、世界統一のベルトを争うのだから、外人というより代表地区出身のレスラーの方がしっくりくる。
ヨーロッパといえば、アントニオ猪木を苦しめたローラン・ボックが出てくれば大会の権威も高まるだろうし、盛り上がるはずなのだが。

「全日本から世界王者の引き抜きがダメなら、新日本の常連外人の中でもトップクラスを集めなきゃね。特にヨーロッパは、ジュニアのいい選手は多いけど、ヘビーでボックを出さなきゃ他はいないよ」

確かに、新日本プロレス常連外人の中でヨーロッパ系のヘビー級レスラーは、ボックとオットー・ワンツぐらいだ。
ワンツの出場は発表されたが、ボックは出場しない。
何かトラブルでもあったの知らないが、その穴を埋めるのが日本人の前田というのも違和感を感じてしまう。
いくらヨーロッパのチャンピオンとはいえ、少しばかり無理があるのではないのだろうか。

「新日本としてもボックには出場して欲しかったと思うよ。ボックが出られない理由は分からないけど、これから売り出す予定の前田がイギリスでチャンピオンになったから、その勢いで出したのかもね」

日本人であろうと、現役のヨーロッパ・ヘビー級王者なのだから、代表の資格は充分ある。
だが、海外へ出る前はイチ若手レスラーだっただけに、約一年間の武者修行で急成長したのかも知れないが、善戦は期待出来ても猪木を倒して優勝とまでは考えにくい。

「猪木、ジャイアント、ホーガンあたりから勝たなくても、せめて引き分けにはもちこんで欲しいね。リーグ戦は取りこぼしが命取りだから、前田は台風の目になりそうだな」

両者リングアウトや時間切れの引き分けは、優勝を狙う者にとって痛い失点だ。
出来ることなら全てピンフォールの全勝優勝といきたいところだが、そうそう上手くいかないのがリーグ戦である。
長丁場の闘いになればなるほど、一つ二つの失点は仕方ないと思われがちだが、最後の最後にそのツケが廻ってくるのだ。

「前田だって優勝候補と全部ドローで残りを勝てば、優勝の可能性があるんじゃないのかな」

さすがに優勝までは難しいと思うが、データ不足のレスラーだけに何をしでかすか分からない楽しみはある。
しかし、IWGPは今までのリーグ戦とは違う。
構想三年、虎の子のチャンピオンベルトを返上してまで世界統一にこだわった大会なのだ。
前田が悪い訳ではないが、デビュー5、6年のレスラーが優勝するとは思えない。

「そりゃ猪木やジャイアントクラスを揃えないと、ベルト統一の名が泣くよ。参加メンバーもいつものMSGリーグ戦と大差ないし、あとは内容で勝負するしかないよ」

メンバーは変わらずとも、世界統一の冠の付いたシングルマッチのリーグ戦で、新日本プロレスは盛り上がりは心配はしていない。
それよりも、全日本プロレスが春の本場所とも言えるチャンピオン・カーニバルをリーグ戦ではなく、通常シリーズにしてしまったことが気がかりだ。
リーグ戦をなくしても、新日本プロレスに勝てる奥の手が、ジャイアント馬場にあるのだろうか。


つづく

 2012年10月12日(金)

  『実録・プロレス道 第89話』

ライバルであり、目の上のタンコブである藤波辰巳を倒したことで、事実上の新日本プロレスナンバーツーに躍り出た長州力。
団体のナンバーツーになったということは、アントニオ猪木の後継者になったということなのか。

「単純に考えればそうなるけど、猪木はまだまだ元気だからね。猪木と長州の歳の差からして、猪木が引退する頃には長州も全盛期を過ぎてるよ」

現在31歳の長州は、今が一番脂ののったレスラーとしては最高の時期だろう。
肉体を酷使するプロレスで、今のような動きができるのは、あと10年といったところだろうか。

「猪木は今40だろ、長州はあと10年の間にトップにならないとキツいね。できれば5年後ぐらいが理想だよね」

5年後ならば、猪木は45歳引退はしないまでも第一線からは身を引いてもおかしくはない。
長州が36歳でトップの座を掴み獲れば、5年から10年はトップでいられるだろう。

「でも猪木は引退するまでトップを譲らない気がするな。今の猪木の人気と実力を見ると、引退どころか後継者だって考えてないよ」

確かに猪木は、どんな時でもメインを張り続けてきた。
いくら藤波や長州が力をつけても、タイガーマスクの人気が爆発しようとも、メインから外れることなどなかったのだ。
新日本プロレスの象徴は猪木、猪木なくして新日本プロレスは語れないと、ファンもそうだが、何より猪木本人がそう思っているに違いない。

「長州、藤波、タイガーも凄いけど、猪木と比べるとやっぱり二枚も三枚も下だよ。説明しにくいけど、格というか、カリスマ性というか……」

師の言いたいことは、良く分かる。
猪木には、ファンを引き込む何かがある。
試合に勝っても負けても、いや闘う前の入場の時からファンは猪木に酔いしれているのだ。

「まあそれがエースの条件だよね。いい試合したり勝たなきゃファンが喜ばないようじゃ毎回お客さんは来ないよ。だから出てきただけで、あれだけファンが興奮するんだから、猪木はたいしたもんだよ」

プロレスは闘いだが、ただ勝てば良いというものではない。
闘いを通じて人々に感動を与える点では、長州も藤波も猪木の域には達していない。
仮に猪木が引退し後を受けたとしても、あそこまでの人気を維持することは出来るのだろうか。

「団体内での世代交代は、今までになかったことだからね。馬場も猪木も独立してトップになったからな、そう簡単にはいかないよな」

日本プロレス時代、力道山亡きあとのエースを任されたのちに独立したジャイアント馬場。
馬場と同じ日本プロレスに所属していたが、クーデターの首謀者として団体を追放され新日本プロレスを設立した猪木。
二人とも世代交代という形で、エースになった訳ではないだけに、次期エースを決めることは非常に難しくデリケートな問題と言える。

「馬場は早いうちから、ジャンボに決めてるみたいだよ。ジャンボのメインも多くなってきたし、馬場はインターやNWA王座に挑戦しなくなったからね。これでタッグを解消したら、馬場は一歩引くだろうね」

鶴田がインターナショナルなり世界王座を獲得すれば、馬場は自分と並んだもしくは抜いたと認めエースの座をスンナリ譲るだろう。
逆に猪木は、自分を倒すことにより相手をエースとして認めるような気がする。
誰よりも世界最強にこだわり続けた猪木には、当然のことかも知れない。
そして、世界最強、ベルト統一の野望であるIWGPがスタートする前に、ある男が帰ってくるのだった。


つづく

 2012年10月5日(金)

  『実録・プロレス道 第88話』

タイガーマスク欠場で揺れる新日本プロレス4.3蔵前国技館決戦で、またしても波乱が起きた。
なんと長州力が藤波辰巳を破り、WWFインターナショナル・ヘビー級王者になったのだ。
猪木、藤波の新日本プロレス本隊に造反した、あの噛ませ犬騒動から約半年。
念願の打倒藤波、王座獲得だった。

「まさかピンフォールで決着がつくとはね。また、フェンスアウトか何かで、藤波が防衛するもんだとばかり思ってたよ」

藤波と長州の一騎討ちは、実力も体格も近いし、互いに並々ならぬ意地とプライドがぶつかるだけに、ピンフォールによる完全決着は難しいと思われていた。
それに、決着がつかないのもこの二人らしいと、マサル少年は考えていた。

「マサルが言うように、決着がつかない方が面白いのかも知れないけど、長州はそろそろ結果を出さなきゃいけない頃だからな」

今年に入り、マサ斎藤やキラー・カーンらと革命軍を結成した長州。
もとはといえば、藤波との格差や自分に対する団体の扱いの悪さから造反したのだが、今は軍団のリーダーとして個人レベルの闘いではなくなっている。

「自分について来てくれる仲間のためにも、長州は勝つことに拘ったんだね。本隊に守られている藤波との差は、その辺だったのかな」

藤波は本隊に守られているのかも知れないが、その本隊という大所帯を藤波が守っているのも事実だ。
なのに長州の方が優れているように、思われていることに納得がいかない。
とくにマサル少年は、悪役より正統派の善玉レスラーが好きだった。
中でもジャンボ鶴田や藤波のような、デビューから一貫して正統派のレスラーのファンなのだ。
だから、長州に脚光が浴びることに違和感を感じずにはいられなかった。

「長州に人気が集まってるのは、今までにない珍しいタイプだからだよ。急にヒールになったとしても、大抵はエースの引き立て役で終わるけど、長州はトップになる可能性もあるし、従来の日本のプロレススタイルを変えたのも確かだからね」

たった一人で始めた造反だったが、いつしか同志が増え革命戦士とまで呼ばれるようになった長州。
新日本プロレスという巨大な組織に、立ち向かう姿にファンは共鳴したのだ。
古いものを壊さなければ、新しいものは生まれてこないのはわかるのだが、本当に長州のやり方で良いのだろうか。
本隊に歯向かうやり方は、はぐれ国際軍団や上田馬之助と何ら変わらないのではないのか。

「昔だったら、ブッ殺してやるって言うような奴ばっかりだったけど、長州はビジョンっていうか信念を持ってやってるところが、支持されてるんだろ」

どんな信念かは知らないが、所詮長州は本流から外れことに違いない。
やはり、一度悪の道に進んだ者にエースの座は似合わない。
新日本プロレスの将来のためにも、1日も早い藤波の王者復帰を願うマサル少年だった。


つづく

 

 

 

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