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 2012年6月29日(金)

  『実録・プロレス道 第75話』

プロレスとは闘いなのか、それともスポーツなのか、ジャンボ鶴田の試合を見ていると、そう思ってしまう。
あまり感情を剥き出しにしないファイト・スタイルは、アントニオ猪木や長州力とはまったく正反対なのだ。

「馬場や鶴田は、感情よりも身体の大きさを最大限に表現するプロレスだからね。やっぱり本場のアメリカを意識してるんだよ」

大男同士が闘えば、それだけで充分迫力は伝わってくる。
常人を上回る体格であれば、感情表現などなくてもプロレスは成立してしまうのだ。

「でもそれは、会場向けであって、テレビだともっと感情を出しても面白いんだけどね」

試合を会場の一番後ろまで伝えるには、言葉や表情などまったく分からないのだから、身体を大きく動かすしか方法はない。

「アメリカはビッグマッチを会場だけで観させるようにしてるからね。テレビでは、それまでの流れを観せといて、本番の大会場に足を運ばせるようにしてるんだよ」

なるほど、日本に置き換えると、シリーズの地方大会をテレビ中継しておいて、最終戦の国技館や武道館は放送せずに、会場に呼び込むシステムなのか。

「大会場に客をいれなきゃ意味がないからね。だから、テレビでのアピールだって必要なんだけど、全日本は話題作りが少ないよ」

会場の隅々まで迫力を伝えるのも大事だが、その前に会場に来てもらわなければ無駄なことだ。
華やかな外人勢による世界選手権も素晴らしいが、遺恨や裏切りなどスキャンダラスな方が、日本人は興味を持つ気がする。

「馬場は本番のアメリカと同じようにやってれば、失敗することはないって考えてるんだよ。今は新日本が人気あるけど、長い目で見れば自分の方が正しいと思っているはずだよ」

本場アメリカのプロレスを直に体感した馬場だからこそ、本場アメリカの素晴らしさやNWA世界王座の権威を広めたいのだろう。

「でも、馬場やジャンボならアメリカ流のプロレスで通用するけど、他の選手を考えると、もっとゴチャゴチャしてもいいんじゃないのかな」

しかし、馬場を頂点とし完全なるピラミッド体制の全日本プロレスでは、馬場に反抗するレスラーが出てくるとは考えにくい。
やはり、全日本プロレスではスキャンダラスな話題作りは無理なのだろうか。

「ジャンボは馬場と同じで、才能があって強すぎるから、下手な話題作りを嫌うのかな。普通にやってて凄いんだから、やっぱりジャンボはプロレスをスポーツだと考えてるんだよ」

確かに強さを競い合うのがプロレスなのだから、強ければレスラーとして一流なのかも知れない。
しかし、強さだけでなく、お涙頂戴ではないが、感情移入できるレスラーの方が日本人に受け入れられそうである。

「天龍あたりがもう少し伸びてくると、ジャンボも焦り出すのかな。デビューからずっとナンバー2でスランプもなくこなしてるジャンボには、トップになってやろうって欲がないんだろうな」

全日本プロレスのエースにするための英才教育が、エースになる欲を無くしたとすれば、鶴田自身が目覚めるのを待つしかない。
そのことに気がついたのか定かでないが、馬場は昨年ハーリー・レイスに奪われたPWF王座奪回のため次期シリーズを休み、セントルイスへ旅立った。
そして、馬場と入れ代わる形で、アメリカマット界で大ブームを起こした、あの男が帰って来るのだった。


つづく

 2012年6月22日(金)

  『実録・プロレス道 第74話』

全日本プロレスの若大将ことジャンボ鶴田も、長州力と同じくミュンヘン五輪アマレス日本代表から、プロレス入りしたエリートだ。
しかし鶴田は、デビュー当時からメインエベンターであり、長州のように前座経験がない特殊なレスラーである。

「ジャンボと長州を比べちゃダメだよ。センスも体格もジャンボは優れてるんだし試合内容も悪くないからね。前座に出る必要がないから前座経験がないんだよ」

鶴田の入団当時の全日本プロレスは、旗揚げ間もないこともあり選手層が薄かったこともあるが、鶴田の新人ばなれしたセンスは目を見張るものがあった。

「デビューしてすぐに、団体のナンバー2になっても誰も文句が言えないぐらい凄かったよ」

アマレスエリートの肩書き通り、デビューから現在までトップグループから外れることなく順調なプロレス人生の鶴田。
馬場は猪木が長州や谷津に仕掛けたように、鶴田に試練を与えようとは考えなかったのだろうか。

「馬場はジャンボを大物外人に当てることが試練だったんだよ。それにあれだけの素材なんだから、経営者としたらジャンボを上で使わない手はないよ」

社長・馬場正平としての立場では分かるが、レスラー・ジャイアント馬場としては、鶴田の存在は自分のポジションを脅かすものではなかったのか。

「いくらジャンボが凄くても、馬場は新人には負けないと思ってただろうし、自分が負けるぐらいの大選手に育てるつもりだったんだよ」

馬場の後継者ならば鶴田しかいない、全日本プロレスのエースは鶴田だと認めさせる馬場流の英才教育により、鶴田は期待に応える活躍をしてきた。

「でもジャンボに必要なのは勝ちに拘る姿勢かな。若いうちから、世界王者クラスと互角に渡り合っているのは認めるけど、善戦マンじゃ物足りないよ」

NWA、AWAの世界王座に何度挑戦しても、あと一歩のところで王座奪取に失敗している。
反則やリングアウト勝ちでは王座の移動はなく、ピンフォールで勝たなければ王者になれないルールに負けていたのかも知れないが、鶴田の最後の詰めの甘さも原因ではある。
今の鶴田に欲しいのは善戦ではなく、やはり勝ちなのだ。

「なんとしてでも勝ってやろうっていう、気迫みたいのが見えないよね。デビューからメインエベンターなのは凄いけど、悪く言えば今でもデビュー当時と変わらないんだよ」

デビューからメインエベンターで前座経験のない鶴田に足りないものは、ハングリー精神なのか。
溢れる才能と大型外人に負けない体格を持つ鶴田には、努力や根性など必要なく、楽々とここまで来てしまったように見える。

「ジャンボも決して楽をしてたとは思わないけど、他の選手ほどの努力は必要なかったんだろうね」

では鶴田が他の誰よりも努力し、勝つことに貪欲になってしまったらどうなるのか。
世界中のベルトというベルトが、鶴田の下に集まってしまうのではないのか。

「ジャンボがその気になったら、そうなるかも知れないね。でも馬場が元気なうちは、ナンバー2の呑気な若大将でいるつもりじゃないのかな」

同世代の藤波辰巳や長州力が、自己アピールに釈迦力になっているというのに、それでも鶴田は我が道を行くのか。
チャンピオン・カーニバルで優勝した時には、このまま鶴田時代になると思っていたマサル少年。
日本のトップ、世界の頂点も夢ではない、ジャンボ鶴田が早く覚醒して欲しいと願うばかりだった。


つづく

 2012年6月15日(金)

  『実録・プロレス道 第73話』

長州力率いる革命軍の勢いを食い止めるのは、誰なのか。
このままだと、藤波は本当に長州の踏み台になってしまいそうだ。
次期エース確実と思われていた藤波のどこが悪かったのか、それとも長州の実力が遥かに藤波を上回るものだったのか。

「藤波はエース候補って言われてたのは、ジュニア王者の頃だろ。ヘビーに転向してからはイマイチだからね、チャンピオンになっても今のままじゃエース候補は難しいよ」

ニューヨークでジュニア王者となり凱旋帰国、ドラゴンブームを巻き起こした藤波は、華やか舞台がとても似合っていた。
猪木の後継者と持て囃され、黙っていても次期エースは確実、新日本プロレスの本流に乗ったと思ったに違いない。
しかし、ヘビー級に転向してからの藤波は、目立った活躍がない。
飛龍十番勝負やWWFインターナショナル王座戴冠も、猪木と長州にかき消されてしまっている。

「藤波のイメージが猪木や長州と違い過ぎるんだよ。ジュニアの爽やかなイメージでスターになったけど、新日本のトップになるには野心を持って目をギラつかせないと潰されるよ」

猪木も全日本プロレスに負けないため、プロレス界の頂点に登り詰めるために、ありとあらゆる手段で新日本プロレスを人気団体に押し上げた。
長州にしても、アマレスエリートとの肩書きだけでは無理と判断し造反したのだ。

「藤波に足りないのは、野心とか野望だよ。外人たちも新日本をきっかけにスターになった選手ばかりだろ、新日本でトップになりたきゃ野望を持たないと」

確かに新日本プロレスのトップクラスの選手たちは、無名時代から這い上がった者が多い。
誰に頼ることなく、己の努力と根性しか信じられないという感じだ。
しかしそう考えると、叩き上げの藤波が生き残り長州が消えてもおかしくないのだが、結果としては逆になりそうだ。

「それは長州が造反することで過去の栄光を捨てたからだよ、藤波はジュニアのスターを経てヘビー級に転向しただろ、ある意味藤波の方がプロレスではエリートなんだよ」

なるほど、プロレス入りまではエリートと雑草の立場だったのが、デビューしてから逆転してしまったのか。

「藤波もジュニア時代のことは忘れないと危ないよ、ジュニアじゃトップだったけど、今は倒さなきゃならないのがたくさんいるからね」

ジュニアヘビー級という新ジャンルの開拓者であり、プロレスラーとしての地位も名誉も獲得した藤波。
いずれ引き継ぐ新日本プロレスエースの座ためにヘビー級に転向したまでは良かったが、優等生タイプの藤波は、数々の野望に阻まれ苦悩し続ける。

「新日本のエース争いはまだまだ分からないよ。っていうより、IWGPもあることだし、しばらくは猪木がトップでいつづけるよ」

言われてみれば、IWGPも実現していないのに猪木がエースを譲るはずなどあり得ない。
猪木のためのIWGPであり猪木のための新日本プロレスなのだから、藤波と長州の存在など猪木から見れば何ともないのかも知れない。

「藤波だ長州だって騒いでも、結局は猪木ありきなんだね。その点全日本の次期エースはジャンボでスンナリ決まるだろうな」

ライバル団体である全日本プロレスも、当然馬場の後継者問題を抱えている。
藤波と長州の一連の騒ぎを見る限り、マサル少年は、師の言う通り全日本プロレスの次期エースがジャンボ鶴田で決まらない気がしてきたのだった。


つづく

 2012年6月8日(金)

  『実録・プロレス道 第72話』

革命戦士とまで言われ、今やプロレス界の中心となった長州力。
しかし、マサル少年は、長州の活躍を素直に認めたくはなかった。
アマレス出身のエリートであるならば、全日本プロレスのジャンボ鶴田のように正攻法でもトップになれるのだ。
だが長州は、反逆という手段で自身をアピールしたところが気に入らない。

「タイミングもあるけど、今の新日本じゃ黙ってたら置いていかれるだけだよ。上に行きたきゃ自分で何とかしろってことだよ」

猪木の方針というか新日本プロレスの体質なのだろう、テスト入団だろうがスカウトされたエリートだろうが新人は新人。
ドン底まで突き落としてプロの厳しさを教え、這い上がってきた者のみが、プロとしてレスラーとして通用するというのだ。

「良いか悪いかは別として、猪木の新人の育て方は一貫してるよ。まさに努力と根性だよ、リングに上がれば過去の栄光は関係ないってことだよ」 

師の言いたいことはよく分かるが、なぜ長州は正面から藤波に挑戦せずに、本隊に造反したのだろうか。
本当に実力があるのなら、正々堂々と闘って勝利すればいいではないか。

「藤波と長州がクリーンに試合してもつまらないよ。プロレスはやっぱり正義対悪なんだからさ、まさか藤波がヒールになる訳ないし、長州が藤波と闘いたいならヒールになるしかないんだよ」

確かに、日本人対決の難しいところだ。
両者が正統派であれば、良い試合は期待できても身を乗り出すような興奮はないかも知れない。
それこそ、どっちも頑張れ的な冷めた雰囲気になるだろう。

「ラッシャー木村も国際では正統派のエースだったのに、敵地の新日本に来ただけで物凄い悪役扱いになってるだろ。もし猪木と闘うのに悪役を拒んでたら、今頃は前座か引退だよ」

長州もデビューから10年近く経って考えたのだろう。このまま本隊にいても、浮かび上がることはまずない、造反でも悪役でも、レスラーとして上に行くには手段を選んでいる場合ではないと。

「でも長州は本隊に敵対してるだけで、悪役って感じじゃないからね。だから革命とか言われて、ファンに支持されてるだろ。このまま藤波と猪木に勝てば、充分新日本のトップになれるよ」

新日本プロレスの次期エースで猪木の後継者は誰もが藤波だと思っていたが、ここへ来て長州の可能性も出てきたのだ。

「とりあえずは藤波との決着が先だね、それで勝った方が猪木に挑戦だよ。猪木も簡単には負けないと思うけど負けたら引退、世代交代かな。でもそう上手くいかないかな」

将来的に世代交代までもが関係してくる、今回の長州の造反劇。
長州の唱える革命とは、自分の理想を貫くことなのか、それとも猪木を倒して新日本プロレスの全権を握ることなのか。

「どうせやるからには猪木を倒して行くとこまで行ってほしいよ、藤波に勝って終わりじゃ革命が聞いて呆れるよ」

ただ単に藤波への嫉妬と、会社からの冷遇に対する不満で造反した長州と思っていたが、メンバーも増えた今はもう引き下がることはできない。
長州の革命が本物であれば、もしかすると藤波は長州に踏み台にされているだけではないかと、マサル少年は考えだしたのだ。


つづく

 2012年6月1日(金)

  『実録・プロレス道 第71話』

新日本本隊残留か革命軍入りか、注目されているキラー・カーン。
その答えは試合中に、タッグ・パートナーである坂口征二を裏切り攻撃することによってハッキリしたのだった。

「思った通りカーンは長州側についたね。これで軍団らしくなって抗争が面白くなるよ」

カーン加入により革命軍は四人になり、闘いのバリエーションも増えることになる。
いずれカーンの相棒である、タイガー戸口も参加することになるだろう。

「斎藤もカーンも戸口も主戦場は海外だからね。日本に来た時だけの革命軍だから、長州も本音を言えば本隊から引き抜きたいんだろうね」

新日本プロレス本隊のメンバーを考えると、猪木、坂口、藤波、タイガーマスクは動くはずはない。
特に猪木が動けば、猪木のいるところが本隊になる訳だし、トップの猪木を倒してこその革命なのだ。
では誰ならば革命軍に相応しいのか。

「革命軍のメンバーは一匹狼風の選手が多いよね。斎藤やカーンのフリー組もそうだけど、長州と小林も帰国してからは孤独なイメージが強かったよ」

群れをなすことを嫌い、己の力のみ信じて闘い続けてきたが、同じ志の者であれば徒党を組むのも自然に思える。
もしかすると、体制側から疎外されていたがために、周りからは孤立しているかに見られていたのだろう。
そして反逆をきっかけに、今までチャンスに恵まれなかった者が、自らの手でチャンスを掴もうとしているのだ。

「本隊から引き抜くとしたら健吾あたりかな。でもそうなると本隊も手薄になるから、それはないか」

ジュニアヘビー時代から藤波のライバルとして、一目置かれていた木村健吾。
昨年末に、藤波の持つWWFインターナショナル・ヘビー級王座に挑戦したとはいえ、長州ほどのインパクトはなく、今更敵対しても意味がない気がする。

「革命軍に入っても浮いちゃうだろうな。あのアクの強いメンバーの中じゃ難しいよ。本隊の斬り込み隊長の方がまだあってるよ」

新日本プロレスの天守閣を守るためには、玉砕覚悟の斬り込み隊長も必要だ。
勝ち負けは別として、少しでも猪木や藤波の援護射撃をするには木村健吾は適任かも知れない。

「出来れば若手が欲しいんじゃないかな。前田とか谷津とか海外行ってるのが、帰国と同時に軍団入りするのも考えられるよ、あと平田もいるね」

アマレス五輪代表の肩書きをひっさげて、鳴り物入りで新日本プロレスに入団した谷津嘉章。
その期待の新星も入団から丸二年泣かず飛ばすであるが、将来のエース候補でエリートなのは変わらない。
いくら伸び悩んでいるとはいえ、反体制の革命軍に入るとは考えにくい。

「前田や平田より、谷津の方が可能性があるよ。アマレス出身で将来を期待されてスカウトされた長州と境遇が似てるからね」

確かに、長州と谷津の境遇は似ている。
エース候補と期待され入団し、華々しくデビューしたまではよかったが、その後の燻り具合までも同じだ。
まるで、アマレスで頂点を極めた者が、簡単にメインを張れるほどプロレスは易しくないと言わんばかりである。

「アマレス出身でもジャンボみたいな成功者だっているんだから、長州たちだってチャンスはあったはずだよ。でも新日本のカラーっていうかエリートより叩き上げの方が人気あるよね」

トップである猪木も藤波も、練習生から前座を経験し今の地位まで登り詰めた苦労人。
言い方を変えれば、若い頃からプロレス漬けでプロレスによってプロレスのトップになったのだ。
いくら五輪代表とはいえ、アマレス出身に負けられない、つまりプロはアマチュアに負けてはならない意地があるのではないかと、マサル少年は考えていた。


つづく

 2012年5月25日(金)

  『実録・プロレス道 第70話』

長州力、マサ斎藤、小林邦昭の一派は、革命軍と呼ばれるようになっていた。 初めは、たった一人で造反した長州だが、この様子だと予想以上にことが大きくなる気配を見せている。

「革命軍と言われるからには、藤波あたりに噛み付くぐらいじゃ物足りないよ。猪木を引きずり降ろして、新日本を征服しないと革命じゃないよ」

新日本プロレス内部でのマンネリ打破のために作られただけの軍団であれば、革命などという名前は重すぎる。
長州と小林だけであれば、会社の扱いにヘソを曲げたぐらいで済まされたかも知れない。
しかし今となっては、斎藤を引き込み軍団を結成し、明らかに新日本プロレスの改革を表明しているのだ。

「長州は本気だよ、軍団はまだ増える気配を見せてるからね。カーンが怪しいよ」

今シリーズ参戦しているキラー・カーンに、革命軍入りの噂が絶えない。
カーンは斎藤と同じく、アメリカを主戦場にしている大型日本人ヒールレスラー。
カーンは外人レスラー同様シリーズ契約で参戦しているが、常に日本側の助っ人として猪木を支えていた。

「カーンと長州が敵対するのも興味はあるけど、元々ヒールなんだからさ、本隊に付くと持ち味が出ないよな」

長州たちが悪役とは言い難いが、新日本プロレス本隊に牙を剥く反体制にはかわりない。
反逆者でも天下を取れば、その人間が正しいのだ。
勝てば官軍、負ければ賊軍ではないが、プロレスにおいて会場に観客を集めファンを魅了することのできる者こそ天下人なのだ。
一匹狼の斎藤も長州という同志と出逢い、少なからず新日本プロレス制圧の野望を持ったに違いない。
斎藤と似た境遇のカーンにも、一発逆転を狙う野望があるはずだ。

「カーンだってニューヨークじゃトップヒールだからね。いくら世話になったからと言っても、猪木の手助けだけじゃつまらないと思ってるよ」

世界の大巨人、アンドレ・ザ・ジャイアントの足を折り、その悪名を轟かせたカーン。
日本では頼れる助っ人ではあるが、本来の迫力や恐ろしさ消えかけている。

「長州側についても長州を抜くのは難しいかも知れないけど、本隊にいても猪木や藤波を越えることは無理だからね。だったら自分たちの手で革命を起こす方がカーンらしいよ」

崩壊寸前の日本プロレスから坂口征二と共に新日本プロレスに移籍し、辛く長い海外武者修行の果てにトップヒールに成長した陰には人には言えない苦労があったことだろう。
新日本本隊に付いていればそれなりのポジションは保証される。
しかし、そんな生温いところより険しい道を選んだ方が男としてレスラーとしての生き甲斐を感じるのではないのか。

「今度坂口と組んで長州たちと当たるだろ。そこで間違いなく答えは出るよ」

長州ら革命軍の野望は、この一戦に懸かっていると言っても大袈裟ではない。
カーンが味方になるのか、敵の強力な助っ人になるのか。
カーンの心の中では既に決まっているのかも知れない。


つづく

 2012年5月18日(金)

  『実録・プロレス道 第69話』

外人レスラー中心の全日本プロレスとは違い、日本人対決に力を入れている新日本プロレス。
その日本人対決で名を売った長州力が、何やら怪しく動き出した。
フリーの一匹狼としてアメリカで暴れまくるマサ斎藤と手を組んだのだ。

「プロレスはタッグマッチだってあるんだから、長州一人だと限界があるよ。同じアマレス出身の斎藤と組むのは正解かもね」

確かに毎回シングルマッチという訳にもいかず、タッグパートナーも当然必要になってくる。
それよりも、レスラーと言えども人間なのだ、試合中は勿論のことプライベートで喜びを分かち合い悲しみを慰める仲間が欲しいに決まっている。

「小林も長州に付いてるんだろ、もう少し人数を揃えたいだろうけど、とりあえずは3人いれば充分じゃないのかな」

タイガーマスクに牙を剥く小林邦昭もメキシコから帰国後、長州と行動を共にしているようだ。
藤波とタイガーマスクを付け狙う長州と小林に斎藤が加わったのだから、猪木も黙って見ている訳にはいかないだろう。

「長州も藤波の先には猪木を見てるだろうから、斎藤は参謀というか、いい援護射撃をしてくれるよ。もしかすると斎藤もまだまだ打倒・猪木を諦めてないかもね」

長らく海外を主戦場にしていた斎藤も長州のアシストだけでなく、猪木の首を獲るまたとないチャンスであることは間違えないのだ。

「国際軍団との絡みもあることだし、ここまで日本人だけで盛り上げられるんだから新日本は大したもんだよ」

世界最高峰のベルトに挑戦出来ずに、日本人対決に活路見出だしたと言ってしまえばそれまでだが、ここまでファンが熱狂し酔いしれているのであれば、全日本プロレスと新日本プロレスの戦略はどちらが正解なのかは断言出来ない。

「でもやっぱりベルトは必要だよ。猪木だって世界タイトルに挑戦出来るんだったら、日本人対決に力を入れてないと思うよ。現にIWGP構想自体がベルトを認めてることだからね」

新日本プロレスの歴史を辿ると、大物日本人対決とNWFヘビー級選手権の二本立てで勝負しているのが分かる。
プロレスにベルトが必要なことは、猪木だって理解しているように見える。

「馬場も猪木も間違ってないよ。力道山もシャープ兄弟とやったり、木村政彦とやってるしね。その時その時でファンが観たいものを提供するのが一番だよ」

日本人の実力者が揃い出せば、日本人最強は誰だか知りたがり、一方世界にどれだけ通用するかも見て見たい、大切なお金を払っている以上ファンは欲張りになるのも仕方がない。

「今のプロレスブームを考えると贅沢だよね。でもレスラー一人一人がいい加減なことをしてると見放されちゃうよ。経営者である馬場と猪木は勿論だけど、長州たちだってキチンとしたビジョンがあっての行動だと思うよ」

新日本本隊にはぐれ国際軍団と外人勢が絡み合う展開が続いていたが、新たに長州軍団が飛び込んで来たのだ。 
新日本プロレスという枠の中での勢力争いは、まるで戦国時代の国盗り合戦にも思える。
かたや世界王座を狙う全日本プロレスの戦略は、太平洋戦争的といったところだろうか。

「戦争に例えると、そんな感じだね。でも国際も長州も駒が少ないよな、外人を入れたり本隊から引き抜けば戦力もアップするし話題になるのに」

長州の目的は何なのか、藤波への対抗意識だけか、新日本プロレスのトップ獲りなのか。
せっかくここまで来たのだから、中途半端なことだけは勘弁して欲しいと願うマサル少年だった。


つづく

 2012年5月11日(金)

  『実録・プロレス道 第68話』

年が明け、今年の正月も我が家はお客さんで賑わっていた。
当然、師もその中の一人であったが、例年通り録画したプロレス中継ばかり見ていた。

「今年こそジャンボに頑張ってもらわないとな、ブロディとハンセンの人気だけじゃ行き詰まるよ」

全日本プロレスの次期エース、ジャンボ鶴田も今年でデビュー10年、そろそろ結果を出さなくてはならない。
というより、遅すぎるぐらいではないのか。

「去年馬場がハンセンとやって、まだまだ出来ることを見せたからな。でも今年はジャンボがブロディやハンセンとガンガンやらないとね」

昨年全日本プロレスに戦場を移したスタン・ハンセン。
人気も勢いもあるトップ外人を、団体の長として迎え撃ったジャイアント馬場。
当時、体力の衰えから引退の噂が絶えない馬場であったが、ハンセンとの激闘により甦り、馬場の時代は終わらないと改めて感じさせた。

「馬場が復活したの嬉しいけど、全盛期には程遠いし下り坂なのは認めるよ。だからこそ、馬場が完全にリタイアする前にジャンボが出てこないとダメなんだよ」

世界王者をはじめ、一流の外人レスラーが毎シリーズ参戦する全日本プロレス。
しかも、2メートル近い大男ばかりが暴れまくる様は、アメリカマットそのままの迫力である。
そんな馬場・全日本の目指す、本場アメリカに負けないプロレスを継承出来るのは、鶴田以外に考えられない。

「ジャンボのあの体は宝だよ。大型の外人に対抗するには、あのぐらいの体がなきゃね。馬場もそうだけど、やっぱりプロレスはデカい者同士がぶつかる迫力がないとね」

確かにプロレスは、現実の中で非現実の空間を表現し、それをファンが楽しむものである。
まず、2メートル近い大男の存在が珍しいし、その巨体が動き回りぶつかり合うのだから、日常生活では有り得ないことだ。

「ジュニアヘビー選手の空中殺法も凄いと思うけど、レスラーはまずデカさに驚く訳だから、極端に言えばデカいだけでレスラーとして成立してるよ」

ジュニアヘビー選手のスピード感溢れる試合は面白いが、体が小さい人間がやってもそれほど感動はしない。
比べてはいけないが、飛び技などは、器械体操の方が遥かに難易度の高い技を出している。
それよりも、スーパーヘビー級の大男たちが走り回ること事態が脅威なのだ。

「一流の外人はみんなデカくて動けるからね。そうなると、対する日本人もデカくないと説得力がないんだよ」

いくらテクニックやスピードが優れていても、体が小さいと見劣りするどころか迫力が伝わらない。
小さい者が大きい者を倒すことに興味はあるが、ヘビー級同士の闘いこそがプロレスの醍醐味に思える。

「日本人対決だけなら、体の大きさはそんなに気にならないけど、外人を呼ぶからにはデカい日本人で対抗しないとね」

日本人の顔触れは滅多に変わらないのだから、参戦する外人レスラーによって、シリーズの人気や注目度が変わるのは当たり前の話だ。
お金を払って会場で観戦するからには、無名の三流レスラーより世界王者を観たいに決まっている。
となると、誰もが観たい外人レスラーは大型レスラーばかりになる。

「日本人対決も最初は面白いけど、毎シリーズやるときっと飽きるよ。やっぱりプロレスは外人ありきになっても仕方がないよ」

日本人対決ならいつでも観れるが、一流外人はたまにしか来日しない。
そのチャンスを逃すまいと、ファンは会場に詰めかける。
やはり日本のマット界は、外人レスラーを頼りにしなければならないのかと、マサル少年は改めて感じていたのだった。


つづく

 2012年5月4日(金)

  『実録・プロレス道 第67話』

スタン・ハンセン&ブルーザー・ブロディ組のブッチギリの優勝と誰もが予想していた、全日本プロレス世界最強タッグ決定リーグ戦。
しかし、そのミラクルパワーコンビを公式戦最後の試合で破り、大会を制したのはザ・ファンクスであった。

「来年テリーは引退するから、ファンクスとしての出場は最後だからね。反則勝ちだったけど、上手くまとまったんじゃないのかな」

反則勝ちでも勝ちは勝ち、優勝は優勝ではあるが、ハンセン&ブロディ組の方が押していたのは間違えないのだ。
勝負が決まる土壇場で、何故暴走するのかがマサル少年には理解出来ない。

「ブロディとハンセンにしてみれば、ただ勝つんじゃなくて、完全に叩き潰したかったんだと思うよ。自分たちの時代をつくるためには、ファンクスは邪魔者なんだよ。"テキサスの化石になれ"って言ってるぐらいだからさ」

年齢も若く、パワーとスピードを比べると、ハンセンとブロディはファンクスの遥かに上を行く。
そんなこれから天下を取ろうとする二人が、引退間近のレスラー相手に姑息な勝ち方など出来る訳がない。
来年の引退ではなく、この試合で、今この場で二人まとめて引退に追い込むつもりでなければ、ファンは元より自分たちが納得できないだろう。

「言ってみれば、全日本の外人頂上決戦だったんだよな。ファンクスは勝つには勝ったけど、トップ外人の座は奪われたよ」

本場アメリカの一流外人レスラーをズラリと揃える全日本プロレスにおいて、外人のトップは全日本プロレスのトップとも言える。
そして今回の世界最強タッグ決定リーグ戦こそが、新旧交代の時と誰もが思ったことだろう。
師と同じくマサル少年の目にも、負けてはいるがハンセンとブロディの時代になったように映った。

「ファンクスは外人だけど日本側だし正統派だからね。やっぱり日本のプロレスファンには、最後までファンクスが一番でいて欲しいのかもよ」

プロレスとは勧善懲悪の世界だ。
元々は、凶器攻撃など悪の限りを尽くす凶悪外人レスラーを日本人レスラーが叩きのめすスタイルが日本のプロレスだ。
しかし今は、ハンセンやブロディのように、凶器は使わずナチュラルな肉体の強さだけを武器にするレスラーに人気が集まる。

「ブッチャーやシンは凶器を使ったり反則することで生きるからな。実際は強いんだろうけど、凶器あっての人気だから今さらやめれないし、そのスタイルも飽きられてるからね」

ファンクスにしても、ブッチャーやシークとの抗争で一気に人気に火が付いたのだ。
その抗争相手の極悪レスラーたちが姿を消していけば、自分たちの居場所も定まらない。
テリー・ファンクの引退とザ・ファンクスの解散は、時代の流れとともに来るべくして来てしまったのかも知れない。

「ブロディとかハンセンみたいに自分の体だけで来られると、ファンクスは正直太刀打ち出来ないよ。マサルの言うように、これからの外人は、悪役って言うより強くて凄い奴の時代になるね」

ハンセンとブロディの出現により、正義対悪という単純な日本プロレス界の構造は壊されてしまったようだ。
日本人だろうが外人だろうが、正義でも悪でも、とにかく強くて凄い奴がトップになるのだ。
ということは、ハンセンとブロディが全日本プロレスを制圧するのも時間の問題だ。
いや、すでに制圧しているのかも知れない。

「あの二人を食い止められるのは、ジャンボしかいないんだけどな」

 

つづく

 2012年4月27日(金)

  『実録・プロレス道 第66話』

新日本プロレス第三回MSGタッグリーグ戦は公式戦の好調そのままに、アントニオ猪木&ハルク・ホーガン組が優勝を決めた。

「猪木組は決勝に出てしまえば、優勝したも同然だよ。しかし、カーンと戸口が上がって来るとは意外だったよ」

優勝決定戦の残り1つの椅子を狙い、終盤に熾烈な争いを見せたリーグ戦。
その中で、勝ち残ったのが、キラー・カーン&タイガー戸口の異色コンビだったのだ。

「公式戦で猪木組を破っただけのことはあるね、そういう意味ではカーン組の2位は順当かもね」

アンドレ組以外の外人チームで優勝を狙えそうだったのは、ディック・マードック&マスクド・スーパースター組だろう。
しかし、こう言ってはなんだが、マードックもスーパースターも人気も実力もイマイチに見え、この組が優勝してもリーグ戦は盛り上がらなかっただろう。

「ハッキリ言ってしまうと、今回参加してる外人組のどこが優勝してもダメなんだよ。アンドレ組の連覇より猪木が優勝しないと新日本は盛り上がらんよ」

確かに、アンドレ組が連覇をすれば凄い記録ではあるが、新日本ファン、猪木ファンにしてみれば"どうした猪木"となるだろう。
昨年負けたのは仕方がないとして、二年連続の醜態はさらせないのだ。

「ホーガンと組んで優勝出来なかったらファンは怒るよ。でもこの先ホーガンは猪木と組み続けるのかな」

外人層の薄い新日本プロレスにおいて、トップ外人のホーガンが日本側についているのは、少しばかりもったいない。

「強い外人を助っ人に迎えるより、闘った方がいいと思うんだけどね。やっぱり新日本は日本人対決が盛り上がるのかな」

今大会の優勝決定戦は猪木組対カーン組。
ホーガンが入っているとはいえ、猪木が日本人組と闘っているのは紛れもない事実だ。
やはり新日本プロレスは、日本人対決を軸にしていくつもりなのだろうか。

「そうなると、ホーガンのポジションがあやふやだよね。ジャイアントにしてもマードックにしても、来日してくる外人レスラーの目的は、打倒・猪木なんだからさ」

新日本プロレスのトップである猪木を倒すために、参戦する外人レスラーたち。
ホーガンにしたって、猪木を倒して頂点に立ちたいはずだ。
それがタッグのトップではあるが、猪木のパートナー、つまりはサポート役では猪木を抜いたことにはならない。
悪く言えば、猪木の引き立て役のために、日本くんだりまで来たことになる。

「それもこれも、ホーガンにパートナーがいないからだよ。猪木は藤波でも坂口でも、その気になれば組む相手はいるけど、ホーガンにはいないからさ、そこが問題なんだよ」

日米トップレスラーのタッグは魅力的だが、ホーガンが力を付ければ付けるほど、猪木との一騎討ちも観たくなる。
完全に敵対しろとは言わないが、タッグを組むのが長くなればなるほど、パートナー同士の対決はボヤけてしまう気がする。

「新日本は外人が少ないから日本人対決で成功したけど、やっぱり強い外人と日本人の試合が見たいよ」

デカくて強い外人を日本人が迎え撃つスタイルが、昔ながらの日本のプロレス。
そして、今でもそのスタイルを崩さない全日本プロレス。
師も注目する世界最強タッグ決定リーグ戦は、意外な形で幕を閉じるのだった。


つづく

 2012年4月20日(金)

  『実録・プロレス道 第65話』

混戦が予想されていた第三回MSGタッグリーグ戦だが、アントニオ猪木とハルク・ホーガンの日米最強コンビがリーグ戦をトップ通過、優勝戦進出をいち早く決めていた。
昨年大会を制した、優勝候補のアンドレ・ザ・ジャイアントとレネ・グレイのコンビは、優勝の望みはなくなっていた。

「さすがにどのチームも研究してきてるね、グレイを狙われたらあのチームはおしまいだよ」

グレイはアンドレの頭脳と呼ばれているが、いちレスラーとしてはお世辞にも一流とは言い難い。
前回優勝チームを潰さんとばかりに、このチーム、特にグレイへのマークがより厳しいように見えた。

「グレイ狙いは当然の策だよ。ジャイアントから獲るのは無理なんだから、巧く分断して、グレイを仕留めれば勝てるんだから」

作戦通りアンドレ組から勝てば儲け、最悪引き分けでも良いのである。
勝ちが読めない相手であれば、点をやらない方法を使えば相手も苦しくなるのがリーグ戦なのだ。

「全勝するにこしたことはないけど、そんなことは無理だよ。みんながみんな勝つ気で闘ってるんだから」

全チームが優勝を目指して、一戦一戦を闘うリーグ戦。
強豪チームになれば、勝ち星を積み重ねるというより失点を抑える闘いが大切に思える。

「負けてしまえば0点なんだから、勝てなければせめて引き分けないと意味がないよ」

特に新日本プロレスのこのリーグ戦の得点形式は、あらゆる引き分けでも得点があり、ピンフォール勝ち5点、リングアウト勝ちや反則勝ちなどは4点となっており、この辺りも得点計算が難しくなる。

「ピンフォールとリングアウトとかの得点の差を付けるのは良いことだよ。最終的にその1点や2点で決まることだってあるからね。でも両者リングアウトでも点がもらえるのは、どうかな」

全日本プロレスのリーグ戦では、時間内のあらゆる引き分けは無得点である。
つまり、勝ちと時間切れ引き分け以外は、どんな引き分けであろうとも負けと同じ扱いなのだ。

「両者リングアウトは言ってしまえば逃げの作戦だからね。優勝のためにあと1点が欲しい時には、どんなに苦しくても全日本の場合は使えないんだよ」

全日本プロレスの世界最強タッグでは、公式戦の得点のみで優勝が決まる。
同点チームが複数あれば優勝決定戦を行うが、新日本プロレスのように公式戦1位と2位による優勝決定戦は採用されていない。

「2ブロック制なら分かるけど、そのルールだと2位までに入ればいい訳だから、また作戦が変わってくるよ」

優勝候補が星を潰しあえば、まさかの大穴が2位に滑り込むこともありうる。
とにかく2位までに入れば優勝決定戦に出場できるのだから、公式戦2位狙いもありだ。

「全日本は流れしだいで、最終日に優勝狙えるチームがいくつもでるのが面白いよね」

公式戦最後の試合で優勝が決まるのか、それとも同点決勝にもつれ込むのか、計算しながら最終日の残り試合をひとつひとつ楽しむのも悪くない。

「下手すると相撲みたいに、最終日を待たずに優勝が決まるおそれがあるけど、あの参加チームなら、まずそれはないよ」

同じような考えだと、メインの勝利チームが必ず優勝とは限らない。
結果によっては、先に試合を終わらせたチームの優勝だって考えられるのだ。

「やっぱりメインで勝って優勝ってならないと盛り上がらないよ。まぁ、その辺りを計算してカードを組んでるんだろうけど」

どちらの団体も今年最後の大一番は、誰もが感動する形で締め括って欲しい。
引き分けやリングアウトではなく、キッチリとピンフォールで優勝を飾って欲しいと願うマサル少年であった。


つづく

 2012年4月13日(金)

  『実録・プロレス道 第64話』

前年度の覇者、アンドレ・ザ・ジャイアントとレネ・グレイのコンビが優勝候補と思える第三回MSGタッグリーグ戦。
今大会アントニオ猪木は藤波辰巳ではなく、ハルク・ホーガンをパートナーに指名した。

「アンドレ組の連覇だけは阻止したいんだろうね。藤波とのコンビだと、また去年の二の舞だとファンに思われるからさ」

今年猪木不在のシリーズを、新日本側の助っ人として活躍したホーガン。
日本陣営に加わったことから、猪木との日米最強コンビが実現した。

「最近藤波もいい感じになってきたのに、パートナーが坂口だと優勝は厳しいね。それに猪木とホーガンのコンビは穴がないよ」

長州との抗争の勢いのまま、タッグリーグ戦も優勝を狙いたいはずの藤波。
しかも猪木とのコンビは解消され、坂口とでは大巨人組に勝てそうもない。
たとえ勝ったとしても、昨年の復讐というイメージには程遠い。

「新日本は猪木ありきだから、藤波が活躍してもファンは満足しないよ。今年欠場が多かった猪木が年末を締め括れば、新日本的には問題ないんだよ」

師の言うように最後に笑うのは猪木でも構わない。
しかし今大会はタッグマッチの祭典なのだから、パートナーにも光は当たる。
猪木の恩恵を受け、ともに栄誉を掴むのがなぜ藤波ではなくホーガンなのだろうか。
どうしてジャイアント馬場のように、愛弟子ジャンボ鶴田を自身の後継者として売り出さないのか。

「藤波とは自分との格の差をまだつけていたいのかもね。ホーガンはハンセンに代わるエース外人にしたいんだよ」

体力の限界にはまだまだ時間はあると思うが、全盛期とは言い難い猪木。
外人層の充実も大事だが、猪木も新日本プロレスも後継者問題を軽視しているのではないか。

「馬場と猪木は性格が違うからさ、試合のスタイルも団体経営も。となると選手の育て方も当然違ってくるんだよ」

本場アメリカを意識した全日本プロレスに対し、最強、ストロング・スタイルを謳う新日本プロレス。
どちらが正解でどちらが面白いとはハッキリ言えないが、どちらもプロレスとして成り立っていることに間違いはない。

「馬場と猪木のスタイルの違いは、新人の時の扱いの違いから来てるんじゃないのかな。いきなりスター候補の馬場と努力と猛練習で下から這い上がって来た猪木との差だよ」

恵まれた体格と早くからのアメリカ遠征で作り上げた、馬場のダイナミックなプロレス。
同期入門の若きスター馬場に追い付き追い越せとばかりに努力を重ね、トップクラスに食い込んだ猪木。
自分たちが受けたように、弟子たちの育て方が違うのも頷ける。

「ジャンボは体もデカいしアマレスの下地もあるから馬場流のエリート教育で正解だよ。藤波は小さい体でここまで来た根性を考えると、厳しい方がいいのかな」

とはいえ、まかりなりにも藤波は新日本プロレス唯一のヘビー級チャンピオンなのだ。
その藤波がチャンスを与えられず、猪木の引き立て役になっても良いのか。

「猪木のファンにしたって、外人と優勝するよりは日本人と組んで優勝した方が嬉しいはずだよ。それも後継者の藤波なら文句はないと思うんだけどね」

藤波本人も本音を言えば、猪木とのコンビで出場し優勝したかったはずだ。
タッグリーグ戦優勝の勲章を胸にライバル長州力と決着をつけた後、師匠猪木越えという青写真を描いていたことだろう。
しかし、周りや本人が考えるほど上手くいかないのがプロレス界である。
マサル少年は、このままでは藤波が新日本プロレスのエースには、なれないような気がして仕方がなかった。


つづく

 2012年4月6日(金)

  『実録・プロレス道 第63話』

マサル少年の心配をよそに、スタン・ハンセンとブルーザー・ブロディのミラクルパワーコンビは、順調に勝ち星を積み重ねていた。

「チームワークがどうだこうだって言われたけど、やっぱりモノが違うよ。あの二人はズバ抜けてるよ」

負けじと三強と呼ばれる他の二組、馬場・鶴田組とザ・ファンクスも失点を抑え優勝を狙える位置をキープしている。

「しかし、スヌーカの不参加は残念だったな。優勝は無理かも知れないけど、レイスとのコンビなら何かしらやってくれると思ったんだけどね」

主戦場にしているニューヨーク・WWFの契約の関係上、リーグ戦参加が不可能になったジミー・スヌーカ。
スヌーカ不参加により、ハーリー・レイスのパートナーは急遽ディック・スレーターになってしまった。

「レイスも強いし、スレーターだっていいレスラーなんだけど、他のチームとの因縁とかを考えると、この二人じゃ面白さがないよ」

仲間割れしたブロディとの決着、ファンクスとの遺恨、ハンセンに対してどう攻め込むのか、スヌーカに懸ける期待は大きかった。
しかも、ミスター・プロレスの異名を持つレイスとタッグを組むのだから、最強タッグ優勝は大袈裟かも知れないが、大物食いをする台風の目になることだけは間違いなかった。

「レイスは日本ではシングルばかりだから、これっていうパートナーがいないのが可哀想だよ」

レイスだけではなく、ブロディにしてもハンセンにしても最強タッグ以外では正式なパートナーは決まっておらず、シリーズに参加している他のレスラーと組まされるケースがタイトルマッチでもよく見られた。

「だからインタータッグが馬場・鶴田からなかなか移動しないんだよ。ブロディとハンセンが組むのも最強タッグぐらいだろうから、レイスも大物と組ませないと大会自体がつまんなくなるよ」

確かに、三強より四強、四強より五強、欲を言えば参加チーム全部が優勝候補の方が面白いに決まっている。
なにより参加発表の段階で、優勝不可能と思わせるチームの参加はいかがなものだろうか。

「それは言えるね。仮にも世界最強を争うんだから、リーグ戦をブッ壊すとか全試合両軍無得点狙いみたいなのはやめて欲しいよ」

今大会においては、上田馬之助・スーパー・デストロイヤー組が該当する。
悪役枠は必要なのかもしれないが、このチームはインパクトに欠けるどころか大物食いの期待すら起きないチームだ。

「上田もせめてシンとの出場なら良かったんだけど、今回は単なる頭数みたいだよ。いなくなったけど、ブッチャーが出てれば優勝候補なんだけどね」

黒い呪術師・アブドーラ・ザ・ブッチャーやインドの狂虎・タイガー・ジェット・シンのような、実力を兼ね備えた超一流の悪役ならば、リーグ戦を掻き回した上優勝も狙える。
ブッチャーは新日本プロレスに移籍しまったので参加は不可能だが、シンには去年同様上田とのコンビで出場して欲しかった。

「シンと上田は何だかんだ言っても、そこそこやるから残念だよね。それよりブッチャーは今年も新日本のタッグリーグ戦に出てないのが気になるよ」

今や日本人対決主流の新日本プロレスにおいて、完全に居場所を失ってしまったブッチャー。
ブッチャーは移籍後二年連続で不参加だが、MSGタッグリーグ戦は世界最強タッグに負けない盛り上がりを期待出来そうであった。


つづく

 

 

 

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