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 2012年3月30日(金)

  『実録・プロレス道 第62話』

全日本プロレスが誇る年末最大の大会、世界最強タッグ決定リーグ戦が間もなく開幕する。
春に開催されるシングルマッチのリーグ戦チャンピオン・カーニバルも面白いのだが、マサル少年はタッグのリーグ戦が好みだった。

「シングルよりタッグが好きなんて珍しいよ。マサルぐらいの年齢だと、一騎討ちが好きだと思ったよ」

シングルマッチが嫌いな訳ではない、一対一の対決は闘いの原点だと思うし、誰にも頼らず自分自身の力だけで勝負するところなんかは見ていて痺れる。

「シングルは実力が近い者同士じゃないと面白くないからな。エースと若手の試合なんて考えられないしね」

チャンピオンクラスの選手と昨日今日デビューした選手の試合は、内容も結果も簡単に予想がついてしまう。
プロレスだけでなく他のスポーツでも言えることだが、どちらが勝つかわからない、最後まで目が離せない試合ほど観る側を熱く興奮させる。

「タッグは組み合わせ次第で展開は読めないし、とんでもない終わり方になる可能性があるからね。頑張り次第では、抜き出る若手だっているからね」

シングルマッチでは、試合の組み立てからスタミナ配分など全て自分で考え闘わなくてはならない。
セコンドはついているものの、最終的に頼れるのは自分自身になってしまう。

「あのリングの中で一人で闘うのは、体力だけじゃなく、かなりの精神力が必要だよ。気持ちの弱い人間なら力を出しきれずに終わることだってあるよ」

それに比べタッグマッチはパートナーという心強い味方が控えてくれる。
ピンチの時には救出に駆けつけ、場合によっては二人がかりの攻撃もタッグマッチならではだ。

「キャリアや実力が劣ってる選手でも、チームリーダーがしっかりしてれば、いくらでも勝つチャンスはあるからね。メインエベンターと中堅のコンビでも、タッグならばチャンピオンになれるもんなんだよ」

二人が二人ともトップレベルの選手でなくとも、力を合わせ助け合うことがタッグマッチにおける勝利の方程式。
バレーボールでいうならば、トスを上げるセッターとスパイクを打つアタッカーのように、キチンと役割を守りこなせるのが名タッグチームと呼ばれるのだ。

「そうなんだよ、二人ともスパイクを打ちたがってちゃ点は入らないからね。つまりはフォールを取る者とフォローに廻る者がハッキリしてないとダメってことなんだよ」

そう考えると馬場と鶴田の師弟コンビやザ・ファンクスの兄弟コンビが理想的だ。
今大会優勝候補といわれる、ブロディとハンセンのミラクルパワーコンビは名タッグチームとは言えないのかも知れない。

「馬場組とファンクス以外のチームなら、ブロディかハンセンどっか一人でも勝てそうだけど、あの二組は簡単にはいかないよ。いろんな因縁も絡み合ってるしね。レイスとスヌーカも要注意だな」

1+1が2にも3にも、いやいや10や100にまでもなるタッグマッチ。
ハンセンファンのマサル少年は、スタン・ハンセンの最強タッグ初出場初優勝という快挙を期待しながらも、ベスト・パートナーであるはずのブルーザー・ブロディに一抹の不安を感じているのであった。


つづく

 2012年3月23日(金)

  『実録・プロレス道 第61話』

新日本プロレスも全日本プロレスも、今年はタッグリーグ戦を残すのみとなった。
両団体での激しい引き抜き合戦の煽りで、外人チームの大幅な変更が予想され、優勝争いも例年になく難しくなっていた。

「メンバーを見ても全日本の最強タッグの方が面白いよ。ブロディがスヌーカと組み直すと思ったけど、やっぱりブロディはハンセンとエントリーしたね」

今年4月に仲間割れしたブルーザー・ブロディとジミー・スヌーカ。
前シリーズでの一騎討ちは、ジャンボ鶴田の乱入無効試合という結果に終わり、遺恨清算どころか消化不良の後味の悪い試合だった。

「あの試合をきっかけにタッグ再結成を期待したんだけど、上手くいかないね。しかし、ジャンボの乱入は意味が分からないよ、エースになる男があんなことしちゃマズいよ」

前シリーズ、ブロディの持つインターナショナル・ヘビー級王座に挑戦したが、ベルト奪取に失敗した鶴田。
あの乱入は、インターナショナル王座再挑戦の鶴田なりのアピールなのか。
鶴田は試合をぶち壊してまでもアピールする必要はあったのだろうか。

「ジャンボも悔しいのは分かるけど、試合で結果を出さなきゃね。それよりもスヌーカは最強タッグに本当に出るのかな」

ブロディとの仲間割れ以来、ニューヨーク・WWFを主戦場にしていたスヌーカだが、最強タッグにはハーリー・レイスとのチームで参加を発表していた。

「スヌーカもレイスも好きだけど、何かしっくりこないよ。スヌーカはブロディと組まないと持ち味がでないよね、ブロディにも言えることだけど」

昨年の優勝チームが仲間割れにより、それぞれ新チームで最強タッグに出場することになった。
ブロディとハンセンのタッグは、ハンセンの全日本プロレス移籍により実現したドリーム・タッグ。
馬場と鶴田のインターナショナル・タッグにも挑戦経験もあり、当然優勝候補の筆頭である。

「あと優勝狙えるのは、馬場、鶴田組とファンクスかな。レイスとスヌーカは実力的にはいいんだけど、3チームに比べると優勝は難しいよ」

今年の最強タッグは、ブロディ・ハンセン組、馬場・鶴田組、ザ・ファンクスの三つ巴の闘いになりそうだ。
しかもこの6人は、インターナショナ王座やPWF王座などを争い、複雑に絡み合った者ばかりだ。
それに加え、テリー・ファンクが来年引退をするため、ザ・ファンクスの出場は今年が最後になってしまうのだ。

「ファンクスも最後だから、なんとしても優勝して欲しいよ。ブロディは好きだけど、テリーに去年の借りを返してもらいたいね」

昨年乱入したハンセンにより、あと一歩のところで優勝を逃したザ・ファンクス。
そのハンセンが今年は堂々と参戦してきたのだから、恨みを晴らす絶好の舞台と言えよう。
だが、あの強力なミラクルパワーコンビに引退間近のテリーは太刀打ちできるのか。

「大物同士のタッグは、チームワークに問題があると思うよ。お互い押す引くを理解し合えば噛み合うけど、二人して暴走したら終わりだよ」

なるほど、その点ファンクスは兄弟タッグ、チームワークならばどのチームよりもすぐれている。

「連携やツープラトンがタッグではものをいうからね。その辺りはファンクスが一番じゃないかな」

他のスポーツにはない、プロレスでしか楽しむことが出来ないタッグマッチ。
タッグのスペシャリスト、ザ・ファンクスは優勝できるのか。
それとも、昨年以上の波乱が巻き起こるのか。
マサル少年の頭の中は、最強タッグの星取り表が浮かびっぱなしだった。


つづく

 2012年3月16日(金)

  『実録・プロレス道 第60話』

ハーリー・レイスに虎の子のPWF王座を奪われ、リターンマッチでもベルト奪回に失敗したジャイアント馬場。
今までの馬場ならばなんとしてでもベルトを獲り返し、海外流出だけは防いでいただけに、馬場時代終焉と囁かれても致し方ない。

「馬場が衰えたとは認めたくないけど、全日本のメインはジャンボに譲る時期が来たのかなぁ」

今でも馬場最強を信じて疑わない師だが、マサル少年は鶴田の方が明らかに強くなっていると感じていた。

「そりゃジャンボの方が若いし、パワーもスピードも馬場より上だよ。だけど、プロレスは喧嘩じゃないんだからさ、馬場はそう簡単には負けないよ」

しかしプロレスは格闘技だ、倒すか倒されるか、殺るか殺られるかの世界。
そんなルールある喧嘩とも言われているのだから、どう考えても鶴田の方が強いはずだ。

「マサルの気持ちも分かるけど、俺はプロレスをスポーツとして見たいんだよ。試合運びや駆け引き、スタミナの配分だって難しいよ。そう考えると馬場の方が上だよ」

師のように、プロレスを純粋にスポーツとして見ることは賛成だ。
ただ、スポーツであるならば、勝敗ぐらいはハッキリしてもらいたい。
そうでなければ、誰が一番強いのか分からないままである。

「プロレスを見る上で誰が最強なのかは、やっぱり気になるよ。そのためにベルトがあるんだけど、最近は不透明決着ばかりだからな」

プロレスでは、ベルトを巻くチャンピオンこそ最強なのは分かる。
しかし、全日本プロレス内で馬場と鶴田はベルトを懸けての対決はない。
チャンピオン・カーニバルでは対戦しているが、ここ最近は時間切れ引き分けが続いている。
ひねくれた考えではあるが、鶴田は馬場に勝ってもいないが負けてもない、鶴田の方が強いと言われても仕方がない。
いっそのこと、完全決着ルールでどちらが強いのか決めて欲しい。

「何もそう焦ることはないよ。馬場も限界を感じたら身を引くだろうし、ジャンボがインター王者になれば誰もが馬場を抜いたって認めるよ」

ベルトを通して間接的に実力差を示すよりも、しつこいようだが一騎討ちでケリを着けた方が分かりやすい。
馬場は愛弟子に負けることを怖がっているのだろうか。

「怖がってるっていうか、馬場はジャンボのことを同じレベルで見てないよ。自分が育てたレスラーだから、子供みたいなもんなんだよ。それに、馬場は同門対決をよしとしてないから」

力道山の日本プロレスから続く、日本人対外国人のスタイルを守り続ける馬場・全日本プロレス。
しかし、今は新日本プロレスのような日本人対決が人気を呼んでいるのは事実である。
全日本プロレスでも日本人対決を中心にすれば、盛り上がると思うのだが。

「日本人対決は言ってしまえば身内のゴタゴタみたいで、狭い争いなんだよ。馬場のプロレスは世界に目を向けてるからさ、理想はNWAやAWAなんだよ」

なるほど、直接対決で勝った負けたと言うよりも、世界最高峰のベルトを巻くことこそがプロレス界で天下を獲ること、つまりは最強を意味することなのか。

「馬場は若い時にアメリカで、NWAの華やかさや権威を知った訳だから世界王座に拘るのも分かるし、実際プロレスとはそういうものなんだよ」

日本国内での争いなど、馬場には眼中にないのだ。
もっともっとスケールの大きい世界的な闘いこそ、ジャイアント馬場のプロレスなのだ。
そんな懐の大きい全世界に通用する日本人プロレスラーは、ジャンボ鶴田以外に考えられないのであった。


つづく

 2012年3月9日(金)

  『実録・プロレス道 第59話』

自身の代名詞UNヘビー級王座奪還に成功したジャンボ鶴田。
誰もが、UN王座返上、インターナショナル・ヘビー級王座挑戦表明を期待していたが、何のアクションもない。

「ベルトを獲られたレイスに勝って、借りは返したんだから、すぐにでもインターに行くと思ったんだけどね。タイミング的には今なんだけどなぁ」

次のシリーズは、年末恒例の世界最強タッグ決定リーグ戦のため、タイトルマッチは組まれることはまずない。
だからこそ、UN王座返上を来年に延ばしたのだろうか。

「もしかすると、ブロディに挑戦するギリギリまで持たせるのかな、丸腰じゃカッコつかないから」

今までは、No.2的存在であったUNヘビー級王座だが、鶴田の実力や実績を考えると、そうは思えなくなってきた。
PWF、UN、インターナショナルと全日本プロレスには、三本のヘビー級ベルトが存在する全日本プロレス。
この三本のランクはどうなっているのだろうか。

「伝統のあるインターはやっぱりエースが巻くものなんだよ、ジャンボにはインターを巻いて欲しいな」

力道山から始まり馬場も巻いた、日本マット界エースの象徴インターナショナル・ヘビー級王座。
師も鶴田こそ日本マット界のエースに相応しいと思っているようだ。

「馬場を抜くことは無理かも知れないけど、馬場の代わりはジャンボしかいないでしょ」

インターナショナル・ヘビー級王座が復活してから、鶴田はおろか日本人王者は現れていない。
現王者ブルーザー・ブロディとドリー・ファンクJr.の間を行き来しているだけなのだ。
鶴田はライバルであるブロディの防衛を指をくわえて黙って見ているだけで良いのか。

「ジャンボはNWAやAWAの世界王座に一番近いって言われてるけど、実際獲れてないんだから、まずインター王者になることを考えないと」

確かに、世界王座の方が魅力的だが、勝ってベルトを巻かなければ意味はない。
そんな絵に書いた餅よりも、インターナショナル王者となり日本マット界の代表として、世界王座に挑戦しても遅くはない。

「ただでさえ、新日本の藤波のインターが注目されてるんだから、本家のインターこそ日本人が巻かないと、ベルトの権威も全日本の格も下がっちゃうよ」

インターナショナル王者になるということは、ブロディを倒さなくてはならない。
全日本プロレスマットで猛威を奮う超獣を倒してこそ、名実ともに日本マット界のエースを名乗れるのだ。

「ブロディとハンセンを倒せば、間違えなくジャンボがエースだよ。全日本とか新日本とかじゃなくて、日本のトップだよ」

師の言う通り、これからの日本マット界のトップは鶴田以外にはいない。
しかし、鶴田は本当にインターナショナル王者になれるのだろうか、全日本プロレスは、馬場は、鶴田をインターナショナル王者にする気があるのだろうか。

「そういえば、馬場がレイスにPWF獲られちゃったね。そろそろ全日本もジャンボに任せる時が来たんじゃないかな」

日本の至宝インターナショナル王座と看板タイトルPWFが外人レスラーのものとなっている全日本プロレス。
この最悪な状態で頼りになるのは、ジャンボ鶴田を置いて他にないと思うマサル少年だった。


つづく

 2012年3月2日(金)

  『実録・プロレス道 第58話』

プロレスは、とてつもなく過酷なスポーツである。
100キロを超える大男同士が、殴り合い、蹴り合い、投げ合うのだから、格闘技の中でも特にハードな部類に入るだろう。
そんな常人では真似出来ない闘いなのに、アントニオ猪木は、はぐれ国際軍団相手に1対3の変則マッチに挑んでみせた。

「下馬評では猪木の完勝って言ってたけど、上手くいかないもんだねプロレスは」

猪木の完勝、楽勝と言ってたのは、相手を甘く見ているというより、猪木ならやってくれる、猪木なら何が何でも勝ってくれるだろうという願望だったのだ。

「国際の3人だってプロレスラーなんだから、そうそう簡単には負けないよ」

確かに、はぐれ国際軍団の一人一人を見ると、猪木よりランクは下かも知れないが、プロのレスラー素人ではないのだ。
彼らにだって意地やプライドはある、猪木1人に3人がかりというだけで屈辱的なのに、負けてしまえば荷物をまとめて田舎に帰るしかない。

「ルール的にキツかったのかな、お互い一本取れば勝ちだったら猪木の勝ちだったんだろうけど、それじゃ面白くないし、何より猪木自身が納得しないよ」

シングルマッチを3試合なのか、1対3のハンディキャップマッチなのか、試合開始直前まで対戦形式やルールは揉めに揉めた。

「猪木が3人まとめて、かかって来いって言ったとこから始まったんだから、シングル3試合だと、また意味合いが違ってくるよね。国際側もそれを言ってんでしょ」

猪木も自分の吐いた言葉に責任を取ったのだろう。
というより、誰が考えてもシングル3試合より1対3の変則マッチの方が、話題性もあり盛り上がる。
猪木だって、そう思っているに違いない。
しかも、国際側は猪木から一本取れば勝ち、猪木は3人から勝利を奪わなければならないのだ。

「絶対に反則を許さない小鉄の動きも凄かったし、サブレフェリーを2人もつけたんだから、猪木は言い訳出来ないよ」

はぐれ国際軍団の反則、場外戦、乱入などを警戒してメインに1人、サブに2人のレフェリーを配置し、完全決着、猪木の勝利を期待した新日本プロレスだが、結果は裏目に出てしまった。

「正々堂々と闘えば猪木が勝つと誰もが思うよ。でも、場外戦やギリギリの反則を利用してでも勝つのが猪木なんだよ。猪木を助けるルールが更に相手を有利にしたよ」

本当に勝ちを狙うのであれば、ルールギリギリの反則や場外戦も作戦の内。
3人のレフェリーにより、逆に逃げ場をなくしてしまった猪木は、ロープに宙吊りのままエプロンカウントアウトという不様ま負け方をしてしまった。

「最後に木村を残したのが失敗だったな。やっぱり一番強い奴から倒さないと、スタミナがもたないよ」

多勢に無勢という、ただでさえ不利な闘いであるのに、敵軍の大将を残したのが敗因である。

「次があるかは分からないけど、もしやるなら猪木も戦法を考えないと。正々堂々と負けるより、言い方は悪いけど、どんな手使っても勝たないとね。猪木が勝たなきゃ新日本は盛り上がらないからさ」

新日本プロレスの今年はタッグリーグ戦を残すのみ、猪木はこの敗戦をリーグ戦優勝という形で汚名返上できるのか。

「タッグだと、全日本の最強タッグも気になるよ。それに鶴田もUNを獲り戻したことだし」

ジャンボ鶴田のUN王座返り咲きを聞き、いよいよインターナショナル王座獲りに本腰を入れたなと感じるマサル少年だった。


つづく

 2012年2月24日(金)

  『実録・プロレス道 第57話』

藤波辰巳もタイガーマスク同様、反則勝ちによるタイトル防衛に終わったが、なかなか内容の濃い試合に会場のファンは熱狂した。
次はどうなる、次こそは完全決着かと思わせる熱い闘いだった。

「タイガーは問題ないよね、藤波はやっとライバルを見つけたよ。猪木や坂口が相手じゃ、ああ上手くはいかないよ」

ヘビー級に転向してからライバル不在、力不足と批判され続けた藤波に、お互いを光らす最高のライバルが現れたのだ。

「攻め一方の長州は不器用だけど、藤波があそこまで受けるんだから、いい試合になるはずだよ」

これでもかと言わんばかりに攻め続ける長州に対して、全て受けきってみせる藤波のファイトスタイルが噛み合ってたのだろう。
でなければ、不透明決着に終わってもファンは納得しないはずだ。

「ただ反則裁定でもいいんだけど、あのフェンスアウトはやめて欲しいね。フェンスの外に出したら負けっていうのも、よく分からんよ」

観客の安全を守るための場外フェンスなのだが、最近では、勝敗を決めるための道具になってしまっているのは事実だ。
まだ、場外で殴り合い続けての両者リングアウトなら話は分かるのだが。

「まあ、いい試合だったけど、二人とも力を残したまま終わったのが残念だったよ。まだまだ、やれたはずだよ、藤波も長州も」

いくら試合中白熱した攻防が続いたとしても、お互いダメージが少ないまま終わってしまったのでは、例えピンフォールで決着がついたとしても物足りない。

「せっかくいい内容で進んでたんだから、長州も反則負けなら場外で徹底的に痛めつけなきゃ。それができないなら、リング上で決めるべきだよ」

確かに、試合内容の割には結果があっさりしすぎていた。
もし、場外リングアウトであるならば、カウント20を数える間にリングに戻るか戻れないのか分からない楽しみ方もある。

「リングに戻るギリギリまで相手を引き付けたり、また場外に引きずり込まれたり、20カウント内の駆け引きというかエプロン際での攻防も作戦だからね」

それに比べると、フェンスアウトは出した段階で即試合終了なのだから、駆け引きもへったくれもない。
ただでさえファンは完全決着のピンフォールを望んでいるのだから、それが出来ないのであれば、最後の最後まで興奮していたいだろう。

「そもそもリングアウトとか反則で終わらせるやり方って、勝ち目がない時に使う手で、それなりに考えないと出来ない戦法なんだよ。フェンスアウトは楽してるように見えるよ」

完全決着でなければ、時間切れや両者ノックダウンによる引き分けもあるが、フルタイム闘い続けることや、お互い立てなくなるまで力を出し切ることは、並みレスラーでは到底出来まい。
フェンスアウトは、闘いから逃げているようにも見える。
極端に言ってしまえば、わざとフェンスの外に出れば勝てるのだから、フェンスアウトのルール自体の見直しが必要に思える。

「フェンスアウトって新日本だけでしょ?だったら、やめるのが一番だよ、ファンのためにもレスラーのためにも。本当の名勝負は内容も結果も納得できるものでなきゃね」

プロレスファンである以上、常に名勝負を求めることは当然である。
そして、はぐれ国際軍団を相手に1対3という闘いに挑んだアントニオ猪木は、この絶対不利な状態で、名勝負を生み出すことが出来るのだろうか。


つづく

 2012年2月17日(金)

  『実録・プロレス道 第56話』

ずらりと好カードが並んだ、新日本プロレスの11.4蔵前国技館大会。
中でもマサル少年は、タイガーマスクと小林邦昭の再戦に期待していた。

「あのカードのなかでは、俺もタイガーの試合が面白いと思うよ。猪木も藤波もまだまだ引っ張りそうで、先が読めるよ。」

さすがの師でも、今回ばかりはタイガーか小林どちらが勝つか予測できなさそうだ。
大胆不敵な発言を繰り返す小林が新王者になるのか、前回防戦一方で覆面まで破かれたタイガーマスクが、復讐の虎に生まれ変わるのか。

「お互いに、ある意味前回の対戦で手の内は読めたはずだから、今回は探るような闘いはしないと思うよ、序盤から全力で飛ばすよ、きっと」

野性に目覚めたタイガーとメキシコで開発した必殺技フィッシャーマンズ・スープレックスを温存している小林が、力と技を出し切る好勝負が期待出来そうだ。

「初対決だったから、ああいう結果になっても仕方ないけど、過去の例から見ても今度はキッチリ決めるはずだよ。」

あの難敵、強敵と言われた、ダイナマイト・キッドもブラック・タイガーもタイガーマスクはピンフォールで決着をつけているのだから、いくら小林が実力者といえども、このあたりで完全決着のピンフォール勝ちを決めてもらわなければ王者失格だ。

「マサル…俺はタイガーが勝つとは言ってないよ。小林にだって十分チャンスはあるよ、いや小林が有利なのは変わらないよ」

正体バラしや覆面破りによる精神的揺さぶりが、小林を有利にしていることは事実かも知れない。  
しかし、タイガーマスクもバカではあるまい、同じ作戦に引っ掛かる訳がない。

「小林は有利なだけで、タイガーが負けるとも言ってないよ。ただタイガーもいつも通りのファイトなら危ないってことだよ」

いつも通りのファイトであれば、前回と同じく防戦一方になるだろう。
しかも小林は今回は勝ちに来るだろうから、試合を有利に動かしている挑戦者に分があるということか。

「タイガーも守りに入ったらダメだし、小林も焦って暴走してもダメだしね。とにかく、どっちが勝つかわからない楽しみなカードだよ」

そんな師も注目する、タイガーマスクと小林邦昭の第二ラウンドは、なんと前回と同じ覆面破りによる小林の反則負けに終わった。
師の予想した完全決着ではなかったが、内容の濃い素晴らしい試合であったと、マサル少年は満足だった。

「タイガーはラフっていうか喧嘩に強いね。ベルトを巻いたままゴング前に奇襲攻撃したり、とにかく小林憎しの感情がストレートに出てたよ」

決して受けに廻らず積極果敢に攻め続けたり、試合後破れたマスクのまま尚も向かって来るタイガーマスクに、小林も戸惑ったに違いない。
このままなら、次の対戦でのタイガーマスクのピンフォール勝ちは間違えないだろう。
今までの作戦は通用しない小林に新たな策はあるのか。
またしても、覆面破りの反則負けならばファンは引いてしまう。

「勝敗をハッキリして欲しい気持ちはあるよ。でもプロレスは闘いだからこそ、毎回そんな訳にはいかないよ。勝ち負けを超えたところに何かがあるんだ!それを見つけるのも、プロレスの楽しみ方だよ」

あそこまで、感情剥き出しのファイトをしてくれれば完全決着でなくても納得出来るということか。

「それよりも、猪木と国際はどうなるんだろう」

つづく

 2012年2月10日(金)

  『実録・プロレス道 第55話』

“奴は俺の前では虎ではなく猫同然”
勝つのは俺だと、言わんばかりの小林邦昭の発言である。
自信に満ち溢れた小林の手により、タイガーマスクの無敗神話は崩されてしまうのか。
そんな期待の高まる大阪での一騎討ちは、小林がタイガーマスクの覆面を引き裂く暴走のすえ反則負け、タイガーマスクの王座防衛に終わった。
決してタイガーマスクが負けることを望んでいた訳ではないが、何だかんだ言っても勝つことの出来なかった小林に、マサル少年はガッカリしていた。

「いや、小林はあれで目的は果たせたよ。そりゃあ勝つに越したことないけど、タイガーの実力が小林の考えてた以上のものだったんだよ、きっと」

ならば、時間切れか両者リングアウトの引き分けに持ち込めばいいのではないか。
覆面を破るなんて卑怯すぎる、小林の実力ならば、十分良い試合ができたはずだ。

「良い試合じゃダメなんだよ。完全に叩き潰すんなら分かるけど、それが無理なら何かしら強烈な印象を残さないと、小林自身が終わってしまうんだよ」

確かに、一度も覆面に手を掛けられたことのないタイガーマスクの覆面を破るなんて暴挙だ。
それだけに、タイガーマスクもファンも小林に対する憎しみが増すだろう。

「そこが小林の作戦なんだよ。相手は国民的ヒーローなんだから、自分は嫌でも悪役になるだろ。どうせ悪役なるなら、徹底的に憎まれた方がやりやすいんだよ」

小林があれだけの自信を見せながら結果的に勝てなかったのは、タイガーマスクを甘く見てたとしか思えない。
数々の激闘を重ねてパワーアップした王者タイガーマスクは、小林の知っている佐山ではなく本物の虎になったのだ。
だとすれば、次回までに戦法を立て直すつもりで、あの結果になったに違いない。

「次も小林が有利だな、マスクを破かれたショックはかなりのもんだよ。正体の件といい、マスク剥ぎといい、小林の方が上手だな」

今回、小林が優勢に試合をしていたのは事実だ。
しかし、言葉での揺さぶりや覆面破りがあったとしても、タイガーマスクが勝てない相手ではないように見えた。

「マスクマンにとってマスクは命だよ。そのマスクを破られたってことは、一番の屈辱なんだよ。それに次も破られるかも知れないと警戒するよ。マスクにばかり気がいっては、肝心のプロレスが疎かになってしまうよ」

なるほど、相手の弱点を攻めることが勝負の世界の常套手段。
タイガーマスクにこれといった弱点がないと知った小林は、正体バラしを匂わせたり覆面を破いたりと精神的な弱点を作り上げたのか。

「小林だってやるからには勝ちたいだろうし、ベルトだって巻きたいはずさ。現に大阪でのタイガーは、試合に勝って勝負に負けた感じだよ」

ふたりのライバル関係は、まだまだ続くことだろう。なにも一発で決める必要などないのだ。
次への布石を打っておくことだって立派な作戦である。

「小林にしても、あんな形で逃げたと思われるのも嫌だろうし、覆面破りという恐怖心をタイガーマスクに植え付けたのも事実だから、次こそが本当の決着戦だよ」

両者の次の対戦は、11.4蔵前国技館決戦と発表された。
他には、藤波辰巳対長州力のWWFインターナショナル選手権、アントニオ猪木対はぐれ国際軍団による、1対3のハンディキャップマッチが並ぶ。
人気低迷どころか、完全に注目度では全日本プロレスを追い抜いた新日本プロレス。
マサル少年の心も、今や新日本プロレスに傾いていたのである。


つづく

 2012年2月3日(金)

  『実録・プロレス道 第54話』

"無敗の黄金の虎″タイガーマスクに、最大のピンチとなる強敵が現れた。
長州力とともに、約二年のメキシコ武者修行を終え帰国した小林邦昭である。
小林は、広島大会でのタイガーマスクの試合前に乱入、大阪大会でのタイトルマッチを強引に掴み取ったのだった。

「今まで外人とばかりあたっていたから、日本人のラフでダーティーな小林みたいなタイプはやりにくいだろうな」

過去にタイトルを争ったライバルたちは外人ばかり、日本人レスラーは、正統派ルチャ戦士グラン浜田ただ一人だ。
しかし、ダイナマイト・キッドやブラック・タイガーなどラフを得意とするレスラーも撃破しているのだから、小林も問題ないのではないか。

「小林はタイガーの正体を知ってるって言ったんだよ。佐山と言ってないけど、メキシコで一緒だったともね」

タイガーマスクがデビューした時に、正体は佐山サトルだと師は言っていた。
仮に佐山だとすれば、新日本プロレスで佐山は小林の三年後輩にあたる。
後輩だから先輩に勝てないとは思えないし、正体がバレていようがいまいが、今のタイガーマスクに負ける要素は無さそうに見えるのは自分だけなのか。

「小林の実力はまだよく分からないけど、対戦前から揺さぶりをかけてきたりするなんて、なかなかクレバーだよ」

しかし、タイガーマスクもハッキリと正体をバラされた訳ではない。
あれぐらいの揺さぶりには動揺しないだろう。

「正体を知ってるってことは、手の内を知ってるってことなんだよ。だから小林は、タイガーの攻撃を全て読める訳だよ」

攻撃を全て読まれては、タイガーマスクは動きを封じられてしまう、それでは小林は勝ったも同然ではないか。
いや待てよ、タイガーマスクが佐山であれば、同じ釜の飯を食った仲の小林の手の内も読めるのではないだろうか。

「マサルの言うことも一理あるよ。だけど今の小林は佐山の知ってる小林邦昭じゃないんだよ。仲の良い先輩の小林邦昭じゃないんだよ」

メキシコで小林に何があったのか分からないが、ファイトスタイルも性格も変わってしまい、以前の小林ではないというのか。
それとも、三年のキャリアは、そう簡単に埋めることが出来ないのだろうか。

「長州と同じさ。キャリアも体格も実力も近いのに、かたやスーパースター、かたや地味な中堅では面白くはないよ。ここで黙ってたら男じゃないよ」

人気絶頂タイガーマスクの華やかな姿を目の当たりにし、小林もまた、思い悩んだに違いない。
レスラーとして、闘う男として、絶対に勝たなくてはならない、負けることの許されない相手に出会ってしまったのだから。

「正体を知ってるって言ってたのも、佐山だから負けられない、負けたくないってことだよ。自分に言い聞かせたんだね」

"噛ませ犬発言″により長州ばかり注目されていたが、小林からも目が離せなくなってきた。
長州と藤波、小林とタイガー、同じシリーズで似たような抗争が起きるのは珍しいケースだが、日本人同士の因縁の対決は新日本プロレスのお家芸だ、失敗はしないだろう。

「引き抜き合戦に敗れはしたが、こうも早く巻き返してくるとは、さすが猪木、さすが新日本プロレスだね」

師の言うとおり、新日本プロレスも、まだまだ捨てたもんじゃないと感心するマサル少年だった。


つづく

 2012年1月27日(金)

  『実録・プロレス道 第53話』

一匹狼となった長州力は、遂に標的である藤波辰巳との一騎討ちを実現させた。
広島で行われた感情をぶつけ合う熱戦は、お互い譲らず無効試合に終わってしまった。

「キャリアも実力も体格も近い二人だから、そう簡単にはいかないよな」

無効試合引き分けという結果を考えると、次の蔵前でのタイトルマッチを盛り上げるためのようにも見えた。
一騎討ち実現まであれだけ煽った割には、ノンタイトル戦だったことも妙にキナ臭い。
それなりの実績がある二人なのだから、いきなりタイトルマッチでも良かったのではないか。

「ベルトはそう簡単に懸けちゃダメだよ、ベルトを懸けるなら最高の闘いをしてもらわなきゃ。街の喧嘩じゃないんだからさ。長州が挑戦者に相応しいか確認したんだと思うよ」

プロレスはなによりもベルトである、ベルトを巻く者が一番だという、師らしい意見だ。
しかし、普通のファンであれば、過去の経緯を踏まえたノンタイトル戦よりもタイトルマッチの方が派手で食いつくと思うのだが。

「今のプロレスブームの今のファンは目が肥えてるから、ノンタイトル戦でも激しい試合なら食いつくよ。逆にタイトルマッチであってもダルい試合なら冷めるんじゃない」

最近のタイトルマッチは、不透明決着が多過ぎる。
今回の長州と藤波も決着は次回に期待するしかないというより、決着をつけるためにタイトルマッチが組まれたのだろうか。
あれだけ激しい試合が出来るのであれば、初めからタイトルマッチにして勝敗をはっきりさせた方が、尚更ファンは喜ぶのではないのか。

「このカードは決着がつかない方がいいんだよ、ある意味決着がついたら終わりだよ。タイトルマッチでも完全決着は難しいよ」

どういう意味なんだ?
確かに、プロレスは勝ち負けという結果だけではない。
試合内容が素晴らしければ、結果はどうでもいい時もある。
しかし、プロレスをスポーツとしての権威を高めるためにも、タイトルマッチでの不透明決着だけはやめてほしい。

「そりゃあ完全決着が一番さ、でも長州は予想以上に力をつけてきたからね。それを藤波が一番分かっているはずだよ。だから自分のベルトを懸けて絶対に負けない姿勢を見せたんだよ、背水の陣ってやつだね」

スター街道を順調に歩んで来たが、難敵・長州に出くわしてしまった藤波。
絶対に負けられない、何が何でも勝たなければならない相手が長州なのだ。
長州にしてもやっと掴んだチャンス、勝てば一気にトップを狙え、負ければ元の鳴かず飛ばずの中堅に戻ってしまう。
しかも、長州自ら仕掛けた闘いだけに簡単に負ける訳にはいかない。
そう考えると、タイトルマッチだろうがノンタイトルだろうが完全決着は難しい。

「マサルだって負けたくない奴の一人や二人はいるだろう、それが長州と藤波の関係なんだよ」

もはや意地とプライドだけで闘うであろう長州と藤波。
決着がつかずにズルズルと続くかも知れないが、これが自然の流れなんだと気がついた。
勝敗という目先の結果に拘っていた自分が恥ずかしい。
場合によっては完全決着でなくても、納得出来るものがあるんだと。
マサル少年は、またひとつプロレスの奥深さを素晴らしさを師に教えられたのだった。


つづく

 2012年1月20日(金)

  『実録・プロレス道 第52話』

長州力の反乱、いわゆる噛ませ犬発言により、ファンやマスコミの目は長州に集中していた。
いったい今回の長州の行動の原因は何なんだろうか。
アマチュアでの実績やメキシコ遠征の成功の割には、扱いの悪い団体に対してのものなのか。
それとも、新日本プロレスのエース獲り、打倒・猪木の前振りなのか。

「そこまで大それた考えはないと思うよ、猪木がいる限りトップになれないことぐらい長州だって分かっているはずだよ」

ではなぜ藤波なんだろう、どうせ噛みつくなら藤波よりトップの猪木に噛みついた方がインパクトがあると思うのだが。

「キャリアでは先輩だけど、いつまでも格下に見ている同年代の藤波にムカついたんだろ。いきなり猪木に挑戦したって負けるのが見え見えだしさ、藤波との次期エース争いの方が面白いじゃない」

なるほど、海外でベルトを巻いたとはいえ、少し前までは冴えない中堅選手が、急に猪木に挑戦したところで結果は知れているし、ファンの関心も低い。
それならば、猪木の後継者と言われる藤波と競い、真の後継者を決めれば誰もが納得するということか。

「後継者云々よりも、新日本は現状を盛り上げないと。長州と藤波、日本人同士感情剥き出しでやればいいんじゃないのかな。そうなればベルトやエースは二の次だよ」

ジュニア王者時代、甘いマスクと均整のとれた肉体で女性ファンも多く一気にスターに登り詰めた藤波。
猪木の後継者、新日本プロレスのエースになるためにヘビー級に転向したまでは良かったが、実際行き詰まっているように見える。
そこへ来て長州の反乱、藤波がエースになるための課題がまた一つ増えたようだ。

「藤波がジュニアのままなら仕方ないけど、ヘビーになった以上長州だって黙ってないよ。オリンピック代表の意地もあるだろうし、エースになる権利はある訳だからね」

長州が何のアクションも起こさなければ、人気のある藤波がスンナリ次期エースになっていただろう。
だが、ファンの後押しだけでエースという大事なポジションを決めてしまって良いのだろうか。
馬場も猪木も人気はあったが、強豪外人レスラーや日本人の実力者を次々と撃破して、現在の地位を築いたのだ。

「藤波ももう少しデカければ何の問題もなかったんだけどね。今の藤波はどうしてもジュニアあがりって感じで力強さに欠けるよね」

ヘビー級に転向した藤波にはこれといったライバルが存在しなかった。
もしこのまま長州がライバルになるのであれば、燻っていた二人を蘇らせるとともに、後継者問題までクリアしてしまう。

「しばらく二人を闘わせて、猪木に挑戦させればいいんだよ。その頃にはIWGPだって出来てるだろうし」

藤波と長州がライバル抗争により、人気も実力も上げてくれれば新日本プロレスにしても願ったり叶ったりだ。
その結果、勝ち残ったものがエースの称号を手にすることが出来る。
社長の息子がスンナリ跡を継ぐのと訳が違い、エースの座は力で勝ち獲るのがプロレス。
外人引き抜きによる痛手やIWGPが足踏み状態で、どうなることかと心配されていた新日本プロレスだったが、どうにか盛り返しそうだ。
だがマサル少年は、この先まだまだ何か起こるのではないかと感じていた。


つづく

 2012年1月13日(金)

  『実録・プロレス道 第51話』

金曜日の夜八時の"ワールドプロレスリング"を毎週楽しみにしているマサル少年。
しかし、この日はプロ野球ナイター中継の予定で、闘魂シリーズの開幕戦を半ば諦めていた。
だが、雨天中止によりプロレスが観れることになり、いつも通り録画をしながらテレビ観戦していた。
今シリーズの注目は、メキシコから凱旋帰国した長州力。
今日の開幕戦でメインの6人タッグに、名を連ねているのも気になる。
単にお披露目的な起用なのか、それとも現地でUWA王者になった実力を試すものなのか。
とにかく、長州に暴れて欲しいと思いながら画面を見つめ登場を待った。
日本組は長州を先頭に藤波、猪木の順での入場だ。
長州は髪を伸ばし、顔つきも鋭くなった気がする。
その長州と藤波が試合開始前から何やら揉めているようだ。
試合中もこの険悪な状態は続き、タッチ拒否に始まり殴り合いの仲間割れを起こしてしまった。
いったい長州と藤波の間に何があったんだ。
数日後、師と会うとやはり話題は長州力のことだった。

「長州は何か弾けたね、今まで地味で大人しかったけど、あのままヒールっぽくやって欲しいね」

長州は、ただ目立つために藤波に向かっていったのだろうか。
そのためだけにメインの試合をメチャクチャにしたとすれば、長州はプロ失格ではないか。

「藤波に仕掛けたのは、長州なりのアピールだよ。メキシコでチャンピオンになったし、藤波と同格と言いたかったんだよ。入場の時から明らかに格下扱いされてたからね」

しかし、大事なメイン、それも自身の凱旋試合を潰してまでやることなのだろうか。

「あの試合中だから効果があるんだよ。しかも生中継で全国に流れてる訳だから、長州のアピールは一気に広まったよ」

確かに、新聞や雑誌よりテレビの生中継の威力は絶大だ。
しかも、野球中継中止によるまさに降って湧いたような生中継での事件だけに胸騒ぎを覚える。
しかし、長州が全国に名を示したいのも分かるが、なぜそれが藤波への造反なのか解せない。
正々堂々と藤波に挑戦すれば良いのではないのか。

「あれがプロレス的であり新日本的なんだよ。これといったライバルがいない藤波と燻っていた長州が上手く噛み合ったんじゃない」

遺恨や裏切りをきっかけに抗争を展開することは、新日本プロレスの得意とするところだ。
加えて、はぐれ国際軍団の参戦により日本人対決も目玉になっていたこともあり、会場も盛り上がっていた訳だから大成功には違いない。
何か飛び出すきっかけを待っていた二人が、藤波の王座戴冠と長州の凱旋帰国のタイミングが見事にはまったということか。

「藤波も外人相手の防衛戦も限界に近いし、長州も帰って来たって中堅のままだろうからね」

ヘビー級に転向し猪木の後継者と言われながらも、結果を出しきれていない藤波と、アマレス五輪出場の肩書きとともに鳴り物入りで新日本プロレスに入団したものの、チャンスに恵まれなかった長州。

「日本人同士、しかも同門対決なんて全日本では考えられないんだから、上手く盛り上げて欲しいね」

新日本プロレスの将来はこの二人に懸かっていると言っても過言ではない。
というより、現状の新日本プロレスは、将来なんて悠長なことを言っている場合ではないのだ。

つづく

 

 

 

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