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 2011年4月29日(金)

  『実録・プロレス道 第15話』

逸る気持ちを押さえ切れないマサル少年は、国鉄浅草橋駅からではなく、より近い地下鉄蔵前駅から向かった。
予定通り早く国技館に着いて開場前並んでいると、耳に入るのはタイガーマスクのことばかりだった。
入場し桝席前方に一人で座り入念に大会パンフレットを読むが、タイガーマスクのことは一切載っていない。
試合開始までの長い時間を待つマサル少年の思いは複雑だった。
ハンセンを、最後のNWF戦を観るために来るはずだったが、今となってはタイガーマスクさえ観れれば良いと思っている。
アニメのタイガーマスクは大好きだ、しかしこれから登場するタイガーマスクは、海のものとも山のものとも分からない奴なのだ。
過剰な期待を裏切られるよりは、鉄板であるハンセンのファイトを楽しみにした方が無難ではないのか。
そんなことを考えている間に時は経ち、いよいよ運命の時がやって来たのだ。
先に入場したダイナマイト・キッド、久しぶりに見るが絞った上半身とロングタイツがカッコいい。
そしてタイガーマスクが現れた!
しかし会場の反応は、゛オォォー゛というどよめきではなく、明らかに失笑であった。
見た感じ虎には程遠いマスクのデサイン。色彩はボケ、切れっ端のような生地にも見えるし、獣特有の毛皮の質感なんてゼロである。

おのれ新日本プロレスめ…

何がタイガーマスクだ、国際プロレスのマッハ隼人やデビル紫のマスクの方が、よっぽど上手く出来ている。

お前なんて、新日本とテレビ朝日に踊らされているだけなんだよ!
さっさとキッドに負けて、荷物まとめて田舎に帰っちまえ!
早くハンセンが観たいんだよ!

怒りが頂点に達したマサル少年の心の叫びは終わらない。
その心の叫びが、今にも口から飛び出しそうになった瞬間、静まりかけていた会場が揺れ動いたのだ。
コーナーに押し込んだキッドの胸を蹴り、駆け上がるように一回転!バック宙を決めて見せたのだ。
初めて見る華麗な技に驚く暇もなく、素早い回し蹴りやロープワークに大歓声が巻き起こる。
今までの暴言や正体暴きを忘れ、タイガーマスクに酔い痴れていた時、伝説のスタートとなるフィニッシュを目の当りにするのであった。


つづく

 2011年4月22日(金)

  『実録・プロレス道 第14話』

来週は待ちに待った蔵前国技館での観戦である。
そんな興奮気味の金曜日の夜、マサル少年はいつものように新日本プロレス中継゛ワールドプロレスリング゛を観ていた。
メインも終わり、次週のカードが映りだされたその刹那、マサル少年の頭の中は真っ白になった。

゛タイガーマスク対ダイナマイト・キッド゛

タイガーマスクってあのプロレス漫画の、あのタイガーマスクしか思い当たらない。
すると突然、我が家の電話が鳴りだした

「マサルか!タイガーマスクが出るみたいだな。キッドとやるってことはジュニアだよな。」

師の反応は速かった。爆弾小僧の異名を持つダイナマイト・キッドをぶつけるのだから、タイガーマスクに期待しているのだろう。

「日本人かな?外人かな?まぁとにかく、蔵前でしっかり見てきてくれよ」

そう早口でまくしたてると、師は電話を切った。

タイガーマスクかぁ…

思えば、プロレスファンになった切っ掛けはアニメのタイガーマスクだった。
タイガーマスクへの思い入れは強い、それだけに虎のマスクを被っただけのヘッポコレスラーだったら、二度と新日本プロレスは観ないとこの時決めた。
次の日から、学校でもタイガーマスクの話題ばかりが続いた。
テレビ朝日でスタートしたアニメ、゛タイガーマスクⅡ世゛に乗っかっただけの話題作りか。
それとも、マスカラスのように空中殺法を操るメキシカンか、ストロングスタイルの実力者なのか。
友人との情報だけでは、謎が解けない。
あの師ですら正体が掴めないのだから、昨日今日プロレスを見出したヒヨッコどもに分かるはずがない。
観戦当日マサル少年は、とても授業に集中出来る状態でなかった。
心配していた鉄道ストは解消されたが、タイガーマスクが気になって仕方がない。
とにもかくにも蔵前へ行こう!
俺がこの目で確かめて、タイガーマスクの正体を暴いてやるのだ。
そう心の中で何度も呟きながら足早に学校を後にし、タイガーマスクの待つ蔵前国技館へ急ぐのだった。


つづく

 2011年4月15日(金)

  『実録・プロレス道 第13話』

マサル少年は、毎週プロレス中継を楽しみにしている。
録画して翌週まで何度も何度も見直している。
全日本プロレスは日本テレビの土曜日夕方、新日本プロレスはテレビ朝日の金曜日8時のゴールデンタイム。
そして、東京12チャンネルで日時を変えながらも放送していた、国際プロレスアワーが打ち切りになってしまったのだ。
スポーツ番組の最終回なんて聞いたことがない。
プロ野球だって大相撲だって中継しているのに、プロレス中継がなくなるなんて納得がいかない。
プロレスはスポーツじゃないとでも言うのか。

「人気の落ちた国際に、12チャンネルも見切りを付けたんだよ」

視聴率が取れなければ、番組としての価値などない。関東ローカル局だけに、体力もなくシビアなのだろう。
興行収益も悪く、放映権料も失った国際プロレスはどうなるのか。

「昔からテレビのない団体は潰れていくんだ、日本プロレスも東京プロレスも潰れたんだよ。二団体になるのも時間の問題だな」

共存共栄していた三団体であったが、全日本プロレスと新日本プロレスの熾烈な興行戦争の煽りを食って、国際プロレスは滅びて行くのか。
全日本プロレス旗揚げの際に、手助けしてもらった馬場は黙って見ているつもりなのか。
最近までIWAタッグを懸けて対戦していた、新日本プロレスはどうするのか。

「ラッシャー木村とか主力選手はフリーになって、全日本と新日本に交互にでたら面白いのに」

師の考えていることは斬新だ、今までの日本人フリーレスラーは決まって海外を活動拠点にしていた。
それを国内でやれと言うのだから恐れ入る。

「何も所属にならなくても、利害関係が一致すれば可能だよ」

選手層の薄い全日本プロレスとタイトルという看板のない新日本プロレス。
国際プロレス残党獲得によるメリットは大きい。
ただ国際プロレスは、まだ崩壊していないのだ。
それとも水面下で、獲得工作が進んでいるのだろうか。
もうこれ以上プロレス中継がなくならないで欲しいと願うマサル少年の目に、とんでもない文字が飛び込んで来たのだった。


つづく

 2011年4月8日(金)

  『実録・プロレス道 第12話』

ガニアのAWAとレイスのNWAに挑戦し、三千試合連続出場突破記念興行を大成功させたジャイアント馬場。
ベルト奪取は出来なかったものの、毎月世界選手権を行う全日本プロレスは話題性もあり華やかだ。
しかし、新日本プロレスも黙っていない、IWGP(インターナショナル・レスリング・グランプリ)王座創設を発表したのだ。
乱立する世界中のタイトルを統一し、真の王者を決めるというのだから驚いた。

「NWAに挑戦できないないから、最終手段に出た感じだな」

喉から手が出るほど欲しい世界王座、NWAの規定で新日本プロレスは挑戦出来ないでいたのだ。

「無いなら造るか…猪木らしいやり方だね」

更にIWGPに権威を持たせるために、新日本プロレスで管理している゛NWFヘビー゛゛北米ヘビー゛゛北米タッグ゛を返上し、IWGP一本に絞るらしい。
しかし、世界各地区で予選を行うIWGPは戴冠まで何年かかるのか?

「ベルトがない新日本は何をメインにするんだろう」

師は常日頃から、プロレスはベルトこそ核でありタイトルマッチありきだという。
猪木VSハンセンもノンタイトルならば、面白味も半減してしまう。
坂口征二も長州力も無冠になり、王者はWWFジュニア王座を保持する藤波辰巳一人では心許ない。

「今度の蔵前でNWFも最後になるみたいだよ」

前回没収試合となり宙に浮いたNWF王座を、猪木とハンセンが決定戦を蔵前国技館で行うのだ。
NWFを懸けた最後の猪木VSハンセン、ハンセンファンのマサル少年は既にチケットを購入していた。

「蔵前行くのか、いいなぁ。メインの他に面白そうなカードってあるの?」

鋭い一言である。目当てがメインの選手権だけなら、今後の新日本プロレスの楽しみは、年に一度づつのシングルとタッグのリーグ戦だけになってしまう。
アメリカの二大組織を取り込んだ、全日本プロレスは順風満帆だ。
壮大なIWGP構想に燃える新日本プロレスは、この先どう凌ぐのか。
そして師の心配していた国際プロレスは、テレビ中継打ち切りという絶体絶命の状態に追い込まれていたのであった。


つづく

 2011年4月1日(金)

  『実録・プロレス道 第11話』

新年は師と我が家で寛いでいた。
正月特番など一切見ずに、年末から録りだめしたプロレスを見ながら語り合った。

「マサルは漫画では何がすきなんだ?」

当時人気のあった、゛キン肉マン゛゛1・2の三四郎゛゛リッキー台風゛゛プロレススーパースター列伝゛を好きで読んでいた。

「やっぱりプロレスばっかりだな(笑)どれも面白いよね」

師は漫画家を生業としているのだから、気になるのだろう。
師の作品で知っているのは、少年キングに連載していた゛バラエティ・アレイ゛だけである。
テリー・ファンクも出演し、プロレスを題材にした映画゛パラダイス・アレイ゛をヒントに描いた漫画だが、プロレス漫画ではない。
師は何故プロレス漫画を描かないのか、こんなにプロレスが好きで詳しいのだから描けばいいのに不思議だ。

「チャンスがあれば描きたいね。そしたら読んでくれよな」

子供とは残酷な質問を平気でしてまうものだ。
プロレスファンで漫画家なのだから、プロレス漫画を描きたいに決まっている。しかし描きたいから描くなどという、甘い世界でないことをこの時に知った。
急に師は話題を変え

「後楽園の馬場とガニアの試合は観に行きたいよなぁ」

ジャイアント馬場が三千試合連続出場突破記念試合として、バーン・ガニアと初対決するのだ。
しかも、馬場のPWFとガニアのAWA世界王座を懸けるダブルタイトルマッチ。

「馬場がAWAを獲ったら快挙だよ。獲って欲しいよ」

NWA、AWA、WWFが世界三大王座と云われ、馬場はNWAを猪木はWWFを巻いたことがあった。
しかしAWAの日本人王者はまだいない。
三大王座の内、特に権威のあるNWAとAWAを戴冠すれば、馬場の格は当然上がるはずだ。

「AWAも国際から全日本に乗り換えたことだし、馬場も鶴田もこのチャンスをものにして欲しいよ」

NWAとAWAのタイトルマッチを日本で頻繁に観れるなんて、それこそ快挙だ。
本場アメリカのプロレスを、いやそれ以上のものを全日本プロレスなら提供できるのだ。
新日本人気に対して、ブレることなく信念を貫いた馬場・全日本の巻き返しが、今始まろうとしていた。


つづく

 2011年3月25日(金)

  『実録・プロレス道 第10話』

全日本プロレス世界最強タッグ決定リーグ戦は、ザ・ファンクスが時間切れギリギリのリングアウト負けで、馬場&鶴田に優勝をさらわれてしまった。

「ファンクスは惜しかったな、来年に期待するよ」 

師には悪いが、毎年馬場、鶴田、ファンクス、ブッチャー、シークじゃ結果が見え見えである。
しかも、一番人気のザ・ファンクスの参加も残り二回なのだ。
何かしら手を打たないと、ファンが離れて行ってしまう。

「早いとこファンクスに続くチームを作らなきゃね。新しい外人呼ぶとか、今あるチームをシャッフルしても面白いけどな」

しかし、取って付けたようなタッグチームじゃファンクスの代わりは勤まらない。
誰もが認める人気と実力を兼ね備えたチームが欲しいのだ。
初来日のリッキー・スティムボートは格好よかったが、まだまだトップの器ではない。
かたや新日本プロレスのMSGタッグリーグ戦は、猪木とWWF王者ボブ・バックランドがハンセン&ホーガンを破り優勝を決めていた。
日米の帝王と若い大型パワーファイターの闘いに、ファンは熱狂したのだ。
新日本プロレスの勢いは衰えない、馬場は新日本人気を一過性のものと捕えているのか?それとも打開策はあるのか?

「全日本は外人が揃ってるんだから、そろそろ若手を育てないとだめだよな。」

鶴田は良いとして、40歳を過ぎた馬場が頑張れる間にクリアするべき問題である。
大相撲から転向した天龍源一郎は伸び悩み、石川隆士やタイガー戸口、ロッキー羽田は燻っている。
大仁田厚、渕正信、薗田一治の若手三羽烏は海外修行中で帰国の予定はない、越中詩郎はまだ時間がかかりそうだ。
新日本プロレスでは、長州力と木村健吾に続く期待の新人谷津嘉章が、プロレスの殿堂ニューヨークのマジソン・スクエア・ガーデンで白星デビューするなど話題が明るい。
全日本プロレスと新日本プロレスによる興行戦争は、どこまで続くのだろう、そして国際プロレスはどうなるのか。
そんなプロレスのことばかり考えていると、気持ち良く新年を迎える気にはなれなかった。


つづく

 2011年3月11日(金)

  『実録・プロレス道 第9話』

テリー・ファンクが三年後に引退すると発表した。
このニュースを聞いた全国のプロレスファンは、耳を疑ったことだろう。

「テリーが辞めるなんて信じられない、ショックだよ。よほど右膝が悪いんだね」

古き良きアメリカンプロレスの象徴である、テキサスブロンコ、テリー・ファンク。
その、テリー・ファンクの大ファンである師の落ち込みは半端ではない。
まるで全ての人間の不幸を背負ったようだ。

「テリーがいなくなると全日本人気も落ちるし、プロレス界に活気がなくなるよ」

人気絶頂のアイドルレスラー、テリー・ファンクとミル・マスカラスが全日本プロレスのドル箱外人。
その一人、テリー・ファンクがリングを去ることは、客離れもそうだが名タッグチームザ・ファンクスも消滅してしまうのだ。

「三年後にはファンクスが見られなくなるんだから、最強タッグは何としても優勝して欲しいよ」

全日本プロレスの年末恒例のタッグの祭典、世界最強タッグ決定リーグ戦が間もなく開幕する。
その最強タッグの前身であるオープンタッグで、テリーの人気は不動のものとなった。

「あの試合見たら誰だって泣くよ。プロレス知らない人でも泣くよ、思い出しただけで泣けてくるよ」

回想に浸る師は、言葉だけでなく本当に涙ぐんでいた。
ブッチャーにフォークで右腕をズタズタにされながらも、闘い抜いたテリーの根性と兄弟愛に誰もが感動し涙した。
その姿を見てプロレスファンになった人も多いと聞く、いや多いはずだ。
冷静沈着な兄ドリー・ファンク・ジュニアと気性が激しく陽気な弟テリーのザ・ファンクス。
師の言うタッグの本場所を、今年もまたこの兄弟が制するのか。
テリー引退宣言により、俄然注目される全日本プロレス世界最強タッグ決定リーグ戦。
そしてまた新日本プロレスも全日本プロレスに負けじと、豪華外人レスラーを集めたMSGタッグリーグ戦なるものをスタートさせるのであった。


つづく

 2011年3月4日(金)

  『実録・プロレス道 第8話』

三団体の中で最も古い歴史を持つ国際プロレス。
しかし、絶対的エース不在や外人弱体化がたたってか、馬場の全日本プロレスや猪木の新日本プロレスに比べるとマイナー視されていた。

「ロビンソンやジャイアントが来てた頃に比べると、今の国際は盛り上がってないな。エースの木村も地味だしね」

いち早くヨーロッパやAWAのレスラーを招聘し、プロレス界のパイオニアと言われた国際プロレスも、金網デスマッチだけが売りの団体になっていた。
そんな奇抜な国際プロレスも、プロレスなら何でもこいのマサル少年は、当然好みである。
しかし最近の観客動員数やマッチメークを見ると、先行き不安になってしまう。

「国際は新日本とちょくちょく絡んでるみたいだから、猪木が狙ってるかもね」

策士・猪木が全日本プロレス壊滅のために、国際プロレスを吸収してしまうのか!

「シンは言うまでもなく、猪木VSハンセンだっていずれ飽きがくるよ、となれば国際との全面対抗戦を仕掛けるんじゃないかな」

馬場との対決が避けられている今、まずは国際プロレスを取り込み、日本プロレス界統一を目論む猪木が目に浮かぶ。

「大木が国際を退団するのも、団体が危ないからだよ。吉原と上手くいってなかったっていうのもあるけどさ」

人気回復を計り、力道山の遺産であるインターナショナル王者として、国際プロレスに入団した大木金太郎。
その大木が、一年ももたずに退団するには経営悪化が理由なのか。
それとも、国際プロレス吉原功社長との確執か。
どのみち頼みの綱の大木の人気はそれ程でもなく、団体建て直しの役にたたなかったと言うことになる。

「来年は二団体になりそうだね、馬場と猪木がどう動くか楽しみだよ」

新日本プロレスはこの勢いのまま突っ走るだろう、全日本プロレスもスタイルを変えるようには見えない。国際プロレスに至っては、団体崩壊を師は予言する。
いったい師は何を楽しみにしているのだろう、悩むマサル少年に更なる衝撃が襲うのであった。


つづく

 2011年2月25日(金)

  『実録・プロレス道 第7話』

全日本プロレスは相変わらず、己のスタイルを守り続けている。
アメリカナイズされた本場のプロレスに、また陽が当ることを信じているかのように。
一方ストロングスタイルと云う名のもと、独自の戦略で攻めてく新日本プロレスの人気は高い。
しかし流れが変わり出した、馬場がレイスからNWA世界王座を奪取したのだ。

「やっぱり馬場は凄いよ。今、猪木の方が人気あるみたいだけど、実力も風格も馬場が一枚も二枚も上だよ」

すぐに獲り返されてしまったが、NWA世界王座を3度も戴冠した馬場は立派だ、だが子供達の間では依然新日本ブームなのだ。
全日本プロレスと新日本プロレス、どちらが強いのか…
馬場と猪木、どちらが強いのか…
何故、馬場と猪木は闘わないのか…
プロレスは格闘技、即ち闘いだ、純粋に強さを求めてしまう。
同じプロレスなのだから、闘えば問題はすぐにでも解決すると簡単に考えてしまう。

「同じプロレスだけど、会社が違うから闘わないんだよ。理想というかスタイルが違うから別れてやってる訳だしさ」

師の言いたいことは分かるが、子供には理解し難い答えである。
お互い企業として成り立っている以上゛勝てば官軍゛問題ないが、負けてしまったら今後の興行成績にも関わる、最悪倒産なんてことだってありうる。

「馬場対猪木は見てみたいよ、でも無理にやる必要もないし、オールスター戦ももうやらないでしょ」

゛プロレス夢のオールスター戦゛…79年に全日本、新日本、国際が集結した伝説のプロレス興行。
三団体の全レスラーが出場し、馬場と猪木はメインでタッグを組んだ。
そして、ブッチャー&シンに見事勝利したリング上で、次は一騎討ちを誓ったのだが未だ実現していない。

「全日本でも新日本でも、違うカラーのプロレスを楽しめばいいんだよ。国際も頑張って欲しいんだけどね」

全日本プロレスと新日本プロレスに挟まれた状態で、苦戦中の国際プロレスの話題をほのめかした。
師がそう語りながら吹かした煙草が、やけに苦そうに見えたのだ。


つづく

 2011年2月18日(金)

  『実録・プロレス道 第6話』

「ジャイアント(アンドレ)を投げたことがあるレスラーって誰か知ってる?」
 
223㎝250㎏の巨体を誇るアンドレ・ザ・ジャイアント。その大巨人を投げるなんて並大抵のレスラーに出来る芸当ではない。
がしかし、ハーリー・レイス、アントニオ猪木、ローラン・ボック、ハルク・ホーガンが成し遂げていた。

「実は、ブロディも投げたっていう噂があるんだ。しかも最初らしいんだ」

79年に全日本プロレスに初来日し、タッグながらイキナリ馬場からピンフォールを奪ったブロディなら考えられる。

「あの太腿が凄いんだよ、あの頑丈な足腰でジャイアントも持ち上げられるんだ」

得意技でもある強烈なキックや一撃必殺のニードロップを生み出す源、あのブッ太い太腿である。

「腿が太いレスラーは最強なんだ!あの腿、あのデカさでスピードもテクニックもスタミナもあるし、パワーは言うまでもない。マサルには悪いがブロディが一番だな」

学校でも、ハンセンとブロディどっちが強いのか議論になるが、いつも答えは出ない。
だが、こうもあっさりブロディ最強論を叩きつけられると、返す言葉が見つからない。
しかも、ハンセンを認めた上での発言だけにマサル少年は落ち込んだ。

「ブロディ、ジュニア、レイスみたいに、違ったスタイルのトップ外人とまともに渡り合えるのは、馬場と鶴田ぐらいだよ。新日本にはいないね」

似たような試合一辺倒の新日本に比べ、全日本には華があり幅がある。プロレスを見始めたばかりの鼻タレ小僧には、分かるまいと言いたいのだろう。
それと師は、アンドレをジャイアント、ドリーをジュニアと呼ぶあたりも玄人っぽい。

「今は新日本が盛り上がってるから、それはそれでいい。もう少し経てば、本物のプロレスの良さ、全日本の良さが分かるよ」

ここまで言われてしまうと、新日本に傾いている自身のプロレス選球眼の悪さを認めない訳にはいかない。マサル少年は本当にこのままで良いのかと、自問自答を繰り返すのであった。


つづく

 2011年2月11日(金)

  『実録・プロレス道 第5話』

゛ウエスタン・ラリアート゛現在ラリアットと呼ばれているが、当時はラリアートであった。
ニューヨークの帝王ブルーノ・サンマルチノの首をへし折ったというこの技一つで、スターダムに伸し上がったスタン・ハンセン。
反則や凶器攻撃が当り前の外人の中で、凶器を使わないが、己の肉体その物が凶器のような男である。
そのハンセンに憧れたマサル少年の、新日本熱は益々上昇していった。
全日本の十八番(おはこ)であるNWA世界戦と言えども、オーソドックスなアメリカンスタイルを理解することは子供にはまだ早かった。
それよりローカルタイトルのNWF戦であれど、ハンセンが闘う方が毎回楽しみで仕方なかった。
サーベルを振り回すコテコテの悪役タイガー・ジェット・シンに代わる、新日本のエース外人ハンセン。
金属入りの腕を持つレイスより、生身の腕で相手レスラーを次々と叩き潰すのが魅力的だ。
外人レスラーのイメージを変えたハンセンが、実力NO.1だと勝ち誇ったように力説するマサル少年。

「ハンセンって゛ブレーキの壊れたダンプカー゛って呼ばれてるんだろ。その前までボビー・ダンカンがそう云われてたよ」

今さらボビー・ダンカンでもないだろう、ハンセンの方がはるかに上なのだ。

「ハンセンはいいね、当たりが強くてタフだし。新日本も良い外人捕まえたよな」

そうだろう、流石の師もハンセンを認めない訳にはいかない。
しかし、ボビー・ダンカンは別として、ハンセンに対して余裕というか何か言いたげである。

「だけど全日本に来てるブロディの方がハンセンより凄くてカッコいいぞ。」

゛キングコング・ブルーザー・ブロディ゛…その名を言った時、師の目が眼鏡の奥で一瞬鈍く光ったかに見えた。

「まぁ、上には上がいるってことだよ」

反論も出来ずに黙って聞いているマサル少年とは対照的に、師のニヤニヤは止まらなかった。


つづく

 2011年2月4日(金)

  『実録・プロレス道 第4話』

NWA世界ヘビー級王者に五度も返り咲いているハーリー・レイス。
そのレイス腕には、何やら秘密があるらしい。

「若い頃に腕の骨を折られて、手術の時に鉄を埋め込んでそのままなんだよ」

今でこそ、骨折手術の時に鉄製のプレートやボルトで固定する話しをされても驚かないが、マサル少年には明らかに武器を仕込んだようにしか聞こえなかった。

「その腕で殴られるんだから、相手はキツいよな」

しかも凶器タブーのプロレスで、合法的に凶器を使えるように語ってくる。
試合巧者の上に天然凶器まで携えた喧嘩の達人レイス。
レイスの強さは目を見張るものがある、がしかしマサル少年には、今の全日本プロレスは少しばかり物足りなかった。
80年頃の全日本プロレスといえば、豪華な外人レスラーを揃えNWA世界選手権を売りにしていた。
それはそれで、新日本プロレスには真似できない素晴らしいことなのだが、その外人勢や対戦カードがマンネリ化して新鮮味が無くなりかけていたのだ。
そして異種格闘技戦や藤波辰巳によるジュニアヘビーブーム、大物日本人対決の成功で゛過激なプロレス゛を売りにする新日本プロレスに人気面で離されている時だったからである。

「今の新日本は俺から見ても面白いよ。お客さんがいつも一杯だよね」

全日本プロレス贔屓で馬場大好きの師が、珍しく新日本プロレスを認める発言をした。

「ハンセンやホーガンにジャイアント(アンドレ)も来てるし、猪木もまだまだ元気だからね。」

その通り全日本の常連外人に比べ、新日本には若くてイキのいい外人が揃っていたし、スピード感のある試合展開も子供にはウケていた。 
そう、全国のプロレスファンを釘付けにし、左腕一本で世間を騒がせたあの必殺技の男。
流行りに惑わされていると言えばそれまでだが、マサル少年は師の思いとは裏腹に、新日本プロレスに引き込まれて行くのであった。


つづく

 2011年1月28日(金)

  『実録・プロレス道 第3話』

全世界から、王者クラスのレスラーを一度に来日させるなんて無理に決まっている。
トップレスラーがいなかったら、アメリカの団体は興行を打てなくなるからだ。

「年に一回なら、何とかなるんじゃないの」

無責任に感じるがまったく言う通りだ、何とかして欲しいものである。

「ブリスコがNWA王者時代に、NWAチャンピオンシリーズっていうのがあって、ジュニア(ドリーファンク)、レイス、デストロイヤーも来日してさ、ほぼ毎日防衛戦なんだよ。」

師は当時のゴング誌を差し出してきた。
ジャック・ブリスコのNWAと馬場のPWFの防衛戦の連続、それ以外にも夢のシングルが目白押し。
その雑誌をさぁーと目を通しただけでも、迫力と興奮が伝わってくる。

「その時の一流レスラーだけじゃなく、NWA会長のサム・マソニックまで呼んじゃうんだから馬場は凄いよ」

王者と挑戦者に加え会長も来日するなんて、まさにNWAを日本に居ながら楽しめるシリーズ。
馬場信者でありNWA好きの師には、最高のシリーズであったのだ。
NWA世界ヘビー級王座…レスラーなら誰もが夢見る、世界最高峰のベルト。
この頃では、ハーリー・レイスが君臨していて、次期王者候補として、テッド・デビアス、リック・フレアー、デビット・フォン・エリックなどが有力視されていた。

「しばらくはレイスの時代だよ、馬場やジュニアは挑戦しなくなるだろうし、ジャンボにはまだ早いよ」

見るからに強そうなレイス、喧嘩も酒も相当強いと聞いたことがある。

「レイスは喧嘩で飯が食えるから、レスラーになったんだよ」

そうか腕っぷし自慢が、そのままレスラーになったのか、両腕の刺青も確かに不気味だ。

「その腕なんだけどさ、知ってるか」

マサル少年の表情を確かめながら、師はゆっくりと話しだした。

つづく

 2011年1月21日(金)

  『実録・プロレス道 第2話』

年6回本場所のある大相撲に対し、プロレスは年2回ではどう考えても少な過ぎる。

力道山「ベルトだよ。外人の世界王者に挑戦したりさ、自分のベルトを防衛することも難しい。あとライバル同士が挑戦権を争ったりするのも面白い、とにかくベルトを中心に強さをアピールするんだ。」

言われてみれば、ベルトには相撲には無い輝きというかオーラがあるし、誰がチャンピオンなのか一目瞭然である。

「カーニバル優勝も嬉しいけど、やっぱりプロレスはベルトを目指さなきゃだめだよ。」

思えば、ジャイアント馬場のカーニバル連覇やジャンボ鶴田の初優勝より、馬場が日本人で初めてNWAのベルトを巻いた時の方が感動した気がする。

「チャンピオン・カーニバルも本物のチャンピオンを集めて、真の王者を決めて欲しかったよ」

全くその通りだ、中堅レスラーや無名の外人は出さずに、各現役王者と前王者、タッグ王者をずらりと揃えたら壮観だろう。
となれば、年2回の本場所も説得力のある大会になり、現在のように挑戦者決定戦などと揶揄されることもなくなる。

「アメリカに顔がきく、馬場ならやれそうなんだけどね」

プロモーターとして馬場の力と信用は絶大なだけに、ザ・ファンクス、ハーリー・レイス、ザ・デストロイヤー、バーン・ガニア、ニック・ボックウィンクル、マスカラス・ブラザーズ、ビル・ロビンソン、アブドーラ・ザ・ブッチャーなどの参加が可能だ。

「もし実現するなら、全試合を生で観たいよな。全国まわってさ、開幕から決勝まで全部。」

夢のような話しだが、まるっきり無理でもなさそうな話しぶりだ。
そんな莫大なファイトマネーと全米マット事情を考えない二人の会話は続いた、全てのプロレスファンの夢を代弁するかのように続いたのだった。

つづく

 2011年1月14日(金)

  『実録・プロレス道 第1話』

明けても暮れても、プロレスのことばかり考えている。
プロレスが好きだから、プロレスファンだからこそ気になっていることがある。

「プロレスって本気で闘ってんの?」

今から約30年ほど前に、みのもけんじ師にぶつけてみた質問。
ひと周り年上でありながら、プロレスの話になると同じ目線でいつも対応してくれるのだ。
プロレスファンの大先輩であるみのも師なら、どんな答えが出てくるのか?
プロレス最強を信じて疑わないマサル少年には、前座の楽しい試合や外人レスラーにわざとらしく負ける中堅どころに納得がいかなかったのだ。

「相撲だって本場所と花相撲があって、地方でやる花相撲では地元出身の格下力士が横綱に勝ったりするんだ。本気を出すのは本場所なんだよ。」

なるほど楽しいプロレスや外人に花を持たすのは花相撲的なんだと解釈。
相撲好きのマサル少年には、分かりやすい例えである。
ちなみに花相撲を知らない方は、お手数ですが各自お調べ下さい。
では、プロレスの本場所とはいったい何なんだ!
マサル少年が一番知りたいのはそこなのである。

「チャンピオンカーニバルや最強タッグが本場所だよ、優勝して賞金も貰えるだろ。」

確かに星取り争いや賞金、歴代優勝者に名を連ねる名誉などまさに本場所、チャンピオンカーニバルが春の本場所と呼ばれているのも頷ける。
だがシングルとタッグ、年に一度づつしかないところに、またまた疑問を抱くマサル少年であったのだ。

つづく

 

 

 

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